DevOpsエンジニアとして、システム開発からインフラ周りまで幅広く活躍をする岩原さん。「エンジニアの生産性を上げること」をミッションに、社内の課題に真摯に取り組みながらエンジニアが効率よく働ける環境作りに注力されています。
実は、名古屋在住で子育てをしながらフルリモートで活躍するメンバーでもあります。地方から東京のSaaS企業で働こうと思ったその背景と、いま強く感じているやりがいとは。現在携わるプロジェクトの内容とともに詳しく伺いました。
「成長できる環境」を選んで身につけた確かな技術力
ITエンジニアとして幅広いご経験をしてきたようですが、これまでのキャリアを教えていただけますか?
プロダクト本部SRE部
Productivityグループ
エンジニア
岩原 真生1985年生まれ 愛知県名古屋市出身。就職後システムエンジニアとして、上流工程からリリースまで担当。その後、ソーシャルゲーム会社でクライアントサイドからツール作成まで幅広く経験。家庭の事情によりフルリモートワーカーとなり、2021年4月にカオナビにDevOpsエンジニアとして入社。開発環境整備などに従事。
大学卒業後、SIerに入社し、ソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタートさせました。
2社目のソーシャルゲーム会社では、当初クライアント側のエンジニアとして従事していたのですが、自ら「こういうものが作りたい」と手を挙げ社内ツール開発を担うようになったほか、バックエンドエンジニアや機械学習エンジニアにも役割を変え、さまざまな開発の経験を積みました。
その後もスタートアップや少人数チームを転々としていく中、インフラエンジニアとしてAWSを細かく扱ったり、Infrastructure as Codeの自動化などを手がけたりと、バックエンド領域では一通り対応できるようになりましたね。
振り返ると、組織が抱える目の前の課題を自分ごととして解決しながら、技術の幅を広げてきたように思います。
DevOpsエンジニアとしてカオナビに入社した後、現在チームの中ではどういったミッションを持って活動をされていますか?
エンジニアの生産性を高めることが僕のミッションです。エンジニアにとって大事なことは、コードを書き、モノをつくること。その時間を捻出するために、エンジニアの作業効率が上がる仕組みを整えたり、必要性の少ない業務の時間を減らす調整をしたりしています。
少しの作業時間でも、それが積み重なり、全体に広がれば、目に見えて開発力が高まるわけです。ですから、どんなに細かい業務でも生産性につながるものはないかと目を配るようにしています。
業務時間内に自己研鑽可能な制度の「スナバ」を活用して見えた社内課題を仕事にしていく
以前の職場と比較して、社内の雰囲気や魅力だと思う点をお聞きしてもよろしいでしょうか?
入社する前は、「上場企業ゆえの内部統制の問題などで、社内の承認フローが多くて大変なんだろうな」という印象が少なからずあり、それは仕方がないと思っていましたね。しかし、実際は想定していたよりもネガティブに感じることはなく、自由に動けています。
当社では誰もがロジカルに物事を考えているので、「やるべきこと」や「やった方が良いこと」について2人以上で判断したことは、上司の許可を得ずに試してみて良いというカルチャーがあるんです。もちろん必要な相談はしつつ、プロジェクト自体は見える形で行っていきます。これまでさまざまなスタートアップに在籍してきた僕でも、このスピード感には正直驚かされました。
また、当社には、「スナバ」というユニークな制度があります。これは自己研鑽の時間として週に2時間まで、業務時間を活用して自分の興味のあることを学んだり実践したりすることができる制度です。入社以降はその制度をよく活用しながら、実際にそこで見つけた課題を業務につなげることも多いですね。
現在、GitLabの管理を率先して進めていらっしゃるというお話を聞きました。どういった経緯で岩原さんが行うことになったのでしょうか。
僕はもともとめんどくさがり屋なので、自分がやらなくてもいいことは機械にやらせたいなと昔からずっと思っていました。そういった考えから、前職ではJenkinsというツールを使ってCI/CD周りの自動化を自発的に試みていたのです。
入社前の面接で、当社は「GitLabを使っている」という話を聞いていたので、どんな風に使われているのか興味があり、「スナバ」の時間を活用してCI/CD周りを見てみました。すると、自分の経験を活かしてより良い開発環境を整備する伸びしろがいくつか見えました。それで、GitLabの管理に本格的に携わりたくなり、「僕がやります」と手を挙げた次第です。
GitLabを活用してどのようなことをしていきたいとお考えですか?
