エンタープライズ領域への本格参入から3年。2025年4月には業界別の統合体制へと大規模な組織改編を実施し、「日本社会の仕様を変える」という挑戦に向け、さらなる加速を図っています。
この変革にはどのような狙いがあるのでしょうか。エンタープライズビジネス本部長の福田さんと第1事業部長の青柳さんに、組織改変の背景とその想い、今後の展望について伺いました。
連携を強化し、目指すは「日本社会の仕様変革」
おふたりの現在の役割と業務内容について教えてください。
本部長として、エンタープライズビジネス本部全体の戦略立案や方向性の決定、各部門間の連携調整、全体のリソース配分などの意思決定を行っています。

エンタープライズビジネス本部 本部長
福田 智規
新卒で三菱電機IT関係会社に入社し、ITインフラ・SIの直販・間販・営業戦略などセールス全般業務を担当する。2019年にカオナビに入社して以来、主に大手企業向け営業に従事し、アカウントセールス組織の構築に貢献する。2025年にはエンタープライズビジネス本部長に就任し、事業全体の戦略立案と組織運営を担い、事業の成長をリードする。
本部の配下にある3つの部の一つ、第1事業部の部長を務めています。主な業務は、製造・物流業界における、セールスからカスタマーサクセスまでお客様対応業務全般の責任者として、部の運営と事業戦略の策定・実行を進めることです。
エンタープライズビジネス本部はどのようなミッションを掲げているのでしょうか?
エンタープライズビジネス本部は、連結1万名以上の大手企業を対象に、「カオナビ」を通じて人事の課題解決を支援し、最終的には「社会の仕様を変えていくこと」を目指しています。
このミッション達成のため、私たちはホールディングス企業や持株となる中核企業だけでなく、そのグループ会社全体へ「カオナビ」を導入していただき、企業グループ全体の人事課題解決を支援しています。今回の組織改変により、提案から導入、その後の活用支援まで一つの部門で一気通貫して担当し、お客様の人事課題解決をより効果的にサポートできるようになりました。
一気通貫で担当するとのことでしたが、体制はどう変わったのでしょうか。
これまでの「部」から「本部」へと昇格し、その下に業界別に3つの事業部が新設されました。各事業部は、以前は別々の組織に属していたセールスとインサイドセールスの一部を統合しセールスグループとして、そしてカスタマーサクセスの2グループで構成されています。
どのような効果を期待して、組織変更することになったのでしょうか?
情報共有がしやすい体制を作ることで、グループ企業全体に「カオナビ」を広げやすくなることを期待しています。ミッションを実現するためには、一社と契約して終わり、というわけにはいきません。そこはあくまでもスタートラインで、そこからどう広げて横展開していくのかが重要です。

エンタープライズビジネス本部
第1事業部 部長
青柳 歩
新卒で大手ITアウトソーシング企業に入社し、大手企業の人事・管理部門向けのBPO提案営業に従事。その後、総合人材サービス会社で中途採用の人材紹介営業を経験し、2021年にカオナビに入社。フィールドセールスとしてエンタープライズ企業の新規セールスを担当し、マネージャー職を経て、2025年に製造・物流業界のフロント業務を担う事業部の部長に就任。営業及びカスタマーサクセス組織を統括し、戦略推進を担っている。
各職種の担当者間で、タイムリーに情報を共有し、同じ戦略に向かって一丸となって動く。その結果、グループ企業を面で捉えた戦略的なアプローチが可能になり、より確実に、スピーディーに進められるようになるのではと考えて、今回の組織変更に至りました。
例えば、あるメーカーのグループ企業から来年度の人事戦略について情報を得たとします。その情報をもとにインサイドセールスはアウトバウンド営業をかけ、新規営業担当は提案中の案件に活かし、既存担当は追加提案の機会を検討するといった連携ができれば理想的だな、と。
あとは専門性を高めるという狙いもあります。カスタマーサクセスも業界別にすることで、業界特有の課題や情報を深く理解できるようになります。同じ業界の企業は似たような課題を抱えていることが多いので、お客様にとってより効果的な提案ができるのではと考えました。
新体制になってから数ヶ月たちました。成果や手応えはいかがですか?
まだ大きな成果が出ているわけではないんですが、いい滑り出しはできたと感じています。これまでは、同じグループ企業でもカスタマーサクセスが別々の担当者だったため、この組織変更によって「点」での対応になってしまっていた部分が解消されました。 今では、同じグループ企業を同じセールスとカスタマーサクセスが担当することで、責任範囲が明確になり、お客様に対してもこれまで以上に質が高く、お客様視点に立った一貫したご提案ができるようになっています。

青柳さんが話した変化は、最終的にお客様のメリットにつながると考えています。グループ企業を多く抱えるエンタープライズ企業は、同じグループとはいえ各社が何をやっているのか見えづらく、状況を知りたいというニーズがあります。そこで、私たちがグループ企業全体の情報を一元的に把握することで、より価値の高い情報をお客様に提供できると考えています。
「ずっといる前提ではない」からこそ拓ける、個人の成長機会
この体制によって、メンバーにとってはどのような成長機会が生まれそうですか?
各職種と密に連携しながら動くので、これまで見えなかった互いのビジネスプロセスや顧客アプローチを知ることができます。これにより、自分の専門領域を超えたスキルや知識を身につける機会が生まれると考えています。
例えば、セールス担当者がサクセスの継続支援ノウハウを学んだり、一方でサクセス担当者がセールスの提案技術を習得するといったスキルアップが期待できます。
キャリアの可能性を広げることにもつながりそうですね。
まさに、その通りです。サクセス担当が提案業務を経験して適性があると感じればセールス担当に、インサイドセールス担当が顧客関係構築が得意だと感じたらセールス担当に挑戦できるようになるんです。
また、エンタープライズ領域ならではの特徴として、現行サービスにない機能を自ら企画部門や開発チームに提案し、製品に反映していく機会もあります。こうした経験を通じて、プロダクト開発部門へのキャリアチェンジも十分に描けます。

