「何もかもはやらない」導入支援のプロ。顧客の自走を目指す仕事哲学

Interviewee

菅原 裕貴

金子 宏美

中江 亜子

2022.3.31

カオナビのカスタマ―エンゲージメント本部はミッション別に4つのチームで構成されています。今回は、SaaSにおける最重要過程であるオンボーディングの支援を中心に取り組む「カスタマーコンサルティンググループ」に注目。金子さん、中江さん、菅原さんそれぞれの感じる仕事の面白みややりがいについて詳しく語ってもらいました。

100年続くレガシー領域から、最先端のテック企業へ

まずは皆さんのカオナビ入社前の経歴、転職を考えはじめた理由についてお聞かせください。

金子

私はカオナビが2社目で、前職は求人広告の代理店で8年ほど働いていました。主に紙媒体を扱っていて、新聞折り込みや雑誌、フリーペーパーなどの広告の発注業務や営業業務を行っていました。

当然ITには疎く、毎日FAXがフル稼働しているような環境でした。業界的にも縮小傾向にあるなと感じる中で、成長市場に身を置きたいという気持ちが芽生えてきたんですよね。また、代理店という立ち位置ではなく、「自社製品を扱っている会社で働いてみたい」と思い、転職を決意しました。

カスタマーエンゲージメント本部
カスタマーサポート部
カスタマーコンサルティンググループ
金子 宏美
全国の求人メディアを扱う広告代理店に新卒で入社し、広告の発注業務や営業業務を経験。2017年1月にカオナビに入社後はほぼ一貫してカスタマーサポート業務に従事。現在は中堅~大手企業のサポートを中心に、機能活用のノウハウ資料作成や機能勉強会の運営を担当。

中江

私もカオナビが2社目です。新卒で入社したのは印刷関係のメーカーで、営業として3年半勤めていました。前職は老舗の会社ということもあり、既存のお客様とのやり取りがメインだったんですね。お客様との関わりの中で、いただく相談の意図を汲み取り、そのニーズに適切に応え続けることがやりがいだと感じるようになり、顧客支援にフォーカスできる仕事への転職を考え始めました。

菅原

私は新卒で大手物流会社に入社し、営業所やコールセンターでの業務を2年半ほど経験しました。その後、本社の情報システム部門へ異動になり、ドライバーが業務で使用するシステムの機能開発、運用設計に携わりました。

転職を考え始めたのは、30歳手前ぐらいで働き方の価値観が変わり始めたからです。会社規模が大きい分、自分の仕事が経営にインパクトを与えられている感覚を得られず、企業信用調査会社に転職しました。多くの中小企業の経営者と会話をする中で、「会社の抱える課題って最終的には人に行き着くことが多いな」と思うようになりまして…。そこから、人材に関する課題解決に取り組める会社を次の転職先として探しているなか、HR Tech業界に出会ったんです。

では、そんな皆さんがカオナビに入社したのはなぜでしょうか。

金子

私は、ベンチャーだけれども、仕組み化を意識して効率よく働き、事業を成長させていける会社だという点が決め手でしたね。前職の広告代理店と比較しても柔軟な働き方ができそうだと魅力に感じました。

中江

生産性を重視している点には魅力を感じました。あと、一つの会社で一つのプロダクトをみんなで作っていく点にも面白みを感じましたね。「様々な役割、あらゆる視点をもつ人達が同じベクトルを向いて、一つのサービスを追求するのはやりがいがありそう」だと思って選びました。

菅原

私はHR Tech業界のなかでも、タレントマネジメントというジャンルへの興味と、その分野におけるリーディングカンパニーであるという点に惹かれて選びましたね。

皆さんそれぞれ、前職ではいわゆるレガシーな業界に身を置いていたわけですが、カオナビに入社して感じたギャップはありましたか。

菅原

私は前職が2社とも創業100年以上の老舗企業だったので、ベンチャーに対して「イケイケ、どんどん」みたいな雰囲気なのかなという先入観がありました(笑)。それは若干の懸念でもありつつ、一方でスピード感には憧れもありました。

いざカオナビに入ってみると、いい意味で「落ち着いているベンチャーだな」と感じました。想定していた通り意思決定のスピードは速いんですが、例えば社長の一存で突き進むなどといった勢い任せのものではなく、「仮説や根拠ありきでなされているな」と感じたんです。それぞれが主体性をもち、垣根を超えた連携を大切にしている組織なんだなと思いました。

中江

私も前職が創業90年以上だったので、菅原さんと同じく「未知の世界だな」という印象でした。「仕組みや制度が整っていない雑多な感じなのかな…」とも思っていましたね。でも、カオナビは小さい組織ながら役割分担がしっかり決まっていて、1人があれもこれもやるのではなく、チームで細かくパスを繋ぎながらゴールに向かうような仕事の進め方でした。そこに冷静さや落ち着きを感じましたね。

カスタマーエンゲージメント本部
カスタマーサポート部
カスタマーコンサルティンググループ
中江 亜子
新卒で印刷関係のメーカーに入社し、営業としてお客様の課題解決や売上管理、メンバーの業務サポートなどを幅広く行う。2018年2月にカスタマーサポートとしてカオナビに入社。導入顧客の運用サポート・設定代行支援や、サポートグループ内の業務改善などに従事。

