「人間観察がずっと好きだった」──自分らしさを突き詰めて辿り着いた、一人ひとりと向き合うプロダクトディレクター

Interviewee

石川 裕絵

2021.2.23

あの先輩は、自分のことを全然分かろうとしてくれない──あなたも、そんなふうに思ったことがありませんか。社内では往々にして、「人と人同士の理解」が足りないことは、不満がたまる原因になります。でも、じゃあどうすれば?その一つの答えが分かったような、そんなインタビューです。

2020年3月にカオナビに入社し、スマートフォンアプリのプロダクトディレクターを務める石川裕絵に話を聞きました。若手プロジェクトリーダー1年目の軌跡と、彼女が「誰もが個性を活かして活躍できる組織」の実現を目指して実践している「独特のリーダーシップ発揮術」を、学生時代の原体験から、カオナビへの入社に至った経緯までたどりながら浮き彫りにしていきます。

単なるニーズより、本当に必要な“価値”を!飛び込んだプロダクトアウトの世界

インターネット広告プラットフォームを運営する会社からカオナビに転職して来られたんですよね。カオナビに入社したきっかけを教えていただけますか?

石川

はい、前職の会社は広告の配信プラットフォームを開発していて、私は今と同じプロダクトディレクターの仕事をしていました。当時は社内に同じ仕事をしている方が少なく、よく社外の勉強会に出かけていて、カオナビはそこで出会った方に紹介いただき、何度か面談をさせていただいて自分に合いそうだと感じました。

プロダクト本部サービス開発部
Platformグループ
石川 裕絵
インターネット広告業界でデータマネジメントプラットフォーム、広告配信プラットフォームのプロダクトディレクターを経た後、2020年3月にカオナビへ入社。現在はスマートフォンアプリのプロダクトディレクターを担当する。中小企業診断士。

カオナビへの入社で、決め手になったものは何だったんですか?

石川

一つは、「プロダクトアウトで開発してみたい」という思いがあったことです。前職ではどちらかというと「いかにして、お客様が言う通りのことを実現するか」が求められることが多くて。要望に応えていく面白さもありましたが、それだけだと場当たり的な対応が続いてしまうこともあり、ずっと違和感を覚えていました。

顧客のニーズを満たすだけの仕事に、物足りなさがあったんですね。

石川

ヘンリー・フォードの「(主な交通手段が馬車だった時代に)もしお客様に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう」という有名な言葉がありますけど、私もお客様が自分にとって必要なものを具体的に理解できていることばかりではないと思うんですよね。

今までになかったもの、自分の想像の及ばないもののなかには、誰も「欲しい」とは言わないけれど、本当はそちらの方が本質的に課題を解決できるもの、世の中に本当に必要とされているものが必ずあると考えています。ですから、そういうプロダクトを考える仕事がしたいと思っていました。

それで、カオナビのプロダクトアウトの文化に魅力を感じられたと。

石川

そうですね。あと、広告業界にいる中で「商品は良くないけれど広告の力で頑張って売る」ようなことにも違和感があって。プロモーションよりもプロダクトを磨く仕事に携わりたいという気持ちもありました。

手探りでプロジェクトを進めた1年間、支えたのはメンバーとの心地よいコミュニケーション

カオナビに入社してからは、スマートフォンアプリのプロダクトディレクターをされているとのことですが、具体的にはどんなお仕事をされているんですか?

石川

スマートフォンアプリ版『カオナビ』開発のプロジェクトマネジメントをしています。たとえば、機能追加や機能改善の企画、スケジュール策定、進捗管理など、見る範囲は多岐にわたります。スマートフォンアプリは、ちょうど私が入社してディレクターを任された2020年3月に、それまで外注で開発していたのを内製化したところだったので、ほとんど1からプロジェクトを作ってきました。

入社してすぐに新しいプロジェクトのリーダー、プレッシャーもすごくあったのではないかと想像します。

石川

もちろん、最初は少し戸惑うこともありました。それまでスマートフォンアプリの開発は経験したことがなかったですし、カオナビのこともまだそこまで分かっていなかったのに、初日からほぼ新人扱いもされず、仕事にアサインされて(笑)。でも、私の経験を知っていただいた上でアサインしてもらったはずなので、「できると思っていただけたんなら頑張ろう」と思いました。

「カオナビ」というと、PC上で開くイメージが強いのですが、スマートフォンでの利用もけっこう広がっているんですね。

石川

はい。でもまだこれからというところです。PCに比べると、シェアはまだ数%に過ぎません。社内でも、長い間「PC利用がメインであって、スマートフォンアプリはあくまで補助的なツール」という位置付けでした。ただ、カオナビを使っていただいているユーザー様の中には、普段の業務でPCではなくスマートフォンをメインに使っている方もいるので、そうした方々に向けて「スマートフォンアプリがあるからカオナビを使いたい」と言ってもらえるように開発を進めています。

最近では、より高い頻度でアプリを使ってもらうため、社内共有事項に関するToDo機能を追加しました。

カオナビ(スマートフォンアプリ)イメージ

入社理由でもあった「プロダクトアウトでの開発」は実践できていますか?

