AI時代のプロダクトと組織をどう変革するか──大企業化のフェーズで、カオナビが“Game Changer”を求める理由

Interviewee

尾張部 佑亮

2026.2.10

生成AIの進化とともに、プロダクト開発のあり方も大きな転換期を迎えています。カオナビが掲げる新ビジョン「Talent intelligence™(タレントインテリジェンス)」は、単なる技術トレンドへの追随ではありません。人と組織に向き合い続けてきた思想を、AIという新たな武器でプロダクトへ落とし込み、お客様へこれまでにない価値を届けようとする強い意思表明でもあります。

今回お話を伺ったプロダクトデベロップメント本部長の尾張部さんは、この新ビジョン実現を開発から牽引するキーパーソンの一人です。AI時代におけるプロダクト開発から、組織づくり、そして今後の展望まで、開発組織の実状を掘り下げます。

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タレントマネジメントの思想を、生成AIという武器でプロダクトへ落とし込む

尾張部さんがプロダクトデベロップメント本部長として担っている役割と業務領域について教えてください。

尾張部

現在は、プロダクト開発そのもの強くフォーカスした役割です。以前はプロダクトマネジメントまで含めて見ていたので、今よりもさらに広い領域を担当していました。しかし、プロダクトマネジメントには顧客理解ビジネス戦略経営視点など非常に高い専門性が求められます。そこは専門性の高いプロダクトマネージャーが担ったほうが良いと判断し、2025年10月にプロダクトプランニング本部としてPM機能を切り出しました。

プランニング本部が顧客セグメントに基づき「カオナビのどの機能に注力するか」という上流の企画を担うのに対し、私の率いるプロダクトデベロップメント本部は、その企画を実現することが主なミッションです。その統括が私の主な役割となっています。

また、当社特有の役割として、各部門の本部長が強い人事権を持っている点も特徴です。私も開発組織における人事制度の最終執行者として、全社共通の評価制度をベースにしつつ、エンジニアリング組織にローカライズした評価基準の策定や運用も行っています。

プロダクトデベロップメント本部長
尾張部 佑亮
新卒で独立系SIerに入社後、3年ほどSEとして働く。放送作家になりたくて脱サラするが上手くいかず、ソーシャルゲーム会社に転職する。その後、2019年にサーバーサイドエンジニアとしてカオナビに入社。プロジェクトのエンジニアリーダーやマネジメントを経て、2023年7月よりプロダクトデベロップメント本部長を務める。

新ビジョン「Talent intelligence™」について、プロダクトデベロップメント本部としてはどのように捉えていますか?

尾張部

カオナビが大切にしてきた「個の力を最大限に引き出す」というタレントマネジメントの思想を、生成AIという現代の技術で再定義したものだと捉えています。 以前から「個」フォーカスする重要性は理解していましたが、人間が一度に扱える情報量には限界があります。一人ひとりに寄り添ったマネジメントを理想としながらも、現実的には工数の壁に阻まれていました。

その点、AIであれば膨大な情報を瞬時に処理し、要点や示唆を提示できます。これまで理想論だった世界が、AI技術によってついに現実味を帯びてきたんです。そういう意味で、このビジョンは決して夢物語ではないと感じていますね。

このタイミングで新ビジョンが打ち出された背景には、技術的な要因もあるのでしょうか?そのなかでも尾張部さんの役割も教えてください。

尾張部

やりたかったことに技術が追いついてきたという側面は大きいと思います。それに加えて、経営体制の変化を踏まえ、改めて「自分たちがどこを目指すのか」を示す意味合いもあったのではないかと思っています。

そのなかで、自分の役割としては、開発メンバーには「ビジョン実現のために、どのような機能が必要か」を具体的に翻訳して伝えること。経営層や他部署には「開発組織がどうビジョンを形にしようとしているか」を共有すること。

この橋渡し役こそが、本部長としての私の責務だろうと考えています。

技術面においては、具体的にどのような要素が重要になるのでしょうか?

尾張部

やはり生成AIの活用欠かせません。これまでのプロダクトはデータを蓄積することが中心で、その解釈や活用はユーザーに委ねられていました。そこに生成AIを組み込むことで、AIがデータを分析し、最適化されたプロンプトに基づいて結果を出力してくれます。この「データから示唆までを最短距離でつなぐ」点が、従来との大きな違いです。

生成AIの活用について、技術的な難易度はいかがでしょうか?

