年齢もバックグラウンドもさまざまなメンバーが、それぞれの強みを活かして活躍しているカオナビ。この環境は、長年勤めた企業からのキャリアチェンジを果たした人にとっても、新たな挑戦の場となっています。
今回は、新卒から20年間勤めた会社を経て、42歳でキャリアチェンジを決断し、カオナビに入社した井上英樹さんにお話を伺いました。 入社わずか3か月でカスタマーエクスペリエンス部の部長に就任し、プロダクト改善をリードする井上さんに、転職に至るまでの背景、カオナビでの働きがい、そして新たな挑戦についてお話を伺いました。
執行役員まで務めたものの、自身の成長を求めて転職を決意
井上さんがカオナビに入社されてから現在までの担当業務について教えてください。
2025年4月に入社してから6月までは、プロダクトマネージャー(PdM)として「カオナビ」の新規機能や既存機能の改善といったところの企画に取り組んできました。この7月からはカスタマーエクスペリエンス部の部長に就任し、既存機能の追加開発や使い勝手の改善といった領域を中心に担当しています。

プロダクトデベロップメント本部
カスタマーエクスペリエンス部 部長
井上 英樹新卒で大手~中堅企業向けのECサイト構築を手がける企業に入社し、PLやPMを経験。最終的に製品開発部門で3年間執行役員を務め、2025年4月にPdMとしてカオナビへ入社。2025年7月よりカスタマーエクスペリエンス部の部長に就任。
井上さんは新卒から20年勤めた企業を辞めてカオナビに転職されたと伺っています。転職を考えたきっかけは何だったのですか?
個人としての成長実感が薄れていたことが転職のきっかけです。前職は大手~中堅企業向けのECサイト構築を手がける企業で、私は開発職として入社しました。最初はプログラマーとしてシステム開発に携わり、その後PL(プロジェクトリーダー)やPM(プロジェクトマネージャー)として大手企業や大規模サイトの構築に関わるようになりました。転職前の最後の3年間は、製品開発部門に異動して執行役員のポジションに就き、経営層の意向に基づいて部門を動かす立場になりました。
幅広い業務をご担当されていた印象ですが、それでも新しい挑戦を求めていたのですか?
確かに業務範囲は広かったものの、役職が上がるにつれて手を動かす機会が減り、物足りなさを感じていました。執行役員のポジションに就いたのは39歳のときですが、私はまだ成長過程にあると感じていて、もっと実践的に手を動かしながらチームをリードできる環境に身を置きたいという思いが強くなっていきました。
私は手を動かして形にすることが好きなんだと思います。戦略や戦術を考えることもしますが、メンバーと一緒になって実行していくほうが自分には合っていると感じます。前職は新卒中心の文化で、中途入社は非常に少なく、若手とは年次も大きく離れていたため、伴走するようなスタイルが取りづらかったのも、現場感を求めるようになった一因かもしれません。
井上さんのnoteも拝見しました。40歳手前と42歳とで2回転職を考えたそうですね。執行役員就任にはその引き留めのような意味合いもあったのでしょうか?
40歳手前のときは表立って転職の意思を伝えていたわけではありません。当時は40歳という節目を前に今後のキャリアを考えていた時期で、タイミング良く部門異動と執行役員就任の打診を受けたので「あと何年か続けてみよう」と思った、という流れでした。
参照:井上さんのnote
そこで今後のキャリアについて考えるようになったのはなぜですか?
社会人人生のちょうど折り返し地点に差し掛かったことや、子どもが小学生になって家庭とのバランスが少し取れるようになったこともあり、自分のキャリアをより真剣に見つめ直すようになったのがきっかけです。子どもが大きくなるまでは家族優先で自分の勉強時間もなかなか取れなかったのですが、それが落ち着いてきたことで自分の時間を再び確保できるようになったのが大きかったですね。
その後、42歳でまた転職を考えるようになったのは、特に明確なきっかけがあったわけではありません。3年間執行役員を務める中で、やはり自分のスキルアップやキャリアアップにもう少しフォーカスしたいという思いが再燃し、本格的に転職活動を始めました。
「やりたいこと」を軸にタレントマネジメント領域へ挑戦
初めての転職ということですが、どのように進められたのでしょうか?
BtoBのSaaS領域で働きたいという思いは明確でしたが、方向性を定めるまでには少し時間がかかりました。転職エージェントによってアドバイスも異なり、試行錯誤しながら進めたというのが正直なところです。
仕事と並行しての転職活動、どのように進められたのですか?