石川

はい、ユーザーの声にそのまま応えるのではなく、どんなものを提供すればユーザーにとって便利になるのか、チームで仮説を立てながら開発を進めています。

たとえば、スマートフォンアプリでは、「IPアドレス制限」や「パスコードロック」と言ったセキュリティに関する要望を頂くことが多いのですが、中には「本質的にはセキュリティ対策になっていないのではないか?」と疑問に感じるものもあるんですよね。そういった要望に対して、ただ言われた通りに実装するのではなくて、「お客様がどんなセキュリティリスクを懸念してこの要望を出しているのか」を考え、チーム内外で議論しながら、なるべく本質的な解決策を提供できるよう意思決定をしています。

入社前に思い描いていた通り、とことん議論し納得した上で開発を進められているんですね。入社してからのこの1年間の充実感が伝わってきます。

石川

そうですね、すごく楽しかったです。実際にお客様に使っていただけているプロダクトなので、新しい機能を作ったら反響が聞こえてくるのも嬉しいですし、チームの中で「こういう機能を作ったら喜んでもらえるんじゃないか」って議論している瞬間も楽しいですね。みんないろんな発想があるので。あと、まだミーティングをどういう頻度でやるかなども全く決まっていない状態で始まったプロジェクトだったので、どんなチームにしていくのかをメンバーと一緒に考えていくプロセスもやりがいを感じました。

1年目からそこまで「楽しい」って感じながらプロジェクトを進められるの、すごいなと感じます。

石川

チームメンバーをはじめ、いろんな人の支えがあったからだと思います。私は優柔不断な性格で、ディレクターなのに「決める」のがすごく苦手なんですよね。意思決定しなくちゃいけない場面で、「どうしたら良いですかね」って漠然と聞いてしまって、メンバーを困らせてしまうこともあったり。でも、そういう時に「ここは石川さんが決めるところですよ」ってはっきりメンバーに言ってもらえて、前に進むことができました。

そういった“フラットにコミュニケーションできる空気”って、カオナビ全体にあるものなんですか?

石川

はい。カオナビってすごく風通しが良いというか、心理的安全性が高い組織で。全員が、「思ったことを率直に言う」ことを徹底している感じがあります。私も、「これを言ったら嫌われちゃうかも……」と思わずに自分の意見を言えるし、私に対して「それはよくないのでは?」ということもメンバーから率直に言ってもらえる。そしてそのことでお互いが不快になることはないというカルチャーがあって、すごく仕事がしやすいです。

カオナビの行動指針でもある「ちゃんと聞く、ちゃんと言う」にも通じるカルチャーですね。

石川

そうですね。「とにかくやれ」「会社の方針だから」とトップダウンな会社もあると思うのですが、カオナビでは「何か納得してないけど、とりあえず仕事する」という態度の方が怒られるので、どんな事柄でも納得がいくまで説明してもらえます。また「何か分からないことがあれば、たとえ相手がどんなに立場が上の人であっても直接聞いていい」とも言われています。私も実際に、プロダクト全体を統括する本部長宛てに直接メッセージを送って、プロダクトの新機能について相談したり、メンバーとのミーティングへの参加を依頼したりしています。

いろんなリーダー像があっていい──自分らしさを追求して辿り着いた、個性を活かすマネジメント

ディレクターとはいえチームのリーダーでもあるわけですが、リーダーとして普段から意識されていることはありますか?

石川

どうしたら最も効率よくプロジェクトを進められるか、そのためにはどうしたらメンバーにストレスなく、気持ちよく働いてもらえるかを考えています。具体的には、やることを明確にして不確実な要素をなるべく減らしていったり、相手にとって気持ちの良いコミュニケーションスタイルを心がけたり、ですかね。あとは、リモートワークでもほぼ毎日、ビデオ会議で直接話す時間を設けています。

石川さんは、先頭でグイグイ引っ張っていくタイプのリーダーというわけではないんですね。

石川

たしかに、“リーダーシップ”と言うと、先陣を切ってチームを引っ張っていくようなイメージはありますよね。でも、私は「プロジェクトがうまく進むなら、自分の役割は何でもいい」と思っていて、細かい仕様を検討することもあれば、新しい企画を考えているときもあるし、チームの連絡係に徹することもあります。

そのリーダーとしての考え方・立ち居振る舞いって、誰か他の人から教わったものだったんですか?

