全ステークホルダーをファンに。個性探求メディア「うにくえ」立ち上げ秘話

Interviewee

玉木 穣太

小須田 結香

岡 友里恵

2021.11.29

2021年8月、カオナビの新たなオウンドメディアが立ち上がりました。

その名は「うにくえ」。学者や漫画家からお坊さんまで、さまざまな世界の有識者の方に、「個性とは何か」というテーマで論じてもらうメディアです。

一見すると、「カオナビ」の直接的なユーザー獲得にはつながらなさそうなこのメディア。いったいどんな背景から立ち上げることになったのでしょうか。

カオナビでCDO(Chief Design Officer、デザイン最高責任者)を務める玉木穣太と、ブランドデザイン本部にてプロジェクトを牽引した岡友里恵、小須田結香の3名に、「うにくえ」立ち上げの経緯とプロジェクトに込めた想いについて、話を伺いました。

現在・過去・未来、“すべてのステークホルダー”にファンをつくる

皆さんが所属されているブランドデザイン本部(以下BD本部)とは、どんなことをやられている部署なのでしょうか?

玉木

BD本部のミッションは、一言で言うと「カオナビのファンをつくる」こと。これだけ聞くと、どの企業でも言われていることのように思われるかもしれませんが、他の会社と違うのは、“すべてのステークホルダー”にファンをつくろうとしている点です。

現在の取引先や導入企業、投資家や社員はもちろん、将来的に『カオナビ』を使ってくれたり、社員になってくれたりする可能性のある人たち。過去に『カオナビ』を使っていて他のサービスにリプレイスした人たちやカオナビを退職した人たち。さらには、まだカオナビのことを全く知らない、ポテンシャルユーザーの段階の人たち。

これら現在・過去・未来のあらゆるユーザーの人たちをカオナビのファンにすることが、私たちのミッションです。そして「この目的を達成するためならば、どんな企画にでも挑戦する」というのが、BD本部の特殊な点だと思います。

具体的にはこれまで、「kaonavi Future Deck」のプロデュース、虎ノ門オフィスのデザイン、そしてこの「kaonavi vivivi」の立ち上げなどを手がけてきました。

ブランドデザイン本部
CDO(デザイン最高責任者) 兼 ブランドデザイン本部長
玉木穣太
W+K Tokyo, AKQA Tokyoなど外資系広告エージェンシーにて海外クライアントを担当。その後AI系ベンチャーCogentLabsにてバリューアップを支援。2019年株式会社XCOGを設立、カオナビ社業務支援を経て、2020年CDO兼ブランドデザイン部長就任

なぜ、そこまでのエネルギーをかけて、多くのファンをつくっていく必要があるのでしょうか?

玉木

カオナビはエンドユーザーの人に愛されて、はじめて真価を発揮できるからです。

私がカオナビで仕事を始めた2019年時点で、『カオナビ』は堅調に売れていました。でもそれに対し、人事の人が喜んで導入してくれた一方で、社員の方は本当に喜んで利用してくれているのだろうか??という疑念を持ったのです。

エンドユーザーにたくさん使ってもらい『カオナビ』のシステムに良質なデータが集まることで、タレントマネジメントの分析の精度が上がり、そこから次のプロダクトも生み出せます。そのためには、人事ではなくエンドユーザーである社員の方に、カオナビをもっともっと好きになってもらわなくてはならないと感じました。

そうした課題意識から「地道で長期的なファンづくりが必要である」という話になり、BD本部としてその課題の解消に取り組み始めました。目指すべき理想は、人事ではなく社員の方から「『カオナビ』を導入したい」と声があがる状態です。

「課題意識」から企画が生まれる

「ファンをつくる」って、さまざまな施策に取り組めそうな一方、正解がない、結果が見えづらいという難しさもありそうですね。新しい企画はどのようにして始まるのでしょうか。誰かから「これをやってほしい」と依頼を受けるんですか?

玉木

依頼を受けてやるというよりは、BD本部が主体となって企画をうみだすことが多いですね。

たとえば「Future Deck」も、誰かに頼まれてつくったわけではありません。「マザーズ上場も果たし、働いている社員たちが、今後のカオナビに何を期待すればいいのかわかりにくい。外にいる人たちにも、カオナビがゆくゆく何を目指しているのか見えづらい。“カオナビが目指す未来を示した設計図が必要だ」という課題意識から自分たちで企画を考え、コミュニケーションを通じて経営陣たちが考えていることを引き出しながら、それらを形にしていきました。

なので、まず課題を見つけて「こういうものがあったらいいんじゃないか」と考えるところから、それぞれの企画が始まっています。

デザイナーが主体となって企画を立てられるのは、カオナビならではという感じがしますね。「うにくえ」プロジェクトは、どのような課題意識から始まったのでしょうか?