キャリアチェンジを歓迎して、柔軟に対応されているんですね。
そうですね。メンバーがカオナビにずっといるとは限らないという前提に立てば、在籍中にできる領域を広げることが、将来のキャリアを描きやすくすることにつながると考えています。
率直に「ずっといない前提」と明言される背景にはどのような思いがあるのでしょうか?
私自身もそうですが、カオナビは中途採用で入社している人が多いんです。現実的に考えて、一つの会社に長く居続ける可能性は少ないと思っていて。仕事をしながら志向性が変わることもありますし、プライベートの変化もある。
せっかく一緒に働くのであれば、この会社だけで完結するのではなく、メンバーの市場価値をいかに上げられるかも一緒に考えてやっていきたいんです。それが結果的に、日本全体の人材レベル向上にもつながると考えています。
ときには自社製品以外も提案。顧客ファーストを支える「誠実さ」と「ユーザー視点」
青柳さんが働くなかで感じる、特徴的な組織文化はありますか。
情報共有を重視する文化が根付いています。個人が持つ情報や知識を社内で積極的に共有し合う姿勢が、会社全体に浸透していますね。
この文化により、部門を越えた視点で物事を捉えるメンバーが自然と育まれています。私自身も、セールス担当としてお客様から情報をもらった際、営業活動だけに使うのではなく、「会社全体でどう活用できるか」という視野を持てるようになりました。

ただ発信に対して心理的なハードルを感じる方もいらっしゃると思うのですが、マネジメントとしてはどのようにサポートされているのでしょうか。
発信をためらう人の多くは、「こんな情報を発信していいのだろうか?」「既存メンバーは知っているのでは?」といった懸念を抱えていると思います。
そうした人には、まず「どんな小さな情報でも価値がある」と伝えるようにしているんです。それにカオナビには、当たり前のことでも歓迎される文化があります。たとえ既に知られている情報であっても、共有することには十分な意味があります。また、本部のミッションを達成するために情報共有は欠かせないものなので、積極的に発信できることが評価にもつながると説明しています。
そうした文化の背景には、どのような価値観があり、それをどう実践しているのでしょうか?
私たちの根底にあるのは「誠実さを大切にする」「ユーザー視点で考える」というバリューです。この価値観はお客様への提案の仕方にも表れていて、お客様の課題解決を最優先に考えたソリューション提案を大切にしています。
SaaS製品は機能が決まっているため、比較的「自分たちの機能に落とし込んだ提案」になりがちですが、「カオナビ」は違います。お客様の課題に対して「私たちの持ち得るすべてを集約したときに何が最適か」を考えるように意識しています。
なので、「カオナビ」の機能だけで解決できないとなれば、運用を工夫したり、パートナー企業との連携を検討したり、ときには「カオナビ」以外のプロダクトを取り入れたりする。何より大切なのは、最終的にお客様が成果を出せることなんです。
とはいえ、価値観や思いだけでは一筋縄ではいかないものです。だからこそ私たちは「失敗すること」も大切にしています。トライして失敗したら振り返り、次に生かす。失敗を糧にできる人はどんどん成長していける環境ですね。

社会変革の起点に関わる仕事だから、新しい挑戦に邁進していきたい
これからの展望について教えてください。
私たちが担当しているのは、従業員1万名を超える大手企業や省庁といった、社会への影響が大きい組織です。こうした企業の人事課題や人的資本経営をサポートすることで、日本社会を変えていきたいと思っています。
そのために、メンバー一人ひとりのスキルを高め、成果にこだわりながらチャレンジングな仕事に前向きに取り組んでいけるような組織を作っていきたいですね。
福田さんがおっしゃったように、私たちは社会に大きなインパクトを与える仕事をしています。大手企業向けの仕事は難易度が高い分、この社会的意義を実感できることがメンバーのモチベーションにつながると思っています。
だからこそ、お客様ととことん向き合い、「カオナビとしてはこういう提案をしたい」と自信を持ってどんどんぶつけていけるような人材を育成し、一人ひとりがやりがいを感じられる環境を作っていきたいですね。

今後、どのような方と一緒に働きたいですか。
自社製品だけにとらわれず、お客様を広い目で見てどう価値貢献できるかを考える人と一緒に働きたいですね。今、SaaS市場は注目されているので、「SaaSのセールスキャリアを積みたい」という方もいらっしゃると思いますが、それだけだと私たちが目指す顧客価値の追求とは方向性が違うの合わないかもしれません。
はたから見ると、仕組みがあり、安定的に働ける会社だと思われがちですが、実際は変化も多くあります。新たな挑戦を次々としていく、そんな気概のある会社です。だからこそ、変化に柔軟で、自分のやりたいことを体現できる人に来ていただきたいですね。
やることが多岐にわたり、高いスキルが必要となるエンタープライズ領域の仕事だからこそ「将来的にはこんなことをやりたい」といった想いを持ち、現在の業務にどう活かすかを共に考え、行動に移せるような前向きな方と働きたいです。
タレントマネジメント業界は競合も多く、簡単に成果を出せる世界ではありません。そうした環境で、大企業とそのグループ会社への提案を通じて日本全体を変えるような仕事をしたいと思える、チャレンジ精神旺盛な方と働けたら嬉しいです。
