カオナビでは、「現場で生まれるリーダーシップ」を大切にしています。この考えは、2025年4月に新設された「プロジェクトリード(以下、PjL)」というポジションにも強く反映されています。
現在、カオナビのエンジニア職は、エンジニアリングマネージャー(EM)、テックリード(TL)、エキスパート、Development Contributor(DC)など、各ロールの定義が整いつつあります。その中でPjLは、開発チームの技術的なリードとプロジェクトの実行責任を担う存在です。
今回は、異なるチームでPjLを務める4名に、役割への向き合い方やチーム運営の工夫、そしてPjLというロールがカオナビの中でどのように機能しているのかを聞きました。
カオナビ開発組織に誕生した、新たなリーダーシップのロール
まずは、皆さんの現在の所属と、これまでのキャリアについて教えてください。
私は、「カオナビ」に登録されている人材データベースをもとに、資格更新・研修期限などのリマインドを自動化する「条件通知設定」機能の開発チームに所属しています。
前職は小規模なシステム開発会社に勤めており、より多様な環境で開発経験を積みたいと考えたタイミングで、知人の紹介を通じてカオナビに入社しました。
プロダクトデベロップメント本部
カスタマーエクスペリエンス部 プロダクトエンジニアリンググループ
深谷 昭宏条件通知設定機能の開発チーム所属。前職は小規模なシステム開発会社。2025年4月のチーム統合を機にPjLに就任し、現場リードを担っている。
人的資本の開示に必要な組織データを可視化できる「分析機能」の開発チームに所属しています。
これまでは、複数の会社でバックエンドを中心にエンジニアとしての経験を積んできました。
カオナビとの出会いは、技術者コミュニティに参加した際に、現在一緒に仕事をしているテックリードの宇谷さんやエキスパートの富所さんたちと知り合ったことがきっかけです。話を聞くうちに「この会社は面白そうだな」と興味を持ち、2024年1月に入社しました。
私は、「カオナビ」上でe-ラーニングの受講と履歴・成績の管理機能やコンテンツ作成ができる「ラーニングライブラリ」というシステムを開発するチームに所属しています。
過去には、工場向けの業務系システムやソーシャルゲームなど、さまざまな開発に携わりました。また新しい領域にチャレンジしたいと思い、まだまだ成長を続けるカオナビに惹かれて転職を決めました。
私は、プロダクトデベロップメント本部にある研究開発部門にて、新規プロダクトの開発を担当しています。
これまで長くバックエンドエンジニアとしてキャリアを積んできました。北海道在住ということもあり、リモートで働ける環境とキャリアアップの両立を目指していたところ、カオナビと出会ったのが入社のきっかけです。
皆さんは、どのような経緯でPjLに就任されたのでしょうか?
PjLは、2025年4月に新設されたポジションです。私の場合は、入社して1か月ほど経った頃に上長から打診を受けて就任しました。自分としても、これから組織にどのように貢献できるかを考える中で、チーム全体の生産性を高める役割を担えるとよいのではないかと感じていたんです。そのため、入社直後ではありましたが、まずはやってみようと前向きな気持ちで引き受けました。
私の場合は、チームの中で自然と「島村さんにお願いしよう」という流れになりました。
チームごとにPjLの決め方は自由ですが、もともと役職としてPjLができる前から、私がチーム内で似たような役割を担っていたんです。それゆえ、気持ちを新たにというよりも、「自分の役割が正式に明確化された」という感覚に近かったですね。
プロダクトデベロップメント本部
サービスデザイン部 Strategy3グループ
島村 優男ラーニングライブラリ開発チーム所属。業務系システムやソーシャルゲームの開発を経てカオナビに入社。以前から同様の役割を担っており、PjL新設時に正式就任。
PjLという役職が新設されるタイミングでチームが統合され、現在の所属になりました。島村さんと同じく、以前からPjLのような動きをしていたので、その流れの中で正式に引き受けた形です。入社時より「ゆくゆくは現場でチームをリードする立場になってほしい」と、役割期待も伝えられていました。
私は、もともと所属していたチームが分割されるタイミングでPjLを任されました。分割前はいちメンバーとして活動していましたが、分割後のメンバー構成や経験・年次のバランスをふまえ、私が引き受けることになったんです。私も深谷さんと同じように、入社当初から「ゆくゆくはチームを任せたい」と伝えられていたので、いよいよそのタイミングが来たのだと感じました。
チームのフェーズに合わせて考え動く、それぞれのPjLのあり方
実際にPjLとして、日々どのような取り組みをされていますか?
