打席を自ら作り、挑戦を続ける。顧客視点でプロダクトの価値を生み出すカオナビのPMM

Interviewee

平野 拓海

吉田 しおり

2025.9.29

カオナビのプロダクトを成長させるうえで欠かせない存在、それが「プロダクトマーケティングマネージャー(以下、PMM)」です。

市場の変化や現場の声をふまえ、プロダクトマネージャー(以下、PdM)と緊密に連携しながら、「カオナビ」の新機能やプロダクトそのものの価値をお客様に届ける役割を担っています。

本当に必要とされるプロダクトを作り上げるため、何でも挑戦できる環境だからこそ、難しさとおもしろさがある。そう仕事の魅力を語るのは「カオナビ」のPMMを務める平野さんです。

今回は、PMMがどのように介在価値を発揮しているのか、プロダクト開発を牽引するPdMの吉田さんとともに詳しく伺いました。

開発から魅力訴求まで。PMMはプロダクトを届けるための“何でも屋”

お二人のカオナビでの担当業務と、これまでのキャリアについて教えてください。

平野

現在はプロダクト戦略部で、「カオナビ」のPMMを務めています。

前職ではメーカーで産業用ロボットの営業を経験した後、ジョイントベンチャーへ出向して事業企画を担当しました。ロボット導入を通じて「誰もが働きやすい環境」を整備できるやりがいを感じていた一方で、もっと直接的に人を支援する仕事がしたいと考えるようになったんです。

人の可能性を広げるプロダクトを扱っていること、そして企画経験を活かせるPMMというポジションに魅力を感じ、2024年8月にカオナビへ入社しました。

プロダクトデベロップメント本部
プロダクト戦略部
プロダクトマーケティングマネージャー(PMM)
平野 拓海
メーカーで産業用ロボットの営業を経験後、ジョイントベンチャーにて事業企画を担当。2024年5月にカオナビへ入社。顧客の声や市場動向をもとに、PdMをはじめとする開発チームと連携しながら「カオナビ」の価値を正しく届ける役割を担っている。

吉田

私は「カオナビ」のPdMとして、全体的なプロダクト戦略の立案やロードマップの策定、機能開発の優先順位決定を担当しています。

新卒で入社したSIerでは9年間、プログラマーからプロジェクトマネージャーまで経験しました。短期間で担当プロジェクトが変わる環境だったため、一つのドメインやプロダクトに腰を据えて取り組みたいと考えるようになり、2018年にカオナビへの入社を決めました。

カオナビは当時から柔軟な働き方を推進していて、長年の趣味だったボイストレーナーの仕事に副業としてチャレンジできる点も魅力的でした。

プロダクトデベロップメント本部
兼 プロダクト戦略部
プロダクトマネージャー(PdM)
吉田 しおり
SIerにて9年間、プログラマーからプロジェクトマネージャーまで幅広い業務に従事。2018年にカオナビへ入社し、タレントマネジメントシステム「カオナビ」のプロダクト戦略立案やロードマップ策定、機能開発の優先順位づけを担当している。

カオナビにおけるPMMの役割とは、どういったものなのでしょうか?

平野

大きく二つの役割があります。

ひとつ目は、新しい機能の価値をお客様に正しく届けることです。「カオナビ」は次々に機能がアップデートされますが、その内容や便益を十分に理解していただくには工夫が欠かせません。そこで「どんな機能なのか」「どんな価値をもたらすのか」を整理し、マーケティングチームと協働しながら、営業資料やプレスリリースなどのメッセージに落とし込んでいます。 また、市場環境の変化やタレントマネジメントの多様化を受けて「『カオナビ』は他社製品と何が違うのか」といった、プロダクトそのものの価値も発信しています。

二つ目は、「誰に何を届けるか」を見極めることです。日頃、セールスやカスタマーサクセスを通じてさまざまな要望が寄せられますが、それらを単に集約するだけでは、本当に求められる機能の開発にはつながりません。

そこでPMMは、お客様の業務に対する解像度を高めつつ「この機能は誰にとって価値があるのか」「実際にどんな場面で使われるのか」を探り、PdMや開発チームにフィードバックしています。

