顧客を巻き込み、プロジェクトを牽引する。カオナビCSが体現する「攻めの伴走」

Interviewee

田中 博章

2026.8.7

企業の組織課題の解決をタレントマネジメントによって支援する「カオナビ」。そのプロダクトの価値を最大限に引き出すために欠かせないのが、お客様の課題解決に伴走するカスタマーサクセス(以下、CS)の存在です。

この仕事の役割は、単に導入後の問い合わせ対応を担うだけではありません。お客様の組織課題を整理し、活用方法を提案し、社内を巻き込みながら成功へ導く、事業成長にも直結する重要なポジションです。そのため、CSとしての経験の有無よりも、これまで培ってきた経験や強みをどう活かせるかが成果を左右します。

今回お話を伺った田中さんも、CS職未経験でカオナビに入社したメンバーの1人。これまでに培った経験やスキルを活かしながら、お客様一人ひとりに最適なロードマップを描き、伴走を続けています。

「顧客を巻き込み、プロジェクトを動かす力は、CSでどう活きるのか?」──そんな疑問を持つ人にこそ知ってほしい、カオナビが目指す「攻めと守りを両立するCS」の面白さを、田中さんの視点を通して紐解きます。

施工管理からIT業界へ、キャリアチェンジを経て見つけた道

まずは田中さんのこれまでのご経歴と、CSという仕事を選ばれた理由を教えてください。

田中

大学で建築学を専攻していた流れから、新卒の1社目は建設関係の企業に入社し、施工管理担当としてプロジェクトマネジメントのような仕事をしていました。その後、25歳の頃に将来のキャリアを考え、未経験ながら金融系IT(FinTech)企業へ転職しました。

カスタマーサクセス本部
カスタマーサクセス部
カスタマーサクセス3グループ
田中 博章
大学で建築学を専攻後、金属屋根の専門施工会社にて施工管理を担当。その後、企業間決済サービス会社にてカスタマーサポートを経て、事業開発に従事。2024年9月よりカスタマーサクセスとしてカオナビに入社。現在はカスタマーサクセスマネージャー(CSM)を務める。

建設業界からIT業界への転職は、大きなキャリアチェンジだったのではないでしょうか。不安はありませんでしたか?

田中

正直、当時はあまり深く考えていませんでした(笑)25歳という若さもあり「未経験の仕事でもどうにかなるだろう」と思っていたくらいです。

ただ、実際に入社してみると、それまでとはまったく異なる文化に驚かされました。専門用語が飛び交い、隣の席の人ともログを残すためにチャットでやり取りし、メモも紙とペンではなくPCで取る。最初はギャップを感じましたね。

2社目ではどのようなお仕事をされていたのですか?

田中

カスタマーサポートのスーパーバイザーを経て、事業開発職として営業戦略にも携わりました。しかし、自分に営業経験がなく、売上を伸ばす確かなアプローチが掴めなかったことから、そのスキル不足を課題と感じるようになったんです。

とはいえ、ゼロからの新規開拓を行うフィールドセールスに未経験で飛び込む自信はありませんでした。そこで、カスタマーサポート経験などのスキルセットを活かし、その延長線上で成果を出せる領域を模索した結果、たどり着いたのがCSという職種でした。カオナビに入社したのは2024年9月です。

これまでの経験が活きる「攻め」のCSという仕事

実際にカオナビでCSとして働き始めて、仕事内容への印象は変わりましたか?

田中

想像以上に泥臭く、「攻め」の姿勢があると感じました。私自身がカスタマーサポート職を経験していたこともあり、どちらかと言えば受動的にお客様を待つスタイルだと思っていたんです。

しかし、カオナビのCSは受動的なポジションにとどまりません。お客様の組織課題やビジネス上の成功に向けて能動的に提案し、実現まで伴走する「攻め」のスタイルが根付いています。ビジネスパートナーとして価値を提供するという、アグレッシブな文化の強さに驚きましたね。

その「攻めの動き」において、これまでのご経験が活きている部分はありますか?

