「相手の立場に立つ」の本当の意味。新卒エンジニア4人が得た気づき

Interviewee

大谷 育未

仲田 夏輝

玉山 理央

別府 瞭

2021.5.6

2020年4月、カオナビに4人の新卒エンジニアが入社しました。

1年間をかけて研修とOJTを終え、「得られた学びはものすごく大きかった」と、苦楽入り混じった表情で口を揃えた4人。研修と言えど入社2カ月目には4人でチームを組み、開発進捗といったデータを管理するツールの新規開発を行なったそうです。

「最初は課題を提出しては戻されの繰り返しで、何が悪いのかも分かりませんでした」と、最年長の大谷は当時の思いを吐露しますが、ハードな研修を乗り越えた4人からは、確かな手応えを掴んだ様子が感じ取れました。

誰にでもたった1度しかない「社会人1年目」を経て、彼らはどのような成長を遂げたのでしょうか。フレッシュな4人の成長の軌跡を前編、後編に分けてお届けします。

エンジニアのイメージが覆った「ぎゅっと働いてぱっと帰る」働き方

まず、カオナビに入社した理由を教えてください。

玉山

私は専門学校の在学中に、複数社のインターンに参加していました。当時は正直、それぞれの会社の違いがよく分からなかったのですが、「カオナビだけは明らかに他の会社とは違う」と思いました。

いかにして無駄のないコードを早く書いていくか、というような経験を各企業で積ませてもらっていたのですが、カオナビで実際に取り組んだのはそうではなく、インターンながら「ロジカルシンキングを使って課題を解く」ような作業だったんです。これがとても面白く感じました。

加えて、カオナビのメンバーが、仕事に追われるというより主体的にのびのびと働いているように感じられ、私もこんな風に働きたいと率直に思いました。

プロダクト本部
サービス開発部
Kaizen2グループ
玉山 理央
千葉県出身。船橋情報ビジネス専門学校卒業。2020年カオナビ新卒入社。同期からは「マイペース」「謎に包まれている」というコメントがある一方、鋭い思考やエンジニアの資質を評価する声も。

大谷

働き方には、私もとても魅力を感じました。「エンジニアは長時間働く」というイメージを持っていたのですが、逆求人のイベントでカオナビを知り、「フレックス±20時間制度」という制度があることを知ったんです。

所定の労働時間から月間でプラスマイナス20時間を調整できる制度で、実際に活用している先輩たちはとてもスマートに働いているように見えました。

また、個人の頑張りを正当に評価してくれる成果主義の社風にも惹かれましたね。私も先輩たちのように、メリハリのある働き方をして成果を出せるようになりたいと感じたのを覚えています。

プロダクト本部
サービス開発部
Strategyグループ
大谷 育未
山形県出身。会津大学コンピュータ理工学研究科コンピュータ(情報システム学専攻)修士課程修了。2020年カオナビに新卒入社。4人の中では最年長。リーダー的存在で周囲から頼りにされている。

働き方や社風の魅力が、外から見てもよく分かったのですね。

仲田

確かに、「ぎゅっと働いてぱっと帰る*1」働き方はかなり魅力的でした。大谷さんと同じで、「エンジニアは夜遅くまで働くもの」というイメージが覆りましたね。

*1:カオナビの4つの行動指針の一つ

カオナビを知ったきっかけは、在籍していた専門学校主催のプログラミングコンテストでした。上位入賞者の特典としてカオナビの面接を受ける機会を得ることができたんです。

もともと自社開発のサービスに興味がありましたし、面接でお会いした社員の皆さんはとても魅力的だったので、ここで一人前のエンジニアを目指したいと思いました。

プロダクト本部
サービス開発部
Kaizen1グループ
仲田 夏輝
岡山県出身。専門学校岡山情報ビジネス学院卒業。2020年カオナビ新卒入社。技術への探究心は人一倍強い。「一番話しやすい」「フレンドリー」と同期から親しまれている。

別府

私もカオナビとの出会いは逆求人のイベントでした。そこで、平松(現プロダクト本部長)と話すと、「別府さんは、カオナビ以外の会社でも活躍できると思う」と言われたんです。