限られた期間の中で集中して活動しました。実は、転職サイトでは登録初期に多くのオファーが届く傾向があり、そのタイミングを逃さず行動することを意識しました。
最終的には4社から内定を獲得されたそうですね。その中でカオナビを選んだ決め手は何だったのですか?
一番の決め手は、挑戦してみたい領域だったからです。4社からの内定をいただいた上で、自身のこれまでの課題や今後のキャリアを考えたときに、よりフィットすると感じたのがカオナビでした。
タレントマネジメント領域の企業は他にもいくつか受けましたが、その中でもカオナビはプロダクトに近いポジションで直接関与できる余地があり、将来的にはマルチプロダクト戦略にも携われる可能性がある点に魅力を感じました。トップダウンで動くのではなく、自分で考えた戦術や戦略を動かしていく、そういう働き方ができそうだなと思ったのがカオナビだったんです。

タレントマネジメントに関心を持ったきっかけについて教えてください。
今後、働き方はますます多様化していくと思っています。その中で重要になってくるのが、個人のキャリアやスキルの可視化なのではないかと考えています。適切な人材配置ができなければ、会社も個人も成長できません。
前職では毎年多くの新卒が入社してきますが、年次が離れるにつれて彼らを適切に評価・抜擢できないことに課題を感じていました。世代が違うと、その人がどのようなスキルを持っているのか、今後どうしていきたいのかが見えず、本来ならもっと伸ばしていくべき若手を抜擢できないままになってしまいがちなんです。すると、つまらなくなって数年で辞めてしまう人も出てくるんですよね。
そうした背景から、若手が成長できる環境を整えるためには、スキルやキャリアを“見える化”する仕組みが必要だと実感しました。そうした課題に正面から向き合っているのが「カオナビ」のプロダクトで、そこが私の考えとマッチすると感じました。
ミドル世代(30代後半~50代)だと特に、年収や役職を重視される方も多いと思います。そんな中で、ご自身のやりたいことを一番の軸に据えたのはなぜですか?
私が前職で評価していただいていたのは、長年在籍していたおかげで会社の仕組みや人間関係を熟知しており、ステークホルダーマネジメントがうまくできていたからだと思っています。だからこそ、やりたいことに真正面から取り組み、それでも成果が出せるのかを試したかったという想いがありました。モチベーションを高く保って働けるかどうかを重視した結果が、自分のやりたいことを軸にするという方法でした。
採用フローの中で、カオナビに対する魅力を感じた部分はありましたか?
面接・面談はどちらかと言うとオープンな印象で、それが私にとっては話しやすくて良かったです。こちらの希望や適性についてもしっかり聞いた上で前向きなリアクションをくださったので、安心してお話しできました。それから、最後は私の希望で対面での面談もしていただき、エンジニアの方とも直接お話ししました。それも決断に大きく影響しましたね。
カオナビで感じた多様な視点とプロダクトへのこだわり
4月に入社されてから3か月が経ちました。カオナビで働いてみて、率直な感想をお聞かせください。
カオナビ社員は皆、プロダクトへのこだわりを持って働いていることを実感しています。企画に直接的には関連しないメンバーも含めて、皆が「競合対策だけに偏っていないか」「カオナビらしさを損なっていないか」など、あらゆる視点で意見を出してくれるんです。それぞれが自分の担当する領域に留まらず「どうすればもっと良くなるか?」を意識している点に、プロダクトへのこだわりを感じますね。
年齢やバックグラウンドに関係なく、会社やプロダクトの方向性に共感して働いている方ばかりですし、その上で自ら「こうしたい」と発信すれば誰かが拾ってくれる文化があるのも、カオナビのいいところだと感じています。そういった発信に対して「それいいですね」「以前こういう取り組みをしたけどうまくいかなかった」といった建設的な会話が生まれるので、積極的に挑戦しやすい環境があるように思います。
私はあえて毎日出社していますが、周りのメンバーはリモートワークだったり勤務時間がまばらだったりして、コミュニケーションが取れる時間は限られています。それでも皆が積極的にコミュニケーションを取ろうとしているので、働きづらさは無いですね。良い点は話し始めるとキリが無いくらいで、総じて働きやすい環境だと感じています。
一方で、組織を急速に拡大している段階にあるため、ルールや組織体制が追いついていない部分も見受けられます。そのあたりの課題については、改善活動に取り組んでいるところです。
新卒中心の文化だったという前職と、中途入社が多いカオナビでは、環境が大きく異なるのではないですか?
