解約した方がいいなら引き止めない。サポート一筋の大ベテランが語るポリシー

Interviewee

持田 雄次

2021.7.9

一般に「SaaSビジネスにおけるチャーンレート(解約率)の目標値は3%以内」と言われる中、『カオナビ』のチャーンレートは0.71%(2021年3月期)と、創業以来一貫して低い水準を維持することができています。

そんな高い顧客満足度の立役者として名前が挙がるのが、カオナビの黎明期からクライアントのサポート業務に携わってきたのスペシャリスト・持田雄次。

今回は、そんな「カスタマーサポートグループの大黒柱」とも呼ぶべき持田に、彼が普段から大切にしている「顧客志向」と、急速に成長と変化を続けてきたカオナビに約6年間在籍しているからこそわかる「カオナビの創業当時から変わらない価値観」について、話を伺いました。

手探りで50人の部下を育成しながら出会った、理想のプロダクト『カオナビ』

カオナビには9人目の社員として入社されたと伺っています。当時は今ほど製品の認知度もないアーリーフェーズだったと思いますが、カオナビと出会ったきっかけは何だったのでしょうか?

持田

前職にいた頃に、偶然『カオナビ』を知ったのがきっかけです。カオナビに入る以前は、通信事業会社の法人営業部門にいたのですが、その際に50人ほどの営業スタッフの育成を一挙に任されたことがありました。

それまでそんなに多くのメンバーを一度に育成した経験などなかったので手探り状態でだったのですが、まずは1人ひとりのことをよく知ろうということで、50人のメンバー全員と1on1で面談して、まずは顔と名前を一致させるところから始めました。「今まで何をやってきたのか」「強みは何なのか」「これから何をやりたいのか」といったことをヒアリングしてExcelにまとめる、みたいなことをやったのですが、どうしても管理がしづらい。何かいいツールはないかと調べていた際に『カオナビ』に出会いました。まさに自分が持っていた課題意識ややっていたことに近いものだったので、「こんなツールがあったんだ!」と大きな驚きを感じるとともに、興味を持ち始めました。

カスタマーエンゲージメント本部 カスタマーサポートグループ
シニアプランナー
持田 雄次
通信ベンチャーに新卒1期生として入社。サポート、経営企画、法人営業をそれぞれ4~5年経験。2015年カオナビに入社。以降、利用顧客のフォロー/サポート部門に在籍。

求職者としてではなく、お客様としてであったということですね!とはいえ、50人のメンバー一人ひとりと面談を行うのは容易ではなかったと思います。なぜ、一人ひとりと向き合うマネジメントが大事だと思われたのでしょうか?

持田

前職で上司に私の特徴を理解し、意思を尊重し、根気強く向き合って育てていただいたことで、自分の強みの発揮の仕方や困難の乗り越え方、貢献の仕方が分かったり、今後の努力の方向性がつかむことができました。その結果、実際に成果を残せたり、成長実感を得たりすることもできた、という実体験がベースにあります。だからこそ、自分がマネジメントをする立場になったときも、一人ひとりを理解し尊重したいと思いました。

また、せっかく縁あって入社してくれたメンバーだと思うので、やっぱり一人ひとりに活躍してほしいし、いつかここでの経験を振り返ったときに「ここで働いていた時間には意味があった」と思えるようになってほしかったんですよね。

彼らのことを理解できれば、仕事の中で何かの壁にぶつかった時でも、適切なフォローアップができるのではないかと考え、工数はかかりましたが、まずは面談を通じて相互理解を進めていったんです。

根底にはマネージャーとして「一人ひとりに活躍してほしい」という想いがあったのですね。そこから、どのようにしてカオナビに転職することになったんですか?

持田

ユーザー視点で『カオナビ』に興味を持っていたのですが、次第に調べていくうちに「こうしたプロダクトがもっと世の中に広まれば、みんな働きやすくなるかもしれないな」という気持ちが芽生えてきて、徐々にその思いが強くなり、転職を決意しました。

検索してたどり着いた転職サイトからエントリーし、案内されるがままに面接に行ってみると、当時のオフィスは雑居ビルの一室で、インターフォンのボタンなんかも潰れていて、「本当にこのビル?」と思うような場所でした……(笑)

そこで今の副社長である佐藤と面接し、社長の柳橋と面接し、内定を頂いて入社したという流れです。

きっと、今は想像もつかないほど「The スタートアップ」なオフィスですよね。入社にあたって、不安はなかったのでしょうか?