金子

私も2人と同じで、業務内容が決まっていなくて、「『何でもやれ!』とか言われるのかな…」という不安があったんですが、いざ入社してみるとミッションや業務が明確に決まっていたので、キャッチアップしやすかったかなと思います。

「なんでもできるからこそ、“なんでも”はやらない」。カスタマーコンサルティンググループの仕事の妙味

ここからは、3人が所属するカスタマーコンサルティンググループについて詳しくお聞きしていきたいのですが、具体的にはどのような役割を担っているのでしょうか。

菅原

「カオナビ」ユーザーに対して、“有償”で専任のサポートサービスを提供しています。このサービスは「カオナビ」の新規導入時に併せて申し込まれるお客様が圧倒的に多いため、オンボーディングが主なミッションですね。

具体的には、お客様の社内の人事評価制度に応じたデータベースの設定代行や、「カオナビ」運用プロセスのレクチャーなどが主な支援内容です。もともと「カオナビ」は、お客様側でやりたいことが定まっていて導入いただくケースの方が多いんですが、なかには「タレントマネジメントをやりたい」とざっくりした状態で導入を検討されるお客様もいます。そのようなお客様に対して、「カオナビ」をうまくご活用いただけるように課題の整理や解決策の擦り合わせなどを一緒に進めていきます。

カスタマーエンゲージメント本部
カスタマーサポート部 部長 兼 カスタマーコンサルグループ マネージャー
菅原 裕貴
大手物流会社のサービスセンターで顧客対応、情報システム部門にて業務システムの設計・運用構築を担当。その後、企業信用調査会社での中小企業支援の経験を経て、2018年1月にカオナビに入社。100社以上の導入支援サポートを経験した後、2019年よりサポートデスク運営および専任サポートサービスのマネジメントを担当。2021年10月よりカスタマーサポート部長に就任。

菅原

「カオナビ」はお客様ご自身でマニュアルや説明動画を見ながら、自社に合わせてカスタマイズしていくプロダクトなので、あくまでも“お客様が自走できるまで”をサポートするのが私たちの役割です。

金子

確かに、「まだ人事評価制度が固まっていない」「これから新たな人事評価制度をつくりたい」といったお客様の壁打ち相手になることは多いですね。例えば、「360度評価を運用したいと思っているんだけれどこういう懸念があって…」といただいた相談に対し、「他社ではこういう運用をしているケースが多いですよ」「実際に運用するとこんな懸念も生じるかもしれません」といったやり取りはよくあります。決まったものをシステムに落とし込むだけの仕事ではなく、システム化するにあたってより良いものに改善をしていくお手伝いもしていると思います。

お話を聞いているとカスタマーサクセス(以下、CS)に近い印象を受けますが、皆さんのお役割は、CSとはどう違うのでしょうか。

菅原

CSはお客様と伴走しながら活用方法を提案し、一緒に目標を定めていく、別の言い方をすると“引っ張っていく”イメージです。一方で、私たちは目標に至るプロセスをお客様が着実に一歩一歩進んでいけるよう、“後方支援する”イメージでしょうか。

金子

補完関係にあるのかなと感じています。お客様が、CSと共に設定したゴールに向かって確実に到達できるように、私たちはテクニカルな側面から具体的な実現方法を設計、提供していくんです。時に、お客様が横道に逸れそうになったり、本来のゴールを見失いそうになった場合は、「その手段は目的達成のためには取れません」としっかりお伝えするシーンもあります。

中江

二人が言うように、それぞれの役割がありますよね。CSはお客様が登るべき、到達すべき山を決め、私たちはその山を一緒に登る、登ることを支援する位置付けです。特に私たちの行っているサポートサービスは、「カオナビ」のご利用とは別途費用を頂いているものなので、専門性を以てより深くお客様のなかに入り込んでいくという特徴もありますね。

サポートをする中で、どんなところに楽しさ、やりがいを感じますか?

中江

「カオナビ」は本当に何でもできちゃうんです。そのため、お客様がやりたいことをしっかりヒアリングした上で「この機能とこの機能を用いるといいですね」と提案するのが醍醐味であり、私たちだからこそ提供できる価値だと思っています。こうした伴走の末、最短ステップでお客様の導入目的を果たしたあと、いつの間にかお客様が独力でプロダクトを使いこなしているのを目にしたときにはやりがいを感じますね。

菅原

「カオナビ」は、「この検索ならこういうつくりがいい」「グラフ化したいならこのつくりがいい」「この人に見せたいならこの並びの方が視認性が良い」など、UI/UXにおけるつくり込みの自由度が高いんです。だからこそ、叶えたいことを全部叶えようとするとかえって使い勝手が悪くなってしまう。そこで私たちが、お客様のニーズに応えたうえで、無理なく継続的に運用できる「地に足のついた」方法をご提案させていただいております。