玉木

「うにくえ」の場合は、まず“危機感”がありました。カオナビは創業時から「個性や多様性が大事」ってずっと言い続けていており、これから業界のリーダーになっていかなければならないのに、個性や多様性について発信するチャネルや手段を持てていない。このままでは、この業界におけるカオナビのプレゼンスが低下してしまう、という危機感です。

玉木

似たようなサービスを提供する企業が他にもたくさんある中で、頭1つ分抜け出して競争に勝とうと思ったら、単価を下げたり、プロダクトを改善するだけでは不十分。もっと別の本質的なことに取り組まなくてはならないと思いました。

「Future Deck」が定められると、「“個性”をキーワードに、ポジションリーダーを目指していこう」という方向性が改めて見えてきました。「個性と言えばカオナビ」という認知の獲得を目標に、個性についてさまざまな角度から考え抜くメディア「うにくえ」を企画するに至ったんです。

玉木

ちなみに、「うにくえ」という名前の由来は、「Unique(唯一の)」をローマ字読みしたものなんです。「一人ひとりの個性や才能を理解することで、個人のキャリア形成や働き方が多様化される社会をつくっていきたい」という想いを持つカオナビが、外部の知見を取り入れながら”多様性”について論壇する。そのメディアの読者一人ひとりが、個性や多様性について考えたり、よりその領域に興味を持ってもらうこときっかけになればと思って立ち上げました。

そんなカオナビが考える「個性」とは、どのようなものなのでしょうか?

小須田

個性って、本当にいろいろな考え方があると思います。他者から認められたものを個性だと言う人もいれば、元来自分の中にあるものこそが個性だと言う人もいますしね。

コーポレート本部 人事総務グループ 兼 ブランドデザイン本部
小須田結香
新卒で大手生命保険会社に入社し、営業を経験。その後、飲食・アミューズメント・ウエディングを手掛ける企業でIRを経験したのち、2017年7月に採用担当としてカオナビに入社。会社の成長に合わせてIR、人事総務、新規拠点開設・オフィス移転など幅広い業務に携わり、現在はブランドデザイン本部と兼務している。

小須田

そんなさまざまな捉え方のある「個性」を、カオナビが定義したり、無理に1つの方向に持っていく必要はないと考えています。「うにくえ」を通してやりたいことは「探求」です。

玉木

逆に他の人に定義してもらうために、「いろんな意見を聞こう」というコンセプトのメディアになりました。各界の有識者たちが個性について論ずる場、という感じですね。

未接触層にリーチできるUI/UXやデザインを考えた

どのようなスタッフとスケジュール感で、プロジェクトを進めていったのでしょうか?

玉木

私がプロジェクトの全体を見るプロジェクトマネジャーを担い、岡ともう一人のデザイナーが、デザインの世界観をつくるアートディレクター的なポジション。小須田には関係者とのやりとりや契約の調整、記事のアップロードなど、プロジェクトをスムーズに進めるための作業を全般的に担ってもらいました。

小須田

ローンチ前は外部のエンジニアとデザイナー、ディレクターにも入ってもらい構築し、ローンチしてからはライターやカメラマンの方と私たちで運用しています。

2020年末からコンセプトやデザインについて話し合い始め、3月末くらいに外部の人を含めたプロジェクトメンバーが決まり、そこからコンセプトやデザインを改めて詰めて、8月中旬にローンチという流れでした。

プロジェクトを進める中で、どのような部分に難しさを感じましたか?

一番みんなで悩んだのは、やはりデザインコンセプトを考える部分ですね。

有識者にインタビューするというメディアの特性上、内容が小難しくなる可能性があって。内容が難しくても興味を持ってもらえ、ライトに読んでもらえるメディアのデザインとはどんなものか、メンバーのみんなでアイデアを出し合いながら、方向性を決めていきました。

ブランドデザイン本部
岡友里恵
大手代理店系Web制作会社、ゲーム会社などでデザイナーを経験した後、2021年にカオナビに入社。現在はブランドデザイン本部で、「様々なステークホルダーにファンを作る」をミッションに掲げ、新たな価値を創出するBXデザイナーとして従事。

人気教育系番組などもベンチマークにしながら、最終的にはキャラクターを活用した現在のデザインができあがりました。キャラクターたちは自分の個性をそれぞれ模索しているという設定を持っていて、彼らがガイド的な役割を果たしながら読者と一緒に個性を探求していく、というコンセプトにすることで、親しみやすさを演出しています。