ラーニングライブラリの開発チームは10人規模と比較的大きく、時期によっては2つのラインに分かれて、異なる開発を並行して進めることもあります。そのため、タスクのアサインや成果物のレビュー、進捗管理を中心に担っています。加えて、スケジュールに遅れが出た際のリカバリプランの立案や、不具合対応の優先順位づけなども行っています。
メンバーそれぞれが業務に向き合う中で、チーム全体がスムーズかつ生産的に動けるよう意思決定する。それが、このチームにおけるPjLとしての役割だと考えています。
私のチームは分割後に再スタートを切ったため、経験の浅いメンバーや業務委託の方々をまとめ、まずはチームとして立ち上げていく必要がありました。当初は私自身もコードを書いて開発を進めていましたが、そのままではチーム全体の成長につながらないと感じ、チームが自走して動ける状態を目指して、少しずつ支援の形を変えていきました。
現在は、社内で使われているさまざまな開発手法をチームに共有したり、若手メンバーの相談に乗って問題解決まで伴走したりしています。
また、明らかにリソースが不足しているときにはマネージャーに掛け合って追加メンバーをアサインしてもらうなど、環境を整える働きかけも行います。フロントエンドのリソースが不足していた時期には、生成AIなどの新しいツールを活用しながらバックエンドエンジニアの私自身が加勢したこともありました。
プロダクトデベロップメント本部
サービスデザイン部 Strategy1グループ
荻島 貴ダッシュボード機能の開発チーム所属。複数社でバックエンドエンジニアを経験し、2024年1月に入社。チーム分割を機にPjLに就任。
チーム全体の進捗を管理する島村さんとは、また違う動き方をされている印象です。
そうですね。人数の多いチームではタスクや進捗の管理が欠かせませんが、少人数チームの私たちには、一人ひとりが自律的に動ける文化を作るほうが重要だと考えました。
PjLはマネージャーではありませんが、「プロジェクトを前に進めるために必要なことを何でもやる」立場だと捉えています。だからこそ、必要であれば自らコードも書きますし、他チームとの調整やビジネスサイドへの働きかけ、技術的なサポートまで幅広く行います。
私のチームも少人数ですが、リリース前の新規プロダクトを手がけている点で少しフェーズが異なります。そのため、PjLとしての動き方も少し違うかもしれません。
現在は「成熟したチーム」を作ることを目標に、スクラムイベントを回してみるなど、どのような手法がチームにフィットするのかを模索している段階です。立ち上げ期ということもあり、私自身も積極的にコードを書いていますし、チームづくりと開発の両輪で動いている感覚です。
プロダクトデベロップメント本部
研究開発部 研究開発グループ
妹尾 一弘長くバックエンドエンジニアとしてキャリアを積む。北海道在住で、リモート勤務環境とキャリアアップの両立を目指してカオナビへ入社。入社後1か月でPjLに就任。
私のチームは8名体制で、経験豊富なメンバーが多い構成です。私自身、チーム統合は初めての経験で、それぞれのチームが持つ文化やカラーが異なる中、まずは新しいチームを“機能させる”ことに注力して取り組みました。
現在は全体を見ながら、プロジェクトの進行に伴って発生し得るリスクを予測し、早めに対策を検討するようにしています。まだ「どのようなチームを作っていきたいか」という目指す姿が明確に定まっていない状態でもあるので、最適な形を模索しているところです。
チームの“今”に向き合いながら、次の課題を見据えて
チームの状況や背景がそれぞれ異なる中で、皆さんがPjLとして向き合う課題もそれぞれなのではないでしょうか。
私のチームはまだリリース前の段階にあり、今後どんどん課題が見えてくるフェーズだと思っています。そのときにどううまく対応していくかが、PjLとしての私のミッションであり、チャレンジになるだろうと感じています。今はまさにその準備段階という感覚ですね。
