新しい技術を導入するための土壌を整える、フロントエンドエンジニアの挑戦

Interviewee

南 悠輝

2023.5.23

CTO室に在籍し、開発組織全体の技術課題解消に動く南 悠輝さん。一人チームでありながらも、兼業で得た学びを活かして技術負債の解消と開発環境の最適化を目指しています。仕事のやりがいや今後目指す姿について南さんに聞きました。

プロダクト開発を経て、組織全体の技術課題解消に動くCTO室へ

カオナビ入社前のご経歴について教えてください。

前職では、EC事業者向けのMAツールを提供する会社に1年半弱勤めていました。エンジニアは10名弱とカオナビに比べて小さい組織のため、フロントエンドからバックエンド、インフラなど様々な領域を担当しました。

幅広い開発経験を積む中で、もっと自分の力を試してみたい、より多くのエンジニアのいる学びの多い環境でさらに経験を積みたいという思い強くなり、キャリアアップを考えていました。

なぜカオナビに転職されたのでしょうか?

きっかけはリファラルです。カオナビに勤めている知人から、事業や職場環境、企業文化などを聞き、面談を受けて「今までの経験を活かせそうだ」と即決しました。

また、カオナビの事業に惹かれたことも大きな決め手です。前職の評価制度では、評価データの管理運用がスプレッドシートだったので、「もっと効率化できるのでは」と常々思っていました。「カオナビ」は、効率化だけでなく、組織作りでも大きなインパクトを与え、開発を通して企業の課題を解決できることに面白さも感じましたね。

入社後のキャリアについて教えてください。

最初はプロダクト本部に配属され、半年〜1年ほどはCI/CD(継続的インテグレーション(Continuous Integration)/継続的デリバリー(Continuous Delivery))の導入と開発環境の改善に携わりました。開発環境の改善は前職でも経験していて、その成果を評価していただいて入社した経緯もあります。

その後、フロントエンドをReactやTypeScriptを使ったよりモダンな環境にするプロジェクトが立ち上がり、「リードさせてください」と自分から手を挙げました。4年ほど在籍し、2022年4月からCTO室の配属となりました。

CTO室
テックリード
南 悠輝
2016年に自社開発MAツールを提供する会社でウェブエンジニアとしてキャリアをスタートし、サーバーサイドからフロントエンドまで幅広く経験。2018年4月にカオナビへ入社し、CI/CDの導入や、テックリードとしてフロントエンド開発を牽引したのち、2022年より現職。自動化や効率化が得意。

エンジニアがユーザーの課題解決に専念できるよう、開発環境の向上を目指す

普段のCTO室での業務を具体的に教えてください。

FEST(Front End Support Team)に所属し、「カオナビ」のフロントエンド周りの開発環境の改善を担当しています。具体的にはフロントエンド周りのライブラリのバージョンアップや保守、あとは各チームの抱える技術的な問題の解決や、いわゆる「技術負債の返済」などです。

CTO室のチーム構成

技術負債の返済とはどのようなものでしょうか?

「カオナビ」のフロントエンドをモダンにしていくなかで、少し力技なことをしたことで、一部に負債が抱えてしまいました。それにより、フロントエンドでバックエンドの連携部分がスムーズにいかずに、認知負荷がかかり開発効率がさがる場面がありました。

それを解消するため、フロントエンドとバックエンドを“疎結合”の状態にすることで、開発効率の向上を目指したり、フロントエンドに新しい技術を導入できる土壌を整えたりしています。

開発をスムーズにいくための役割をになっているのですね。

プロダクト本部ではチームごとに機能開発を進めていますが、彼らがユーザーのニーズに応える開発に専念できるよう、私は技術的な面から課題解決を支援し、今は目標の7割ほど達成できたところです。ようやく、開発環境に新しい技術を導入する土壌が整いつつあります。FESTのように専門チームを作って取り組まなければ、ここまで成し遂げられなかったと思います。

ただ、「FESTチーム」と名乗ってはいるものの、今はまだ私ひとりです。社内から検討事項が上がると「FESTチームで検討します」と回答したりするんですが、「いやいや南さん一人でしょ」と返されるのがよくあるやりとりです(笑)。

特に印象的なプロジェクトがあれば教えてください。

特に印象に残っているのはSPA(シングルページアプリケーション)の導入です。現在、開発業界では、webアプリケーションはSPAを念頭に置いたフレームワークが一般的ですが、「カオナビ」のように既存のサービスをSPAに移行するのは非常に手間がかかります。考慮する点も多く、フロントエンド・バックエンド両方を考慮して設計していく必要があるからです。

振り返ると大変な作業でしたが、去年、カオナビ主催のエンジニア向けイベント「kaonavi Tech Talk」や、「JSConf JP」というフロントエンド関連の大きなイベントに登壇して、FESTの取り組みや成果を話す機会をもらえたのはいい経験になりました。

カオナビにとっての「最適解は何か」を問い続け、開発のために学べる場をつくり出す

どんな時にやりがいを感じますか?

