“みんなの兄貴”は凄かった──元部下が語る、飾らないリーダーシップ

Interviewee

大森 正江

2022.7.29

今回は、カスタマーサクセス部門でマネージャーを務める大森 正江さんに、元上司であり、現在フィールドセールス部門のマネージャーを務める北田 祐一さんの人となりを紹介してもらいます。

かつて、フィールドセールス部門と旧コンサルティンググループ(既存顧客のアップセルを担う部門)において、約2年半のあいだ上司と部下の関係だったというお二人。

当時の北田さんから、大森さんは何を学び、どんな影響を受けてきたのでしょうか。

第一印象は“楽しそうにセールスする人”

今回ご紹介いただく北田さんは、社内の皆さんから「アニキ」と呼ばれ大変慕われていると伺っています。大森さんとはどんなご関係ですか?

大森

実は私は一回も「アニキ」と呼んだことないんですが(笑)。ただ実際、年上からも年下からも慕われる人ですね。とても気さくで親しみやすく、ひょうきん。誰とでも仲良くなれる方といった印象です。

カスタマーエンゲージメント本部
カスタマーサクセス部
カスタマーリレーション2グループ マネージャー
大森 正江
新卒で総合人材サービス会社に入社。人材紹介の営業職を経て、2018年9月にカオナビに入社。カオナビではインサイドセールス、フィールドセールス、既存セールスを経験し、カスタマーサクセスの領域へ。カスタマーサクセスマネジャー(CSM)としてのユーザー様への活用支援の経験を経て、2022年よりカスタマーリレーション2グループマネージャーに就任。

大森

私自身は、フィールドセールス時代に2年ほど北田さんの部下として一緒に働きましたが、とにかく働きやすかったですし、色んなことを勉強させていただきました。

現在、北田さんは西日本エリアのセールスマネージャー、私はカスタマーサクセス部門のマネージャーと、部署が分かれてしまったので業務で関わることは少なくなりました。でも、今でも悩みがあればすぐ相談するくらい仲良くさせてもらっています。

北田さんと最初に働いたときの第一印象、覚えていらっしゃいますか?

大森

初めて商談に同行していただいた際に、「ずいぶん楽しそうにセールスする人だなぁ」と思ったことが印象深いです。

私は前職が人材紹介のセールスで、プロダクトを扱うセールスはカオナビに入って初めて経験したのですが、カオナビ入社当初は“目の前のサービスをいかに魅力的に見せるか”にこだわりすぎていました。

一方、北田さんはお客様の言わんとしていることを瞬時にキャッチして、お客様の心を掴んでいく。“売る”というよりは、むしろお客様と仲良くなって、同じ方向を向いて一緒に業務を進めていく。そんな姿を見て、「セールスってこうやってやるんだ」と衝撃を受けたんです。

それ以来、お客様とのコミュニケーションでは“相手が何を望んでいるのか”を第一に考えるようになり、お客様が言語化できていない想いにも心を配るようになりました。

なかでも北田さんのマネジメントのすごさが伝わるエピソードはありますか。

大森

新機能をオプションとして先行販売した時のことが記憶に新しいです。

当時、既存顧客向けセールスのマネージャーを務めていた北田さんは、トップダウンではなく丁寧な対話によりチーム内の士気を高めて施策を実行し、成功まで導きました。

北田さんより年上かつ社歴も長いメンバーがほとんど、というチーム構成で、傍から見てもチームを束ねる難しさがありました。そうした中、新しいオプション機能をリリース前にお客様に提案・受注していくことが方針として決まったんです。

社内でも前例のない取り組みだったので、チーム内では議論が起きまして。「リリース前での販売で品質の保証ができるのか」「それは本当にお客様ファーストといえるのか」など、私を含めメンバーが口々に意見をしました。

メンバーの皆さんにも意志があったのだと思いますが、チームの方針がすぐにはまとまらなかったんですね。

大森

はい。そこで北田さんは取り組みを決定事項としてただ伝えるのではなく、背景や狙いなどと合わせて伝えながら、私自身の意見や想いにも耳を傾けてくれました。

正直なところ、私はたとえ小さくてもリスクがある提案をすることに対しての不安が大きかったのですが、北田さんとの会話を通し、次第に「確かにメリットも大きいな」と気付かされ、納得して動き出すことができました。

実際やってみて、お客様から早期にお声をいただいたことでプロダクト開発の優先順位が定まりましたし、セールスメンバーの提案スキルも本リリース前に標準化できました。

また、取り組みを実施する前には、北田さんは懸念やリスクなどを最大限排除できるように動いてくださいました。機能面に関する補足資料の作成やデモ環境の整備はもちろん、時には開発メンバーを呼んできてお客様との商談に同席してもらえるように動いたりと、部門を越えて率先して動いてくれたんです。

その時の北田さんの様子はどうでしたか。

大森

闘志がみなぎっていましたね。

既存のお客様を相手に新たな施策を推進するという難しさや、自分よりも社歴の長い、年上のメンバー陣を束ねていく難しさなどがあるなかで、むしろ「このチームをまとめられるのは俺しかいない」と言わんばかりの自信を感じましたね。

