終わりはない。正解もない。だからうちのカスタマーサクセスは面白い。

Interviewee

最上 あす美

2021.8.30

2018年に発足したカオナビのカスタマーサクセス(以下、CS)組織。今や当社に欠かせない存在ですが、今日に至るまでの道のりは決して平坦ではなかったそう。発足当初は、現場から「CS組織って本当に必要なの?」という声が少なからずありました。

発足後まもなく迎えた“CS低迷期”は、どのように打開したのでしょうか。カスタマーエンゲージメント本部本部長に就任し、CS組織の再起動を推進してきた最上あす美さんに、CS組織のこれまでの歩み、現在担っている役割やカルチャーについて語ってもらいました。

「テクニカルサポートで十分では?」社内に巻き起こった“CS低迷期”

はじめに、カオナビのCS組織が発足した経緯を教えてください。

最上

今から約4年ほど前です。当時導入社数が急増しており、既存のサポート部隊の業務量が膨れ上がったため、既存ユーザーに対する十分なサポートができなくなっていたんです。

ちょうどその頃、SaaS界隈ではCSの概念が重要視され始めていました。カオナビもその流れを受けて2018年にCS組織を立ち上げるのですが、すぐに低迷期を迎えてしまいます。

カスタマーエンゲージメント本部
本部長
最上 あす美
飲食店の広告媒体を扱う営業、不動産業を主とする持株会社の人事を経て、2015年8月に初のインサイドセールスとしてカオナビに入社し、仕組み構築・運用を担当。2017年にインサイドセールスグループ マネージャー、2019年にカスタマーサクセスグループマネージャーを経て、2020年度よりカスタマーエンゲージメント本部長に就任。

どのような状況になってしまったのですか?

最上

「CSは本当に必要なの?」「テクニカルサポートで十分なのでは?」といった声が社内から上がりました。

当時のCS組織は、「ユーザーにカオナビのファンになっていただくことが大事」と考え、盛り上がりを重視した「夏祭り」や、大学教授から人事の概念について学ぶ「勉強会」などのイベントを企画していました。しかし、それらが一体何のために必要なのか、社内ではほとんど理解されていなかったのです。現場からは「もっと地に足のついた企画が必要なのでは?」「きちんとカオナビを使ってもらうのが先のはず」などの意見が聞こえていました。

また、CS組織の取り組みが成果に現れるには一定の時間が必要ですが、当時はそうした性質があまり理解されていませんでした。例えば、ユーザー会をやったからといって翌月からエンゲージメント指数が上がったり、解約率が下がったりすることはありません。

目的はよくわからないし、効果もすぐには見込めない。そんなCS組織の施策に対して、社員は能動的に協力する姿勢を見せてはくれませんでした。

苦しい時期だったと思いますが、最上さんはその低迷期の最中、2019年夏にカスタマーサクセスのマネジャーに就任したのですね。

最上

そうです。こうした事態が起きてしまった原因は、CS組織そのものの目的が曖昧だった点にあると考え、「解約抑止」というミッションを経営陣とともに明確化しました。そして、「点ではなく面の施策を行う」というCS組織の取る手法を定め、テクニカルサポートや営業との違いを明らかにしました。

「点ではなく面の施策を行う」とは、どういうことでしょうか?

最上

「点の施策」とは1対1、「面の施策」とは1対nのユーザー対応のことを言います。テクニカルサポートや営業はユーザーと1対1で接するのに対し、CS組織はできるだけ多くのお客様にインパクトをもたらす一対nの施策を講じます。「点の施策」と「面の施策」は、どちらか片方が大事というわけではなく、ユーザー満足度を上げるためには両方からアプローチをすることが大切だと考えます。

点と面の両方から対策を講じることによって、より手の行き届いたユーザー対応が可能になるのですね。最上さんがCS組織のリーダーシップを取り始めて丸2年が経ちました。今はどのような目標を掲げていますか。

最上

たとえばですが、もしユーザーがプロダクトに多少の不満を抱いていたとしても、「カオナビを使っていると有益な情報を得られるから使い続けたい」と思ってもらえるような状態を目指しています。もちろんプロダクトは日々改善していますが、常に全てのユーザーに100%満足いただくのは難しいのが現実です。そんな中、CSの品質レベルを利用継続の理由になるくらいまで磨き上げることで、カオナビの競争優位の確立に貢献したいと考えています。

今特に力を入れているのが、ユーザー同士の学び合いの場づくりです。成果につながるカオナビの使い方を多面的に学べるように、さまざまなパターンのユーザー会を企画しています。

過去のユーザー会と比べると華やかさはなくなったかもしれませんが、主催者側もユーザー側も、「そのイベントで得られること」を明確に認識するようになりました。他部署の社員も協力的な姿勢で臨んでくれるので、以前との明らかな違いを感じています。

定量データだけでは判断しない。本当に効果的な施策を生み出すための「仮説思考」

CS組織での仕事の進め方には、どのような特徴がありますか?