フロントエンドのメンバーから「開発しやすくなった」「便利なツールだ」とフィードバックをもらえると嬉しいですね。エンジニアがよりよい環境で開発に専念できるようサポートできることにやりがいを感じています。

開発に関する最新情報はどこからインプットしているのでしょうか?

フロントエンドは特に技術の進歩や移り変わりが激しい領域なので、SNSやいろんなソースをチェックして常に最新情報をキャッチアップは欠かさないようにしています。ただ、それを鵜呑みにするのではなく「カオナビにとっての最適解は何か」を常に考えるようにしています。

得たものを自分の中で咀嚼して、実際に触って試せるものは試したりしています。カオナビには、事業貢献やプロダクト改善につながるようなものであれば週に2時間まで自己研鑽してよい「スナバ」という制度があります。その延長で、社内でエンジニア勉強会を開催してアウトプットも心がけています。

「スナバ」も南さんの発案だとお聞きしました。

厳密には「スナバ」の前身の仕組みなのですが、一人ひとりが自由に自己研鑽できる制度があったらいいなと提案させてもらいました。

ただ仕事するだけじゃなく、みんなで切磋琢磨して楽しく働きたいと考えています。エンジニア勉強会も自分が発端になってから、今では多数が参加してくれるようになりました。社内にも個人の成長をアシストしてくれる組織風土があるなと感じます。

飲食ベンチャーで兼業エンジニアに。攻めの開発姿勢が大きな刺激に

兼業を経験されたとお伺いしました。どういったきっかけで、いつごろ取り組まれていたのでしょうか?

自分の市場価値を知るために転職ドラフトに登録し、オファーをいただいたのをきっかけに、昨年10月までの約1年間、飲食店向けモバイルオーダーを開発する企業にエンジニアとして参画していました。スマホでQRコードを読み込むと、メニューの確認から注文までがワンストップでできるツールで、参画当時の正社員エンジニアは3-4名ほどのベンチャーです。

ReactとTypeScriptといった私が得意とする技術をはじめ、日本でも採用事例がまだ少ないライブラリを使い倒していて、攻めの開発姿勢に興味をもったこと。それから、技術ブログから技術的にレベルが高いことが伺え、一緒に働いてみたいと思ったことからチャレンジしてみました。

兼業はどれくらいのボリュームだったのでしょうか。

週10時間ほどで、フルリモートでコードを書いていました。兼業自体初めてで、違う環境に飛び込むのも最初は緊張しましたし、自分の技術が通用するのか不安でしたが、兼業先のメンバーの年齢が自分と近く、すぐに打ち解けられました。

実際に開発に携わると、自分の技術が通用した手応えがありました。エンジニアへのサポート体制も整っていたので、本業にも負担がかからず安心して両立することができました。

兼業はカオナビの業務にどのような影響を与えましたか?

一番大きな影響を受けたのは技術面です。兼業先に優秀なメンバーが多く、ジョイン前に技術ブログを見ても刺激になったし、自分も頑張ろうと思えました。

その会社では、「カオナビ」よりモダンなフロントエンドを取り入れていて、コードの書き方や文化が参考になりました。また、個人的に新しい技術に触ってきましたが、実務レベルで触れることができたのも貴重な経験になりました。 兼業先でのメイン業務はフロントエンドですが、バックエンドやネイティブアプリの開発実務も経験できたのはよかったです。今も「カオナビ」で技術を導入する際の検討材料にできたり、設計や実装方法の知見を活用できたりしています。

カオナビには5年弱在籍して、普段はコードをレビューする側ですが、兼業先ではバイアスなくありのままレビューしてもらえて勉強になりましたし、第三者から見てもらえて知見が広がりましたね。

最後に、南さんの今後の目標を教えてください。

目下の目標は、技術負債の解消をやり遂げることです。その段階でようやく、フロントエンドで新しい挑戦ができる土壌が整うので、開発効率がよくなるフレームワークやライブラリ導入・検証を進めていきたいと思います。

また、FESTチームも自分一人だけでは手が回らず、やりたいことがやれてないので、新たなメンバーに加わってもらい、どんどん業務を拡張していきたいと思います。そのためにも新しい技術をいち早く取り入れて、面白い環境を作っていきたいです。

さらに将来的には、もう一度プロダクト開発に向き合い、ユーザー体験をより向上できるようなサービスを作っていけたらと思います。そのためにもフロントエンドだけでなく、バックエンドやインフラも学んで、“フルスタック”なエンジニアとして活躍したいですね。

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