チーム立ち上げから半年で、安定してデリバリーできるようになってきました。今後の課題は「お客様にとってより価値のあるものを作る」ことへのシフトです。
作ったものが使われないのでは、エンジニアとして本分を果たせていないように感じます。そうならないよう、ユーザーインタビューを行ったり、実際の利用状況を観察したりしながら、仮説を立てて検証していく。このサイクルをチームとして継続的に回せるようにしていきたいと考えています。
私のチームは、すでに開発した機能を拡張してより良くしていくフェーズにあります。今後は、利用状況の計測やユーザーへのヒアリングを通じて、一人ひとりのメンバーが「自分たちの作った機能がどう役立っているのか」を実感できるようにしていきたいですね。それによって開発へのモチベーションが高まり、より良いアイデアや改善が生まれると考えています。現在はまさにその基盤を作っているところです。
ラーニングライブラリのチームでは、まだ実装できていない開発予定の機能や、お客様から多く寄せられている具体的な要望が多くある状態です。目の前で山積されているタスクをいつまでに、どの順番で進めるかをロードマップに落とし込み、着実に開発していく必要があります。
一方で、どうしても日々のタスクで手一杯になってしまい、中長期的な改善に取り組む余裕が持てていない点は課題です。そこで、まずは「どこで時間がかかっているのか」「どの連携がうまくいっていないのか」を特定して、よりスムーズに進められる方法をチームで議論しながら探っていきたいと考えています。
誰もが「必要だ」と感じながらも後回しになっていた部分にしっかり手を入れ、単に納期通りにリリースして終わるのではなく、改善を重ねられる開発体制を整えていきたいです。
自由と裁量の中で挑戦を楽しむ、PjLとしてのチームづくり
PjLという役職が、今後カオナビの中でどのように発展していくと良いと思いますか?
今回、こうしてPjL同士で話し合えて、改めて他のチームがどのような課題に向き合い、どのような思いで動いているのかを知ることができました。それぞれの立場や状況によってアプローチもまったく異なるなと感じたので、こうした情報共有の場は今後も定期的に持てたらいいですよね。
たしかに、チームのフェーズがそれぞれ違うからこそ「自分たちがその時どう乗り越えたか」など、共有できることが多くありそうです。私のチームには、期中から新卒メンバーが配属され、育成にも力を入れているところなので、今後は育成に関するナレッジも発信できればと思います。
PjLに求められるリーダーシップのスタイルは、プロダクトやチームのフェーズによって大きく変わってくると思っています。立ち上げ期には技術でチームを引っ張るリーダーシップが求められる一方、ある程度自立してきたチームでは、モチベーションを高めたり、組織としての活力を維持したりする方向にシフトしていく必要があったり。
どのような動きをするかは各々に大きな裁量が与えられている分、悩む場面もあるので、今後もこうしてコミュニケーションを取っていきたいですね。
まさに、PjLという役割がそれぞれのチームで独自に発展しているのは、カオナビの文化や環境も大きく関係していそうですね。
カオナビは良い意味で自由度が非常に高い会社です。プロジェクトの進め方もチームによってこれだけ多様な中、「自分はこうやって進めたい」というチャレンジ精神や意欲を持っている人にとっては、PjLというポジションはとてもチャレンジしがいのある環境だと思います。
私も入社して感じたのは、挑戦したい気持ちを尊重してもらえる風土があることです。チーム内での対話の中でも、お互いのアイデアや意見が否定されることはなく、前向きに受け止めてもらえる雰囲気があります。そうした環境の中で、PjLとして自分なりのチームづくりやリーダーシップを試していけるのは、とても貴重な経験だと感じています。