どういうことかと驚いていると、「でもカオナビでキャリアを積むことで、一人のエンジニアとして成長してほしい」と続けて伝えられました。こういうイベントでは、どの企業も自社の魅力のアピールに熱心になるものなのに、なんだかスタンスが違うなと。

一人のエンジニアのキャリアプランに重きを置く企業姿勢に惹かれました。

また、「プロダクトアウト」な会社の方針も、私の価値観と合っていました。

私は学生時代、自身が感じていた課題意識から「WEB会議中に参加者の感情を表すパラメーター」のツールを開発していたので、その経験を生かしつつ、技術に磨きをかけて、世の中を動かしていけるようになりたいというのが、当時思ったことですね。

プロダクト本部
サービス開発部
Platformグループ
別府 瞭
神奈川県出身。文教大学情報学部情報システム学科卒業。2020年カオナビ新卒入社。同期からは「オタク感のない真面目」「優しい」と慕われている。技術の習得意欲が高い。今後の目標は「サーバーサイドのエキスパートになる」

課題を提出しては戻され……半年間の実践研修で理解した“根本的な間違い”

入社後の研修は座学に始まり、5月からは新卒エンジニアのチームでの実践開発研修、10月からは各部署でのOJTという1年間でしたが、その中で特に印象に残っているものはありますか?

大谷

それはみんな同じだよね?(笑) 5月から半年間にわたって取り組んだ実践開発研修です。

「プロダクト本部の開発状況を可視化するツールを開発してほしい」というお題をもらいました。具体的には、開発案件の進捗状況や作業時間対比の成果を見える化するツールだったのですが、何か雛形があるわけでもなく、開発の進め方も決まっているわけでもなく、全て話し合って決めるように言われたので、本当にゼロの状態からのスタートでした。

それまでの座学研修では、プログラムやセキュリティの基礎知識を学んでいただけだったので、急にレベルが上がって驚きましたね。心の中では「マジですか」と思っていました(笑)。

かなりハードルの高い課題だったのではないでしょうか。

大谷

とても高かったです。どんな機能が必要で、それを実現するにはどんなデータが必要で、そのデータをどうやって取ってくるのか。更地の状態から4人で考えていくのはものすごく難しかったです。6月末には終了する予定だったのですが、最初のバージョンが完成したのは10月でした。

想定より時間がかかってしまったのはなぜですか?

大谷

全く終わらなかったからです(笑)。もちろん6月の予定でスケジュールを組んではいたのですが、思い通りに進まず、力不足を思い知りました。

できあがったものを福田(現VPoE 福田健)に見せにいくと、「まだ考慮が足りていない部分があるんじゃないかな?」と。時には「全然違う。そうじゃないんだよな」とも。

もらったフィードバックを4人で咀嚼して、つくり直して、翌週もう一度提出してもまたダメで。返されたのは4、5回じゃないよね?

大谷の苦笑いしながらの振り返りに、深く頷く一同

はっきりと「こうしてほしい」といったフィードバックはあまりなかったということですか?

大谷

そうなんです。だから最初のうちは、何が悪いのかも分からなかったんです。福田の言葉のニュアンスをどう咀嚼し、機能に落とし込んでいくかを考えるのに苦労して。課題を提出しては戻されを毎週のように繰り返していました。

別府

スクラム開発の大枠については座学で教わっていたのですが、実際にチーム開発をやったことはなかったので、開発は本当に手探り状態でした。

最初は正直、「作業時間のグラフを出すだけなら簡単でしょ」と思っていたんです(笑)。でも、福田とのやり取りを何度も繰り返すうちに、開発の進め方が根本的に間違ってるんだなと気づかされました。

というと……この実践研修の意図はどのような点にあったと感じていますか?