最上

施策を検討する際は定量的なデータだけではなく、現場の声などのファクトや自分たちの立てた仮説をもとに検討するプロセスを大切にしています。

CS組織ではお客様と直接的に接する機会が少ないので、ついデータから施策を検討してしまいがちですが、私たちは「こういう傾向値が出ているからこの施策をした方がいい」と単純に考えることはしません。

例えば、「ある機能を未使用のお客様に解約の傾向がある」というデータがある場合、「その機能を使ってもらえる施策を考えよう」と早合点するのではなく、まずはその機能を使わなかった理由を担当者にヒアリングしてもらいます。その上で、なぜそうなっているのかについて仮説を立て、データと照らし合わせながら次の打ち手を決めるようにしています。

そこまで丁寧なプロセスを踏んでいると、ユーザーに対する理解も深まりそうですね。

最上

そうですね。ただ、やればやるほどユーザーの新たな不安や悩みも見えてくるので、その中から何を優先するべきかを決めるのは非常に難しいです。迷ったときは、常にミッションに立ち返って判断するように心掛けています。

今はどのような施策に優先的に取り組もうと考えているのでしょうか?

最上

カオナビの継続を決定する決裁者に向けた情報発信です。実際に操作する担当者がどんなにカオナビを気に入ってくださっていても、決裁者が「当社ではカオナビを十分に活用できていない」と認識していたら、継続にはつながらないからです。

そこで、「他社の人事はどんな施策にカオナビを役立てているのか」「カオナビをうまく使うにはどのような体制が理想なのか」など、カオナビで実現できる人事施策に焦点を当てたコンテンツを展開したいと考えています。

新しいアプローチですね。効果が期待できそうです。

最上

と、思ってるんですけどね(笑)。私も含めて、関わっているメンバーは結構ドキドキしています。

でも、CS組織は今までも「仮説を立て、後はやってみなければわからない!」という文化でやってきたので、今回も展開してみて、反応を見ながら改善を重ねていきたいと思います。

スキルよりも大切な「CS組織に所属する理由」。意志を持つメンバーは必ず活躍する

CS組織のメンバーに共通点はありますか?

最上

「CSには正解も終わりもない」という大前提を理解した上で、「こんなことをやってみたい」というはっきりとした意志を持っていることですね。採用面接時にも「正解がない中で自律的に思考し、解決策を模索することを楽しめますか?」というのはしっかりと対話し、覚悟をもっていただくようにしています。

なぜなら、CSには「こうすればうまくいく」という正解はなく、すぐに効果が出るわけでもないからです。そんな難しい環境にありながら、当社のCS組織のメンバーからはポンポン新しい意見が途絶えることなく出てくるので、とても頼もしいなと感じています。

新メンバーを招き入れるなら、どんな人に加わってほしいですか?

最上

CS経験者であったり、それに類するスキルを持った人はもちろん歓迎ですが、業界や職種未経験の方も大歓迎です!それよりも「カスタマーに対し、こういうことをやり遂げたい」「CSの経験を通して、こんなキャリアを築きたい」という強い意志を持っている人に来ていただけたら嬉しいと思っています。

カオナビはSaaSスタートアップとしては珍しく、「面のCS」と「点のCS」という2つのチームと手法でCSの質を担保できる組織設計のため、多くのCS未経験メンバーが活躍していますし、未経験メンバーが入社してきても、その方が一人前に成長するまでの間も、CS全体の質は担保できるようになっています。

ですから、CSという職種を選ぶことに対する強い意志、そして自分の中に確固とした目標さえあれば、不足しているスキルは後からいくらでも補えると思います。

新メンバーにはどんなキャリア価値を提供できるでしょうか。

最上

CSを起点に、その先には営業やPM、企画など、さまざまなキャリアが考えられますが、どの道に進んだとしてもCSでの経験は強力な武器となるスキルにつながると思います。そのスキルとは、施策を検討する際の「仮説思考力」、そして施策を実行する際の「推進力」です。

また、あくまで私の意見ですが、CS組織はカオナビのバリューに基づいた行動を最も取りやすいグループの一つです。CSには終わりも正解もないからこそ、常に「仮説思考」が求められますし、施策を推進する際には「仕組み化」する力が必要です。その際はもちろん「シンプル」であることが求められます。

そんな私も、かつてはカオナビのインサイドセールスの1人目社員として立ち上げを任せてもらったことがあります。自ら仮説をたて、成功体験を積み、仕組みにしていくという当時の経験と実績のおかげで、自分に大変自信を持つことができました。ですからCS組織のメンバーにも、同じような経験を積んでもらい、大きな自信を持ってほしいなと思っています。

そうしたCSの環境や、カオナビのバリューに共感し、成長したいと思う方であれば、CS組織での経験はかけがえのない時間になるのではないでしょうか。

カオナビの採用情報を知りたい方は

編集後記

最後に他社のCS組織との違いについて聞くと、興味深い話を明かしてくれました。「サービスを活用している層と、全く活用できていない層には、どの会社でも何かしらアプローチできていることが多い。しかしちょうど“その中間”に位置する顧客層へのアプローチやフォローが疎かになりがち。カオナビのCS組織には、そうした中間層のユーザーにアプローチする部隊が設けられている」とのことでした。一社でも多くの顧客に使い続けていただくというミッションに忠実だからこその組織体制だと感じました。

これからの時代、正解や型がない組織で自らPDCAを回して成果を出すという経験が非常に重要だと感じますが、まさにその経験をこの組織であれば積めるのではないかと感じました。もちろん胆力は必要になりますが、それでもチャレンジしたいという人にとっては魅力あるポジションなのではないでしょうか。

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