金子

「カオナビ」上で用いるお客様の人事評価データを「カオナビ」上で“どう分析するか”、“必要な情報をどう抽出するか”という点においては提案の幅があり面白いと感じています。具体的には、お客様の「こういうアウトプットが欲しいのだけれど…」という相談に対し、「カオナビ」上のデータベースをカスタマイズして提案するといった形です。ここは自由度が高く自身のアイディアを活かせる点なので、特にやりがいを感じますね。

では反対に、大変なところはどういったところでしょう。

金子

大切なのは、御用聞きにならないことかなと思っていますね。お客様の言うことをすべて鵜呑みにするのではなく、既存の運用事例から考えられる懸念点はきちんとお伝えしています。お客様から「社内の経営陣が『こうしたい』と言っているから、こうしてほしい」と言われても、導入後の運用において現実的につまづくポイントが見えたら、それをきちんとお伝えする。中長期的に活用いただくことを見据えて適切に理想と現実のギャップを埋めることも重要ですね。

中江

“サポートサービス”という言葉から、お客様の質問を受けて回答する役目のように感じる方もいると思うのですが、それだけではありません。私たちカスタマーコンサルティンググループではこちらからお客様に働きかけてリードし、プロジェクトを進める役目を担っています。そのため、お客様に対して受け身ではなく、自らお客様を引っ張っていく存在でいなければなりません。

また、サポートの際にこちらがプロダクトにログインして手を動かすこともあるんですが、何でもかんでも引き受けることが必ずしもいいことだとは限らないと思っています。「中江さんの方でプロダクトを触れるのであれば、設定やカスタマイズも全部やってよ」と言われることもあるんですが、私たちの役目はあくまでもオンボーディングです。最終的にお客様が独り立ちできるようになっていただくような関わり方を意識しています。

自走力を高めるためのプロセスを導く

今後、カスタマーコンサルティンググループとして何に注力していきたいかなど、展望についてお聞かせください。

菅原

私たちはお客様と直接的かつ深く関われる立場なので、実際の使い方やその過程でつまづくポイント、具体的な事例や不満などを得やすいんですね。そういった情報をさらに社内の他部署にも還元していきたいというのが今後の1つのテーマですね。

「こんなつまづきポイントがあるなら、機能を改善しなきゃね」と開発部門に影響を与えることもあるでしょうし、「カオナビキャンパス」(「カオナビ」ユーザーが自社のナレッジをシェアしたり、他社ユーザーと交流できるオンラインコミュニティ)の新たな企画に繋がることもあるでしょう。私たちカスタマーコンサルティンググループの範囲だけでのナレッジシェアでは事業に与えられるインパクトにも限りがあるので、今後は社内全体に対して働きかけるような体制づくりを考えていきたいです。

そのために具体的に取り組まれていることはありますか?

菅原

月に1度、カスタマーエンゲージメント本部(カスタマーコンサルティンググループを含むカスタマーサクセス部隊)主催で、カオナビ社員なら誰でも参加できる情報共有会を設けて「カオナビ」の活用事例やそこで得たノウハウ・ナレッジをシェアしていますね。

将来プロジェクトマネジメントやコンサルティングをやりたい人には最適の舞台

そんなカオナビ及びカスタマーコンサルティンググループには、どのようなキャラクターの方が多いと思われますか?

菅原

カオナビのバリューである“仮説思考”や“仕組み化”に共感して入ってきている人が多いですね。各々のベースにバリューへの共感があることによって、業務を進める上での考え方が一致しやすいのかなと思っています。

手段の違いによる意見の対立はもちろんあるんですが、根本の思想が一致しているので、話の本筋からズレず、スムーズに議論を進められます。私たち3人もまったくの異業種からカオナビに入ってきましたが、業界業種ではなく、バリューに共感しているかどうかがより重要だと思います。

カオナビのカスタマーコンサルティンググループでは、どのようなスキルが身に付けられると思いますか?

金子

私たちの仕事にはとにかく調整能力が求められます。運用開始までのお客様側のタスクの整理、お客様に他業務があるなかで依頼タスクを進めていただく優先度合いの調整、その他プロジェクトチーム内での連携などを並行して進めていく仕事です。これらはどれ一つとして一人で完結できる業務ではありません。そのため、ステークホルダーを巻き込みプロジェクトを推進していく力は間違いなく身につくと感じています。

中江

ITコーディネーターの資格を持っている社内の方から「ITコンサルと言っていいレベルのことをやっていますよ」と言われたことがあって(笑)。ヒアリングを通して潜在的な課題を見出し、解決策を提示して一緒に乗り越え、最終的にはお客様だけで自走できる状態を目指しているので、コンサルティングスキルが身につくとも言えるのかもしれませんね。

菅原

プロジェクトマネジメント力を身につけたい人にもフィットするかもしれません。課題を整理して、要件を詰めて各所のスケジュールを調整する点はプロジェクトマネージャーと近しい部分があるのかなと思います。「本当にお客様のためになることをやりたい」という気持ちをもっていて、「お客様の為になることはどんどん自分で意思決定して提案したい」といったチャレンジ精神溢れる方には最適だと思います。

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