大谷

福田からは、「依頼者のニーズに応えるだけでなく、君たちがどういう考えでこのシステムをつくったのかを説明してほしい」と常に言われていました。

福田が発注するお客様の立場に、私たちが仕事を受ける企業の立場に置かれていたので、お客様の要望に対し企業としてどう応えていくかが試されていたのだと思います。

仲田

この研修で痛感したのは、相手がほしいものを提供することの難しさでした。

言い渡されたお題は「データを可視化してほしい」だけだったのですが、可視化したデータを使って相手が何をしたいのかまで考えることができて初めて、「この機能もあった方が良さそうだ」といったことに気づくことができました。

私たちに求められていたのは、相手の言う通りのシステムをつくることではなく、相手の視点に立った仮説思考でシステムを考えることだったんです。

「言われた通り」に価値はない。「人が求めるもの」と「自分がほしいもの」をつくる作業は全然違う

実践研修を終え改めて振り返ると、それぞれどんな気づきがありますか?

別府

がむしゃらにつくるのではなく、一旦立ち止まって、相手が求めるものを分析する重要性を実感しました。大学時代にサービスの開発経験はあったものの、自分が面白いと思うものと人が求めるものをつくるのとでは、わけが違いましたね。

大谷

私も大学院でシステム開発をしていたのですが、自分が「これがあったらいいな」と思うものをつくる段階で止まってしまっていたことに気づきました。

仲田も言っていましたが、それではお客様から「これが見たい」と言われたときに、「見えればいいんだな」と思ってつくるだけになってしまう。そうすると結局「確かに見えるようにはなったけど、これだけではどうにもならない」と言われて、最悪の場合つくり直しになってしまいます。

お客様の言葉を表面的に受け取るのではなく、「お客様が実現したいことは何か。それをできるようにするためにはこうしよう」と一歩進んで考えられるようになったのは成果だと思います。

学生時代にプロダクト開発をやってきた2人にとっても貴重な経験だったのですね。仲田さんと玉山さんはいかがですか?

仲田

私は、ただ技術を得ていけばよいというわけではなく、使う技術の選択肢を広く持つ必要性を感じました。

ある機能を実現する術を一個しか知らないのと、複数個知っている中から選ぶのとでは、開発過程それ自体が変わるのはもちろんのこと、完成したプロダクトの意味合いも全く異なるものになります。

複数の手段から一番良いものを選べる知識を身につけなければと思いました。

玉山

私は他のメンバーよりも開発経験が浅かったので、まずはコードの書き方からスタートしました。実践研修でフロントエンドを担当したのですが、この領域の技術はアップデートが早く、2年も経てば古いものになってしまいます。検索して出てきた古い情報をうっかり使ってしまうと、全然動かないんです。

最初はなぜ動かないのかすら、よく分からなかったのですが、検索の方法を変えて試してみたり、先輩やチームメンバーに聞いたりするうちに、情報の判別方法が分かるようになってきました。

実際に手を動かす中で、今後の糧になる学びを得られたと。この1年、先輩社員とのコミュニケーションはどうでしたか?

大谷

はい。先輩方はみんな優しくて、実戦研修で開発したツールの使いにくいところを教えてくれたり、「こうした方が良くなりそうだよ」と具体的なフィードバックをくれたりして、非常にありがたかったです。

厳しい言葉だけでなく、「この機能はよく考えられていいね」といったお褒めの言葉ももらえたのは嬉しかったですね。ほとんど在宅勤務だったのですが、Slackといったツールでリアルタイムのコミュニケーションをとりやすく、困ることはほとんどなかったような気がします。

Slack上でのやりとりにもすぐにレスポンスをいただけて、スムーズにコミュニケーションが取れたので困ることはほとんどなかったような気がします。

研修やOJTを通じて社内の人間関係も築くことができたんですね。ちなみに、実践研修で開発したツールは、今どのような状況なのでしょう?

大谷

実は……第一段階としてリリースはしたものの、まだ完成したと言える状態ではありません。足りない機能がまだまだあります。なので、今後も本配属後のメインの業務をこなしながら、時間を作って機能追加を含めたアップデートを行っていく予定です。

皆さん期待していると思いますので、ぜひ良いものができるように頑張ってください! 後編では、実戦研修の成果を発表したプロダクト発表会の様子とともに、1年間の出来事を総合的に振り返ってもらいます。

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