石川

教わったと言うよりは、自分の過去の経験が基になっています。たとえば今、私が普段意識していることの一つに「こまめに情報共有することでメンバーが安心して仕事できるようにする」というのがあるのですが、これも以前に自分が上司に対して「その情報、もっと早く教えてもらいたかった……」とストレスを感じた経験がベースにあります。

自分が何か嫌な気持ちになった時、「私は何が嫌だったんだろうか」「どうしてもらえればよかったんだろうか」を明らかにして、自分がされてストレスに感じたことをメンバーにはしないよう心がけています。

これまでのご自身の経験を一つずつ反面教師にされながら、理想のリーダー像を探求されているんですね。

石川

はい。ただ、メンバーが何を嫌だと感じるかは必ずしも私と同じとは限らないので、一人ひとりと向き合って、「この人はどんなことを嫌だと感じるんだろう」「この人は丁寧にやり方を指示してほしい人なのかな、それともやり方は指示しないでお任せしたほうがいいのかな」というのを考えてコミュニケーションしています。人によって好みのコミュニケーションは違うと思うので、それぞれの個性を尊重できるようになるといいなと。

メンバー一人ひとりに合わせてコミュニケーションを変える……。一見難しそうにも思えますが。

石川

私、“人間観察”が好きなんです。地元の島根から東京の大学に進学した時に、それまで出会ったことがなかったタイプの人にたくさん出会ったのが原体験になっています。そういう個性豊かな人たちに対して、最初のうちは「合わない」「分かり合えない」と感じたこともあったんですが、自分が相手の何に「合わない」と感じているのか、とことん考えながら時間をかけて接し方を変えていくと仲良くなれることもあって。気づいたら、そうやって相手の言動や行動についてじっくり考察するのが習慣になっていたんです。

なるほど……自分とは違うタイプの人と関わることに、ストレスよりむしろ面白さを感じていたと。

石川

ただ、実際に「相手に合わせてコミュニケーションを変える」のは簡単ではないと思います。私もカオナビに入社するより前、「もっとこういう接し方をしてほしい」と伝えてみたことがありますが、何も変わらないことの方が多かったです。一方で、メンバーの個性を知り、それに合わせて自分が接し方を変えていくことで仕事がすごくやりやすくなるという実感もあったので、「人の個性を活かしたマネジメント」を自分でも実践したいし、他の皆さんにも実践してもらいたいという思いがありました。カオナビはメンバーの相互理解を促すことを目的としたプロダクトなので、この思いがカオナビに入社したもう一つの理由でもあるんです。

まさに、「個の力にフォーカスしマネジメントを革新する」というカオナビのミッションとピッタリ重なる世界観ですね。

石川

そうですね。カオナビには、「お互いの個性を尊重する」という空気感があるのであまり感じなくなりましたけど、私も以前に上司や成功している先輩と同じやり方で進めることを求められて苦しい思いをしたことがあります。でも、正解は一つではないと思うんです。誰かと同じやり方でうまくいかなくても、自分の個性に合った進め方が見つかれば成果を出せることはたくさんあると思います。

だから、カオナビという会社にとどまらず社会全体で、「リーダーとはこうあるべき」「営業とはこうあるべき」に合わせに行くのではなく、一人ひとりが自分らしいやり方を突き詰めて、周りからもそれを理解してもらって、個の力を活かして活躍できるようにしたいと思っています。


カオナビの採用情報を知りたい方は

編集後記

「もっと多様性を」という言葉を聞く機会がかなり増えてきています。例えば組織づくりの文脈では、性別や国籍などが話題に上がることが多いように思います。でもそんな大きな話よりも、もっと身近な観点でできることもきっとある。それを自然と実践しているのが、この石川です。

印象的だった“人間観察”という言葉。一見、「観察なんてされたくない」と感じてしまう人もいるかもしれません。しかし、じっくりと観察することは、人それぞれの「個性」を理解するための第一歩。「個の力にフォーカスしマネジメントを革新する」というカオナビのミッションを達成するため、「人間観察」は大事なピースなのではないでしょうか。

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