今考えているのは、テスト実行のさらなる効率化です。
当社のGitLabでは現在、一定の数しかユニットテストを実行できないため、新機能のリリースが重なる時期などで10〜15分ほどの待ち時間がよく発生しているんです。しかし、GitLab上の仕組みをフル活用すれば、まだまだ効率化する余地があると思っています。
ただ、この改善は、テスト実行の仕組みを抜本的に変えるかたちにもなり得るので、効果やコスト、影響範囲をしっかりと検証しなければなりません。これまで環境を整備してきたインフラグループと細かく連携をしながら、ベストな形を探って進めていきたいと思います。
他にはどのような取り組みを行っているのですか?
直近では、「開発環境のM1対応」というプロジェクトに取り組んでいます。M1というのは、最近のMacに搭載されているAppleが独自開発したチップのことです。これまでなかった規格の登場により、開発現場では以前のMacで利用できたソフトが、そのままでは利用できない恐れがあるため、ソフトウェアエンジニアにとって喫緊の課題となっています。
当社でも、社内で「M1チップ搭載の新しいMacに対応した開発環境は作れるのか?」という依頼を受け調査したところ、このままではエンジニア個々人の開発が滞る可能性があることがわかりました。
さらにM1チップの改良版として、M2の近い登場も噂されていますから、対応しないわけにはいきません。そこで、「カオナビ」の開発環境で必要な対応を見極めるための「開発環境のM1対応」というプロジェクトを立ち上げたのです。
せっかくなので、M1チップのどういった点が影響を与えているのか、教えていただけますか?
Appleが最近のMacに搭載している独自開発のM1と呼ばれているチップは、以前とは違う規格になっています。以前のMacでは利用できていたソフトが、そのまま利用できないケースもあるんです。SaaS開発の現場でも影響を受けることが少なくないみたいです。他社でも対応を検討し始めているかもしれません。
なお、ここでもインフラグループに協力を仰ぎ、M1搭載Macと同じ種類のマシンをクラウド上に立ててもらい、調査をしています。既存のMacでも新しいMacでも同様に動く、新しいDockerイメージを構築しています。
世の中の流れに合わせて、最善のキャリアを探るべき
ちなみに、もともとカオナビに興味を持ったきっかけや、入社を決断した理由はどういったものだったのでしょうか?
子どもの通院のため、月に1〜2回ほど長時間仕事を抜けなければならず、有給休暇がどんどん減ってしまうんです。また、急な外出の必要性も生じるということもあり、勤務時間に融通が利く会社を探していたんです。フレックス制度を取り入れる企業も増えてきていますが、それだけでは十分じゃないかもしれないと不安を感じていました。
そんな中、当社の「スーパーフレックスタイム制度」や「スイッチワーク」といった制度を知り、社員一人ひとりが裁量をもって働ける環境に魅力を感じたのです。
そしてちょうどDevOpsエンジニアの募集をしているという話を聞き、その辺りのキャリアを専門的に深めたいという気持ちも大きな後押しとなり、選考を受けました。
名古屋在住で子育てをされながら東京のSaaS企業で働く例は、まだ世間的にあまり多くはないように思います。岩原さんの周りにロールモデルになる方はいましたか?
確かに、周りにはいないですね。しかしTwitterを見ていると、同じような働き方をされている方も多少なりともいらっしゃいますので、不可能ではないんだなというのがわかり、自分もチャレンジしたいと思いました。
またコロナ禍でフルリモートできる企業が増えているのも、地方から参画しやすい追い風になっていますよね。地方在住でもチャンスが増えたことはありがたいことです。
とはいえ本社から遠く離れた場所にいるわけですよね、仕事をする上で大変だなと感じることはありませんか?
ずっとリモートワークだと、やはり現場の雰囲気がわからないのが、少し不安を覚える部分にはなります。コミュニケーションの取り方で考えすぎてしまい、入社した当初のキャッチアップは少し非効率的になってしまっていましたね。今になって思い返せば、もっとフランクにコミュニケーションをとれば良かったのだなと感じます。
今後はどのような経験を積み、どのようなキャリアを歩んでいきたいとお考えですか?
変化が激しい時代においては、1つの道に突き進んでも必ずその先に良い道があるとは限らないと思うんです。だから、世の中の流れに合わせながら、そのときに最善な方法を見つけて取り組むことで、新たなキャリアを切り開いていくべきかなと。
その中でも、僕は自分で課題を見つけて主体的に行動していく方が性に合っているんです。そういった意味では、自由に動ける今の環境が自分には合っていると感じています。
エンジニア一人ひとりの生産性を高めていくというミッションのためには、まだまだ研鑽を積んでいくことが必要です。GitLabにも使えていない仕組みがまだまだありますし、他の新技術もどんどん取り入れていきたい。そうした知識や情報を得ながら、現場の課題を拾って生産性向上を積み重ねていきます。