同じ人事部門でも、企業規模や業界によって求められるものは大きく異なります。だからこそ、対象を見極めてニーズを深掘りすることがPMMに求められている役割だと考えています。

このように、マーケティング・営業・カスタマーサクセスなど多くの部門と連携しながら、開発からリリース後の価値伝達まで一貫して関わるのが、カオナビにおけるPMMの仕事です。

徹底的な顧客理解とデータ分析から「本当に必要とされる機能」を導き出す

PdMとの連携について、さらに詳しく教えてください。

平野

まず私がお客様へのインタビューや人事領域に詳しいエキスパートの方へのヒアリングを行い、そこから得られた示唆をPdMに共有し、新機能の企画や開発に反映しています。具体的には、機能開発の要望だけでなく、お客様自身の業務プロセスを伺い、どのような場面で何に困っているのか、現場の仕事を深く理解することを大切にしています。

加えて取り組んでいるのが、データの収集と分析です。PdMは多くの要望の中から、開発の優先順位を判断する必要がありますが、その際には「その開発が、どのくらい売上にインパクトを与えるか」が重要な判断基準となります。

そこで、これまでの商談データから失注要因などを洗い出し、お客様から求められているのに「カオナビ」に足りていない機能などがあれば、PdMに共有しています。

PdMの吉田さんから見て、PMMの動きはどのように映っていますか?

吉田

プロダクト開発側の立場では、セールスやカスタマーサクセスを通じてお客様の要望を伺ったとき、要望の解像度を上げ「どう実現するか」を考えることに多くのリソースを割いています。そのなかで、平野さんはお客様にきめ細やかなインタビューを行い、現場のリアルな声を拾い上げ、わかりやすい業務フローに落とし込んで伝えてくれます。

こうした情報があると、社内で挙がっていた開発要望が、実際に業務の流れでどこに結びついているのかが明確になります。その結果、開発の優先度を判断する根拠としても非常に役立っているんです。

開発チームは、基本的に人事の仕事経験がないため、「カオナビ」というプロダクトを開発するうえで、ドメイン理解のハードルは決して低くありません。平野さんたちPMMが、その部分を丁寧にかみ砕いて共有してくれることで、社内のノウハウ蓄積という観点でも大きな助けになっています。

平野さん自身も、人事業務は未経験ですよね。どのようにドメイン理解を深めているのですか?

平野

ヒアリングの場でただ漠然と質問しても、得られるものは限られます。そこで大切なのは、あらかじめ「こんな課題を抱えているのではないか」と仮説を立てたうえで、検証していく姿勢です。

特別な方法ではありませんが、「現場」を知っている人との接点を多く持ち、知見を広げながら仮説検証の精度をだんだんと高めていく。それが大きな発見や気づきにつながると考えています。

現場との接点から生まれた、仮説検証と価値創出

実際に、仮説検証とユーザーインタビューを機能開発に活かしたエピソードを教えてください。

平野

通勤時間の一括検索オプション「通勤経路サーチ(ロケーションサーチ)」の機能開発を進めていたときのことです。

この機能は、小売り業界など、多店舗展開を行うお客様が、従業員の配置転換を検討する際に活用いただくためのものです。当初は「指定した店舗に対して、複数の従業員の通勤時間を検索する」という店舗を軸とした検索パターンのみでした。

ロケーションサーチをリリースした1か月後に、開発チームにPMMとして参画しました。当時、次に開発すべき機能を探索している段階でしたが、仮説としていたターゲットを踏まえると、その機能ではお客様のニーズを十分に満たせないのではないかと感じました。そこでユーザーインタビューを行った結果、お客様から期待されている機能と開発中の機能にギャップがあるとわかり、プロダクト開発チームに提案して検索方法を変更したんです。

どのような変更だったのですか?