尾張部

私たちは基盤モデルそのものを研究開発するわけではありません。注力しているのは、既存のAI技術活用し、蓄積されたデータ適切に分析できる形に落とし込む「加工」のプロセスです。最先端の研究開発そのものではなく、プロダクトの価値を最大化するためのエンジニアリングに軸足を置いています。

スピード、挑戦、安全性。拡大する組織で「自由」と「規律」を両立する仕組み

組織づくりの面で意識していることはありますか?

尾張部

組織の成長に伴う変化への対応を強く意識しています。ここ数年、開発組織は毎年増員しており、従来のフラットなやり方だけでは効率や品質を担保できなくなってきました。 個性を尊重する思想は守りつつも、一定のプロセスや基準を統一しなければなりません。

現在は、拡大していく組織に対応した運営の仕組みづくりに取り組み、業務プロセスの整備定期的なメッセージ発信などにも注力しています。

自由な文化と、組織としての仕組み化。そのバランスを取るのは難しそうです。

尾張部

試行錯誤の連続ですね。大切にしているのは、細かな手順で縛るのではなく「アウトプットの基準」「組織の方針」を明確に言語化することです。「この組織はこういう方針だから」という共通認識があれば、現場は自由度を持ちながらも同じ方向を向けます。

また、課題解決の当事者を適切に設定することも心がけています。現場に近い課題は現場主導で、人事制度や組織構造などの全体最適が必要なテーマは経営層が責任を持って判断する。この切り分けには気を付けています。

「タレントインテリジェンス™」実現のために、「スピード・挑戦・安全性」を両立する文化を築いていると伺いました。この3つを重視している理由を教えてください。

尾張部

タレントマネジメント市場が成熟してきた今、開発の遅れは競合他社に後れを取ることに直結します。だからこそ「スピード」は当たり前に備えるべき要素だと考えています。一方で、「安全性や品質」も決して犠牲にできない最優先事項です。

そして「挑戦」ですが、カオナビは昔からボトムアップの組織改善を大切にしてきました。現場の裁量が大きい分、メンバーが挑戦し続けなければ会社としての成長は止まってしまいます。個人のキャリア形成と会社の成長、その両輪を回すために「挑戦」を奨励する文化を守り続けています。

スピードと品質の両立は理想的ですが、実際には難しさもあるのでは?

尾張部

「スピードを落とせば品質が上がる」というのは幻想だと思っています。能力の高いエンジニアはスピードと品質を両立していますし、反対に新入社員がものすごく時間をかけたからといって、良いものができるわけでもありません。

もちろん、今日作って明日リリースする、といった極端な計画では時間が足りません。結局のところ、スピードと品質の両立の鍵は、プロジェクトマネジメントのスキルにあると思うんです。その知見を深める講演会や育成の取り組みは、組織として積極的に行っています。

ナレッジ共有や学習の仕組みについては、カオナビ独自の仕組みがあるように感じます。

尾張部

弊社には「学びたい人を支援する」という考え方が根底にあります。一律の研修を強制するのではなく、自主的な学びに最大限の支援をする。例えばカンファレンス参加時の交通費支給などは行いますが、参加自体は自由です。こうして自主性に対して最大限の支援をすることが、個人の成長にはいいと考えているんです。

その結果、自発的な勉強会がいくつも立ち上がり、自然とナレッジを共有し合う「ギブ・アンド・テイク」の文化が根付いていったのだと思います。

カオナビの開発組織には勉強熱心な方が多いのですね。他にも、メンバーに共通して感じる特徴や思想はありますか?