玉木

私の場合は、今後コンテンツが増えていった時にどう見えるのか、どういうデザインや言い回しにしておけば将来的にもメディアの軸がブレないのか、といった“基礎工事”の部分にすごく気を遣いました。メディアはローンチして終わりではなく、成長していくものですからね。

あと、そもそもこれまでのカオナビには、こんな奇抜なデザインのものがなかったんですよね。既存のアプローチでは届かない層にもファンをつくるのが私たちのミッションなので、狙ってやっていることではあるのですが、経験がない中手探りでやる難しさはありました。

たしかに、新しい層の人にリーチしようと思ったら、今までとは違う方法を採らないといけないですよね。

玉木

そうですね。これに関しては、ギネスやミシュランの考え方も参考にしています。世の中の大半の人はビールにもタイヤにも興味はないけれど、ギネス記録やミシュランガイドという形でこれらの会社と接点を持っている。

カオナビにも、HR業界の固い印象を出していては絶対に届かない層があって、そこにいる人たちと接点を持つための柔らかいアプローチが「うにくえ」なんです。

自由に企画を立ち上げ、自ら仮説検証できる面白さ

どんな部分に今の仕事のやりがいや面白さを感じますか?

小須田

私はこれまで、営業、IR、採用、人事総務と、どちらかと言うとバックオフィス系の仕事が多かったので、外部の人とともに一つの目標に向けて、コミュニケーションを取りながらプロジェクトを進めていくBD本部の仕事は、すごく新鮮に感じます。新しいものをどんどん吸収できる楽しさがありますね。

BD本部って、ターゲットにできる人の幅がすごく広いんですよね。顧客や見込み顧客はもちろん、「うにくえ」のようにカオナビと全く接点がない人たちをターゲットにすることもできて。

さまざまなターゲット層の人たちに対して、それぞれ最適なアウトプットとは何かを考え、幅広いデザインを検討できるのは、この組織ならではの面白さだと思います。

玉木

私自身、別で会社を経営もしているのですが、カオナビという既存の事業会社で1から新しいものを生み出して、ちゃんと仮説検証ができるという点は、やはりいいなと感じます。

しかも、センスのある人を集めてクオリティの高いものがつくれば、ちゃんと結果が出るし、歴史にも残る。それが一番ワクワクしますよね。

最後に、これから「うにくえ」をどんなメディアにしていきたいか、について教えてください。

いろんな切り口から個性について考えたら、今度はその知見を蓄積して、データベース化していくことが大事だと思っています。

なので、より多くの知見を集めるために、まずはたくさんの有識者の方にインタビューしていきたいですね。

玉木

今、どんどん面白いインタビューを準備しています。最近では、テレビドラマ研究家岡室 美奈子さんの記事がアップされました。

さまざまな分野の有識者の方にインタビューをすることで、彼らの周辺にいる方たちが記事を読むことになり、これまで接点を持てなかった層の人たちがカオナビのポリシーやスタンスに触れることになると思うので、そうやって潜在的なファンの輪を広げていきたいです。

小須田

私が知る限り、カオナビほど個性を真剣に探究している会社ってないと思うんです。ですから、個性について困ったり、悩んだりしている人に寄り添えるメディアにしていきたいです。

小須田

たとえば採用面接のときに「あなたの強みはなんですか?」と聞かれたり、「自分の個性ってなんだろう?」と悩む場面は必ずあると思うんですけど、そうしたときに「うにくえ」の記事を読んで、少しでも読者の方の気が楽になったらいいなと思います。一言で「個性」といっても、色々な考え方、捉え方があるんだなって。

私自身も、「うにくえ」を作る過程を通し、自分の個性について新しい発見をしたいと思っています。

カオナビの採用情報を知りたい方は

編集後記

「ファンをつくる」──一見シンプルに見えて、これほど難しいミッションは他にないかもしれません。簡単にファンができるのなら、どんなビジネスでも苦労はないはずですものね。しかも、特定のターゲット層ではなく、“すべてのステークホルダー”にファンをつくろうと思ったら。本質的な取り組みを、コツコツ地道に続けていく必要がありそうです。

今回の取材で印象的だったのは、そんな「長期的なファンづくり」と「個性の探求」に対するメンバーそれぞれの当事者意識。そして中長期的な「ファンづくり」に対してユニークな投資をしているカオナビの会社としてのスタンスや思想でした。

個人的にも更新が待ち遠しい「うにくえ」が、今後どんなメディアへと成長していくのか。ぜひその成長を見守りながら、「個性」について一緒に探求していきたいと思いました。

Share

Tags