アカウント本部 アカウント1部
フィールドセールス2グループ
マネージャー
北田 祐一
コンテンツ配信などのIT関連サービスを手がける企業にてtoB向けソリューション営業やサービス企画に従事。2014年には新規サービスの立ち上げに参画。2018年12月にカオナビに入社し、中小~中堅企業様向けの新規開拓営業を行なう。その後、約2,000社(当時)の既存顧客担当部署のマネージャーを経て、現在は関西・九州などの地方大都市圏の新規顧客を担当する部門のマネージャーを務める。

大森

実際、北田さんは私だけでなく、メンバー一人ひとりの意見や考え方を聞き出し、同じ方向を向いていけるよう理解・納得を得たうえで、「施策を推進する」という判断を下したんです。そして最終的に、「もし何かあっても自分が責任を取るから安心して売ってほしい」とメンバーの背中を押してくれました。

その結果、最後まで誰も不満を抱かずに、メンバー全員が売上に対して前向きにコミットすることができました。これは、北田さんの旗振りがあったからこその結果だと思いますね。

Win-Winの関係構築と汲み取り力。“北田イズム”のおかげで得た成長

北田さんと一緒に仕事をするうえで、特に影響を受けたことはありますか。

大森

北田さんは常々、「お客様とWin-Winの関係をつくることが大事」とおっしゃっていて、それは今の私のコミュニケーションスタイルにも影響していると思います。

もともとはお客様と交渉する際、お願いされると何でも「わかりました。頑張ります。」と答えていたんです。しかしお客様との交渉の場では、ただお客様の言いなりになるのではなく、「お客様にもできることを約束してもらったうえで、相互関係を築かなければならないよ」と、よく北田さんから諭されました。

例えば、値引きを求められた際に安易に受けるのではなく、我々が被るデメリットも恐れずにしっかりお客様にお伝えすること。また、値引きをするにしても、お客様からその分のカバーとなるような対応をお願いすること。そういった対等な姿勢を心がけることで、お客様と信頼関係が構築できるようになり、セールスとして一段階レベルアップすることができたと思っています。

大森さんが今、活躍されているのも北田さんの影響が大きいということですね。

大森

そうだと思います。プロダクトのセールス未経験だった私が、その後フィールドセールスや既存顧客向けセールスで成果を発揮できたのは、間違いなく“北田イズム”のおかげです。

前回の取材で、私は「お客様の言語化されていない想いを汲み取ることで成果を出してきた」というお話をしました。これ、北田さんはごく当たり前のように自然に行っているんです。北田さんと共に仕事をするなかで、“汲み取る力”を見て学び、セールスとしての力を磨くことができました。そんな北田さんには、心から感謝しています。

北田さんが大森さんに与えた影響の大きさが伝わってきました。大森さん以外の方々も北田さんに対する信頼もきっと厚いのでしょうね。

大森

そうですね。関係者全員が北田さんを信頼していると思います。北田さんは常々「プライドがないことが僕のプライド」とおっしゃっていて、役職やポジションに関わらず誰に対してもフラットにコミュニケーションを取る方です。一緒にお客様にご提案を差し上げる際に、部下である私に対しても、「ここの部分、俺より大森ちゃんの方が全然詳しいから、助けてな!」など、弱みもバンバンさらけ出してきます。(笑)

でもこうした振る舞いのおかげで、部下の立場からしても、「こんなこと言っても大丈夫かな…」と気兼ねせず安心して話すことができるんです。これって実は、凄いこと。そして、自ら部下や新しいメンバーに積極的に話を聞きにいくんですね。それによって多面的に情報や意見を得て、自身の成果にもつなげているのだと感じます。

そんな北田さんは誰に対しても優しいのですが、もちろん間違ったことがあれば、「それはだめ」と厳しく指導されることもあります。しかしそこで匙を投げることはなく、「もう1回、何ができるか考えてみよう」と最後までしっかりと向き合ってくれるため、我々メンバーも納得して改善に向かうことができています。

どう動かすかではなく、どうやる気を出すか。自身もマネージャーとしての高みへ

では最後に、北田さんと同じマネージャーの立場になられた今、大森さん自身のこれからの目標を教えてください。

大森

マネージャーとして組織を成長させ、チーム一丸となって成果を出していくことです。

北田さんは、組織をうまく回すために“メンバーをどうやって動かすか”ではなく、“メンバーのやる気を引き出すために何をすべきか”をいつも念頭において動いていました。メンバーによって「仕事の楽しさ」が異なるなかで、各メンバーがどうすれば前向きに楽しく仕事ができるか、をいつも考えてくれていたなと。

現在、北田さんと同じマネージャーの立場となり、組織マネジメントにおいてはメンバーとのコミュニケーションがいかに重要なのかを日々痛感しています。それこそ、北田さんがよく私に「大森ちゃんは、どうしたいの?」と聞いてくださったように、メンバーの意思や想いを尊重するところと、自分で組織を引っ張っていくところ、両方うまく使い分けたいと思っています。

そして、まだまだ北田さんの足元にも及びませんが、普段のコミュニケーションの中でメンバー一人ひとりの想いにも目を向けてサポートできるよう、これからもマネジメントスキルを磨いていきたいと思います。

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