持田

それが、不思議となかったんですよね。当時はむしろ、「早くプロダクトの中身を内側から見たい」という気持ちが大きかったように思います。

ただ、前の会社が嫌になって転職したわけではないので、送別会をしてもらっているときに寂しさを感じ、「ちょっと焦りすぎたかな?」と感じることはありましたけど。

本当に解約した方が良ければ引き止めない──徹底的な顧客視点とは

カオナビに入社されてからは、どのような業務に携わられているのでしょうか?

持田

入社以来ずっと、『カオナビ』を導入いただいたお客さまのサポートを行う仕事に携わっています。

私の他に先輩が1人いたので、彼にいろいろと教えてもらいながら2人でやっていたのですが、今と比べると当時は仕組みやルールも何もないような状態で。パワーポイントの資料を随時更新しながら、お客さまへの都度訪問して、説明をするという状態でした。

その後はメンバーも徐々に増えていき、サポートサイトが立ち上がったり、セミナーや会報誌といったりしたアプローチの手段がどんどん増えていきましたが、「『カオナビ』をより効果的に使っていただくことで、お客さまの事業の成功に貢献する」という大きなミッション自体は、当時から変わっていませんね。

現在私自身は、お客さまへの個別対応やセミナー講師として登壇など、クライアントと直接コミュニケーションを取る部分をメインに担当しています。

入社以来サポート一筋ですね!お客さまと直接やりとりをする中で、どのようなことを心がけていますか?

持田

対人折衝をする人なら当たり前にやっていることだとは思うのですが、常にお客さまの視点に立って考えること、カオナビのバリューで言い換えれば「仮説思考」です。

私の場合は、お客様の導入理由やお困りごとの詳細など予め調べられることは徹底的に調べたうえで、お客さまの状況を想像して臨みます。

やはりお客さまに『カオナビ』を活用していただき、日々の業務の効率化や社内の相互理解、働きやすさなどに貢献してこそ私たちのビジネスも成り立つと思っているので、必然的に顧客視点で物事を考えるようにはなりますよね。

また「シンプル」というバリューに関しては、わかりやすい説明をするために「分解する」ということを心掛けています。「わかる」は漢字で「分かる」と書きますが、「わからない」とは、お客さまの中でうまく「分解できていない」状態のことだと思うので、「AとBの違いはここです」「共通している部分はここです」と、混乱しやすいポイントを自分なりに分解して説明するようにしています。

たしかに、一見当たり前なことにようにも聞こえますが、お客さまと向き合う仕事において最も重要なことですよね。持田さんはこの「顧客視点に立った仮説思考」を、これまでどのようにして磨いてこられたのでしょうか?

持田

日々の実践あるのみですね。正直、お客さまに育ててもらった感覚を強く持っています。打ち合わせの前には必ず仮説を持って打ち合わせに臨むわけですが、先方から予想していた反応が得られなかったり、何かの違和感を感じるなど、その仮説がズレたことがわかる瞬間があるんですよね。

そうした時に、そのモヤモヤを放置せず、「絶対にもっと良い伝え方や方法があるはずだ」とチューニングを繰り返して、精度を高めています。

やはりITツールやシステムの話って、人事の方にとってはわかりづらい部分があったりもするので、目の前の相手にとってはどう説明するのがベストなのか、日々考え続けながら改善をしています。

また、他のメンバーによる説明を聞いていて「いいな」と感じた部分は、積極的に取り入れるようにしていますね。自分だけでは気づきづらいこともあると思うので、お客様やメンバーから吸収することが多いです。

常日頃から「改善できるポイントを模索し続ける姿勢」が重要なのですね。

持田

そうですね。かなり意識しています。ただ、それでもお客さまが本当に求めていることが、なかなか見えてこないこともあるんですよ。代表の柳橋が「ドリルを買う人が欲しいのは、『ドリル』ではなく『穴』である」という例えを用いて、社内でも繰り返し言われていることなんですけどね。

そうした際にはいつもこの話を反芻し、お客さまがどんな課題を解決したいのか、どんな効果を得たいのかといった「目的」について、お客さまの視点に立って考えるようにしています。

その結果、「今あるこの機能をこういう風に使うことで解決できませんか?」「その場合は、こっちの機能を使った方がうまくいくかもしれません」と提案することもあります。『カオナビ』は、あくまでお客さまの課題を解決するための「手段」ですから。

そうした自分なりに創意工夫し提案したアイデアがうまく相手の要望にハマった時には、お客さまの課題解決に貢献できた実感が得られ、すごくやりがいを感じますし、モチベーションにもつながります。

カスタマーサポートという職種では、解約を検討しているお客さまに対応する機会もあると思います。難しい場面だと思いますが、そうした際には、どのようなことを意識して対応していますか?