尾張部

自分がなぜこのミッションに取り組んでいるのか、仕事の意味や背景を丁寧に考え、お客様にとっての価値や周囲への影響を意識しながら仕事を進めている真面目な人が多いですね。その結果、新しく入社したメンバーへのオンボーディングが手厚く、立ち上がりを支える文化自然と根付いています。

一方で、周囲への配慮が強い分、本音での議論がしづらくなり、意思決定が遅くなる場面もあるのではないかと感じることはあります。

変化を前提に進化する組織へ。カオナビ開発組織のこれから

開発組織の今後の展望について、タレントインテリジェンス™の観点も含めながらお話を聞かせてください。

尾張部

まずは自分たちのマネジメントに、よりタレントインテリジェンス™を取り入れていく必要があると考えています。自社のマネジメントにおいて、データを十分に活用できているかというと、実態としてはまだ不十分な部分もあります。

そのため、まずはマネージャー層が率先して自社プロダクトを使い込み、データを活用したマネジメントを実践することで、お客様にとっての本質的な価値を磨いていきたいと考えています。

また、AIが担う工程が増える中で、開発プロセスそのものの再設計も必要です。これまでの開発工程をどう組み替え、AIと人間の役割をどう最適化するか。従来のやり方から発想を転換させなければなりません。これは将来像というより、すぐにでも向き合うべき現実的なテーマでもあります。

従来のやり方から発想を転換するのは簡単ではないと思いますが、どのように進めていくのでしょうか?

尾張部

プロセスをどう変えるかという探索や検討はボトムアップで進めつつ、全体で変える段階ではトップダウンが不可欠です。方針を明確に示し、マネージャーを通じて浸透させることで、スピード感を保ったまま新しいやり方へ変えていこうとしています。

カオナビは、組織体制の変化を重ねながらも、安定して成長を続けている印象があります。その理由は?

尾張部

経営層が変化を前提に考えており、非常に柔軟である点が大きいと思います。組織体制を変えるのは、それがその時点での最適解だと判断しているからです。会社全体にその考えが浸透しているため、メンバーも変化に対して過度な不安を抱かず対応できているのではないでしょうか。そもそも変化を嫌う人はカオナビには合わないんですよね。

常に最適解ではなくともベストなアクションを取り続けようとする姿勢が、結果として市場に受け入れられて、売り上げや成長につながっているのだと思います。

変化に伴う反発や混乱をどう抑えているのですか?

尾張部

たとえ良い施策であっても、突然の制度変更は理解するまでに時間がかかり、ショックを受けてしまうものです。その「驚き」をいかに和らげるかを重視しています。

開発組織では、大きな変更がある際はまずマネージャー層に事前共有を行い、その上で私から全体へ説明するプロセスを踏んでいます。根回しを丁寧に行うことで衝撃を和らげている、という感覚ですね。

開発組織の未来像を見据え、尾張部さんご自身が特に取り組んでいることはありますか?

尾張部

組織が拡大する中で、部長やマネージャーといった階層と、テックリードのようなロールの関係性をより明確に定義していく必要があると考えています。人数が増えていくにつれて「この仕事は誰の責任なのか」が曖昧になりやすくなります。だからこそ、迷わず効率的に業務を進められる仕組みを整えることが、これからの私の役割だと捉えています。

カオナビは今後も拡大を続け、大企業へと移行していくフェーズにあります。今入社するエンジニアはどのような経験や成長を得られると思いますか?

尾張部

今のカオナビは、スタートアップのように「とにかく何でもやってみる」といったフェーズではなくなっています。しかしその分、プロジェクトの規模難易度は格段に上がっています。プロジェクトの複雑性も高く、生成AIを活用した機能開発にも取り組んでいますから、個人のキャリアにおいては単に「SaaS企業で開発していた」という以上に深く、大きな意味を持つ経験が得られるはずです。

最後に、求める人物像について教えてください。

尾張部

カオナビでは全社的に“Game Changer”となる存在を求めています。規模が大きくなった今、変革を起こすのは簡単ではありません。だからこそ、その壁を乗り越えて「改善したい」「変えたい」という強い意思を持ち、自ら動ける人に来ていただきたいですね。

特にベンチャーや比較的規模の小さい企業でリーダー経験を積み、次の一歩として難易度の高い課題に挑みたい方にとっては、カオナビは非常に挑戦しがいのある環境だと思います。官公庁やエンタープライズ向けの高難度な案件を、SIerではなく事業会社の立場で経験できる点は、大きな価値があるのではないでしょうか。

これまでの経験を活かしながら、さらに高い壁に向き合ってキャリアを伸ばしていく。そんな環境を求めている方には、カオナビはぴったりです。一緒に会社の成長に挑戦していただける“Game Changer”の方をお待ちしています。

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