平野

一般的に、多店舗展開のお客様は人材の流動性が高いため、リリース時は離職者の補充など、店舗を軸とした検索ニーズが大きいのではないかと想定されていました。ただ、お客様の異動業務を想定すると「指定した従業員が、どの店舗に通勤できるか」という、逆引きでの検索ニーズも大きいのではないかと考えていました。実際、ユーザーインタビューでも「今の検索パターンとは逆引きの検索がしたい」という強いご要望をいただいたんです。

リリース後、ヒアリングに協力いただいたお客様から「本当に助かった」「作業時間が10分の1に減った」との声をいただき、携われてよかったと実感できた出来事のひとつです。

やはり実際の業務を深く理解し、お客様に確かめに行くことがポイントなんですね。

平野

そうですね。とくに、課題を切実に解決したいと考えている方の声を汲み取ることが重要だと思っています。そこで、利用データから既存機能を頻繁に使うお客様を特定し、優先的に声を伺いました。そうしたインサイトを機能開発に反映することで、結果的には他のお客様にとっても広く便益が生まれると考えています。

吉田

平野さんは、仮説立てからインタビュー実施、ファクトの整理まで、いつも驚くべきスピード感で進めてくれます。大量の情報をマクロからミクロまで分解・構造化するのも非常に早く、本当に助かっています。

吉田

ある課題が見つかった際には、顧客管理ツールのデータを1行ずつ確認し、翌日にはレポートを仕上げてくれたこともありました。さらに、客観的な事実に加えて平野さん自身の視点も含めて共有してくれるので、次の意思決定へスムーズに進めることができています。

アウトプットの量、こだわり抜いて調べ抜く姿勢が、とにかくすごいですね!

必要なことはすべてやる。だからこそ、カオナビのPMMは難しくておもしろい

カオナビでのPMMの仕事に感じる魅力や醍醐味は、どのような点にありますか?

平野

大きく二つあります。

まず一つは、プロダクトをより良くするために、自ら打席を作り、挑戦できる点です。必要なことは、文字通り「何でもやる」。しかも、解決すべき課題から自分たちで見つけ出さなければなりません。難しさと常に表裏一体ではありますが、イシューを探し、課題解決を実現する力や周囲を巻き込む力を磨けるのも、この仕事のおもしろさだと思います。

もう一つは、あらゆる事業フェーズに携わるチャンスがある点です。現在は「カオナビ」以外にもプロダクトがあり、0→1の立ち上げフェーズ、1→10の成長フェーズ、10→100の拡大フェーズ、それぞれの環境でPMMとして活躍できます。

平野さんがPMMとして仕事をするなかで、喜びや手ごたえを感じるのはどのような瞬間でしょうか?

平野

何よりも達成感が得られるのは、やはりお客様から感謝の言葉をいただいたときです。また、自分が頭を悩ませて考えたプロダクトの訴求メッセージが、営業部門などで活用されていると知ったときも、嬉しかったですね。

タレントマネジメントツールは今や世の中に数多く存在し、機能面だけの比較では差別化が難しくなってきています。だからこそ、カオナビが目指す未来や、大切にしている価値観といった情緒的なメッセージをいかに表現し、届けていくかも非常に重要です。そうしたメッセージが現場で役立っているのを見たとき、自分の介在価値を実感できます。

吉田

PMMの皆さんのおかげで、新機能リリースの効果は2倍や3倍どころか、10倍以上になっていると感じます。

開発チームはリリース直前まで調整に追われることも多く、お客様への「伝え方」まで手が回らない場合があります。そんなときに平野さんはすぐにボールを拾い、お客様の背景や状況を踏まえてリリース内容にストーリーを付加して共有してくれます。営業メンバーからも「お客様に説明しやすくなった」「共感を得られた」といった声を多くもらうようになりました。

最後に、カオナビで働くことに興味のある方へメッセージをお願いします。

吉田

お客様と市場とプロダクトをつなぐ“接着剤”になってくださる方に、ぜひ来ていただきたいです。お客様が抱える課題をプロダクトに反映するというサイクルを高速に回していく。そのためのアクションを、ぜひ一緒に考えながら実現していきましょう。

平野

カオナビの社内には、拾うべきボールが数多く落ちています。どこから拾いに行くかを含めて、解決に向けて圧倒的な行動量で成果につなげていく姿勢が不可欠です。フットワーク軽く自ら動き回れる方は、カオナビのPMMとして大きく活躍できるはずです。

人事の仕事やタレントマネジメントの領域には、一律の正解が存在しません。だからこそ「カオナビ」の活用方法は多様な可能性があり、まだまだ魅力を発信できる余白があります。そんなプロダクトの魅力を、一緒に広げていけたら嬉しいです。

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