持田

その局面でも、意識することは基本的に同じで、「お客さまにとって最適なものは何だろうか」ということです。

なので、「解約を抑止しよう」とは考えません。お客さまの組織の状況や課題は日々変化していくはずですし、『カオナビ』を解約して他のツールを使った方がよかったり、そういうタイミングにお客さまの状況があったりするのであれば、フラットに判断して「解約」していただいた方がいいと思うので。

ただ、『カオナビ』を継続的に使うことで得られるメリットはたくさんあるので、それが伝わらずに解約されてしまうのは本意ではないです。まずはそれをきちんと伝えたいし、価値を感じてもらいたい。それこそがカスタマーサポートとして私が求められているの仕事だと思っています。『カオナビ』ができることを余すことなく伝えた上で、最終どのような判断を下すかは、私にはどうすることもできないので、自身が変えられることだけに焦点をあてています。

『カオナビ』が進化するから、支援できる顧客も広がり続ける

入社されてからの6年の間に、さまざまな変化があったと思うのですが、持田さんから見てカオナビはどんな特徴のある組織だと感じますか?

持田

漢字1文字で表すと「適」という字になるでしょうか。

プロダクトとしての『カオナビ』も、それぞれのお客さまに「適」したものにカスタマイズできるという汎用性が1つの売りになっていますし、「働く場所や働き方を自由に選んでね」という制度も、「個人のパフォーマンスが最もあがる形に最『適』化してほしい」という思いの表れですよね。

根底にあるのは、自社や自分に適しているということが、使いやすさや働きやすさにつながり、効果やパフォーマンスに影響するという共通の考え方です。

そういう意味では、「常に最適な状態に変化し続ける」ことこそが、カオナビの変わらない価値観だと感じています。

長年CSの仕事に携わられる中で、「正直、もう自分にできることはやり尽くしたな」「結構カオナビも大きくなってきたな」と感じる瞬間はあったりしませんか?

持田

全くありませんね(笑)。むしろ、自分自身にもカオナビにも、「まだまだ余白がたくさんあるな」と感じています。

たとえば、以前は対面でのセミナーのみ実施していましたが、コロナ禍によってすべてオンラインに切り替わり、オンラインセミナーのあり方をイチから模索することになりました。そうすると「そもそもセミナーではなく、動画を配信した方が便利な人もいるのでは?」といった新しいアイデアも出てくるんです。

また、『カオナビ』に新しい機能が追加され、改善が進んでいく中で、「この新機能を使ってどんな提案ができるだろう?」と考えるときは楽しいですし、実際にお客さまに使っていただけるシーンが増えていくのを見るのが喜びです。そういう意味でも、「もう自分がカオナビにいてやれることは全部やり尽くしたな」と思うことは全くありません。

最後に、これからカオナビで取り組みたいと思っていることについて、教えてください。

持田

まずカスタマーサポートグループとしては、導入いただいている企業さまに『カオナビ』を最大限ご活用いただき、一人ひとりの社員が個性を発揮して、さらに活躍できるような組織をつくっていくことに貢献したいです。多くの人事様と関わらせていただく中で、そういった思いはあるもののなかなか実現に至っていない企業様も多い。少しでも課題解決のお手伝いができるように、各社の活用事例やノウハウを吸い上げ、他のお客さまへ共有するというナレッジシェアに力を入れていきたいと考えています。

そして、私たちが普段接する機会のある人事やマネジャーの方だけが日常的に『カオナビ』を使うのでなく、すべての社員の方に『カオナビ』の便益を感じてもらい、毎日使っていただける状態が、個人的な理想です。

そのためには、私だけの力ではなく、各部門が連携して進めていくことが必要ですが、日々の振り返りや将来こうなりたいという発信をするだけでなくもっと気軽にカオナビに触れられる環境を作っていきたいと思っています。

私自身、こうしたインタビューの機会に入社からの6年間を振り返ってみて、改めて気づくことってたくさんあるので、「あの時はこうだったな」とか「こんなことができるようになったな」とか「これからはこれに取り組んでいかなきゃいけないな」とか、そういった振り返りが『カオナビ』上でできるようになって、もっと「自分の個性を発揮してイキイキと働く人」が増えたら嬉しいな、と思っています。

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