はい、かなり違いますね。特にカオナビのエンジニアは自分と同年代(40代)の方が多く、バックグラウンドもさまざまです。前職では自分で考えて決めるのがメインでしたが、カオナビに入ってからはメンバーに相談しつつ、異なる視点を取り入れて判断することができるようになりました。
前職ではどちらかと言うと、自分の指示に従ってメンバーに動いてもらうというスタイルでした。今は自分の考えに対して「その使い方いいですね」「前にそうしたときはこうなりました」と、メンバーがそれぞれ意見を出してくれます。自分の考えの偏りに気付けたり課題を見つけられたりするので、そういった環境は非常にありがたく、刺激にもなっています。
井上さん自身が、カオナビという組織に馴染むために努力したことがあれば教えてください。
積極的に社内イベントに参加したり、なるべく意識的にコミュニケーションを取るようにしたりと、顔と名前を覚えてもらえるよう努めました。また、わからないことがあれば遠慮なく聞くようにしています。このあたりは年齢やキャリアに関係無く、新しい環境に馴染むために必要なことだと考えています。
ただし、わからないことを単に「わからない」と伝えるのではなく、自分なりの視点や仮説を持って「私はここが課題だと思うのですが、なぜ今こうなっているんでしたっけ?」といった形で聞くようにしています。その方が相手との対話も深まりますし、自分の理解も進むのではないかと思います。

ユーザーの期待値を超える組織づくりへの挑戦
7月から部長に就任されて、今後はカオナビの組織づくりにも携わっていくことになるかと思います。どういった組織を目指したいと考えていますか?
1つは、ユーザーの期待値を超えるプロダクトをつくる組織です。ユーザーから寄せられるご意見に対応することは当然大切ですが、それだけではお客様の期待値の80点までしか出せません。お客様の期待値の先へ行くには、その課題の背景や本質を掘り下げ、根本から解決することが必要です。分析した改善点をプロダクトに反映し、100点や120点を提供できる組織にしたいと考えています。
それともう1つ、会社全体の目標と各部門・個人の目標との繋がりを深めたいと思っています。現在は個人の目標にフォーカスされがちで、組織全体の方向性との一貫性に欠ける部分もあります。そこを見直して、エンゲージメントを高めていきたいと考えています。
そのような組織を実現するためには、何が必要だと思いますか?
私も含めて、ディレクター職のレベルアップは大きな鍵になると考えています。たとえば、企画を起こす際にもう少し事実ベースで数字を見たり、営業担当者だけでなくディレクターもお客様と直接対話して、課題の本質を深掘りしたりといったスキルを高められたら、より価値のある、お客様の期待値を超える企画が生まれるのではないでしょうか。
もう1点、組織体制の見直しも必要です。これまではプロダクトの機能単位でチームが作られており、職種を横断したチーム編成となっていました。そのため、リーダーとメンバーとで職種が異なり、目標設定や評価を適切に行うのが難しい部分もありました。
7月からは職能別の組織に移行して、それぞれの上長がスキルや仕事内容を把握できる状態を作り、専門的な視点で目標設定や評価ができる体制づくりを進めています。従業員が自らの目標に対して主体的に取り組めるように、日々模索しています。
最後に、カオナビへの転職を考えているかたに向けて、メッセージをお願いします。
私自身、転職を考え始めてから行動に移すまでは3年ほど時間がかかりました。年齢を重ねていたからというのもあって、やはり迷いは少なくありませんでした。しかし、モチベーション高く働ける機会というのは限られていると今になって強く思います。
だからこそ、自分の中で「変わりたい」と感じたときは、できるだけ早く行動に移すべきだと思っています。仮に転職活動がうまくいかなかったとしても、それは今の自分の市場価値を知る良い機会になります。大切なのは、一度立ち止まってみて、自分としっかり向き合う時間をつくることです。
カオナビでは年齢もバックグラウンドも関係なく、お互いに意見を出し合ってより良いものを作ろうという風土があります。職種もポジションも多様で、幅広い業務に携わっているメンバーがいます。私もまだ入社して3か月ほどですが、意見や提案を出してメンバーと話し合う機会はとても多いです。
自ら声を上げれば、挑戦の機会が自然と巡ってくる。自身のキャリアを主体的に築くことができる環境が整っているのが、カオナビの魅力だと感じています。
自分の経験を活かしつつ、新しいことにも挑戦して自ら企業やプロダクトを動かしていきたいと思うかたなら、ぴったりの場だと実感しています。