田中

最も活きているのは、1社目の施工管理業務で培ったプロジェクトマネジメントのスキルです。工程を細かく分解し「何を、いつまでに、どの順番で進めるべきか」を整理する習慣は、現在の業務の土台となっています。

お客様が目指す姿を実現できていないのであれば、そこには必ずボトルネックがあります。受動的にお客様からの相談をお聞きするだけでなく、そのボトルネックを特定し、将来的なリスクも見据えながらロードマップを設計する。この道筋を組み立てる際に、施工管理時代に培ったスキルが役立っています。

ただ、私自身は特別な「攻めの動き」をしているという意識はありません。お客様の成功に必要な要素を一つひとつ整理して提案しているだけ、という感覚です。それが結果として、アップセルという形で売り上げにつながっていくこともあります。

その他にも、これまでのご経験が活かされている部分はありますか?

田中

カオナビではフルリモートで働くメンバーも多く、テキストコミュニケーションの比重が高くなります。ここで活きているのが、前職のカスタマーサポートでの経験です。

前職ではコロナ禍を機に、問い合わせ対応を電話からメールやチャットへ完全移行し、多い日には1日80件ほどの返信を行っていました。その経験から身についた「一往復で解決できる文章を書く」「誤解を生まない表現を選ぶ」という習慣は、現在のフルリモート中心の環境でも役立っています

数多くの企業を担当し、並行してフォローしていくにあたって、意識されていることはありますか?

田中

1社目の上司から言われた「2週間後の自分が困らないように仕事をしなさい」という言葉を、今でも大切にしています。

打ち合わせの内容は、時間が経つほど記憶が曖昧になっていくものです。さらに複数社の対応が重なると、記憶が混同するリスクも生じます。議事録の作成だけならAIでもできますが、お客様との会話の空気感や微妙なニュアンスまでは残せません。そうした情報を蓄積することが、長期的な伴走支援には欠かせないと考えています。

そのため、打ち合わせのあとは「どこに違和感があったか」「何がボトルネックになりそうか」といった自分の気づきも、その日のうちに必ず記録するように心がけています。それが“2週間後の自分”に向けた道標になるからです。細やかなフォローを行いながら伴走するのは大変ですが、経験を積んでいくうちに慣れてきました。

一方で、日々進化する「カオナビ」の機能をキャッチアップする難しさを感じることもあります。新しい機能が増えれば、お客様への提案の幅も広がります。私たちCSは、常にサービスの進化を把握し、お客様ごとに最適な提案を考え続けなければなりません。それがこの仕事の難しさであり、面白さでもあります

顧客を巻き込み組織を動かす、本気の伴走スタイル

お客様をどのような状態へ導くことを目指しているのでしょうか?

田中

そもそもタレントマネジメントは、成果を数値だけで測ることが難しい領域です。例えば「離職率の改善」を導入目的にしても、従業員の離職は季節要因や外的要因にも左右されるため、定量的な成果を測りづらい側面があるんです。

そのため私は、数字以上に「会社が以前より良くなった」「組織が前向きに動き始めた」とお客様自身が実感できる状態を、ひとつの成功の形として捉えています。もちろん、お客様によっては具体的な目標を設定する場合もありますが、それぞれに合ったゴールを一緒に描いていくことを大切にしています。

そのゴールの実現に向けてお客様を巻き込んでいく際、特に難しさを感じるのはどういった点でしょうか?

田中

やはり、お客様自身に動いていただくのが一番難しいですね。他社である顧客の組織を、私たちが直接動かせるわけではありません。日頃からコミュニケーションを取る担当の方だけでなく、その先にいる管理職や経営層、現場の方々にも変化を広げていく必要があります。

だからこそ、まずは一人の担当者として顧客から信頼されることが不可欠なんです。丁寧なコミュニケーションを積み重ねることはもちろん、接点を絶やさないことも意識しています。次回のアクションを決めて、進捗が止まりそうであれば予定より早めに連絡を入れ、「本気で一緒にゴールを目指している」という姿勢を継続して示すようにしています。

お客様に主体的に動いていただくために、具体的に意識していることはありますか?

田中

私が意識しているのは、お客様に余計なストレスを与えないことです。

例えば、問い合わせに対して的外れな回答を繰り返すと、顧客はストレスを感じ、サービスそのものから離れてしまいます。前職のカスタマーサポートでの経験からその重要性を痛感しているため、的確でスムーズなコミュニケーションを常に心がけています。

接点を絶やさず、的確な回答をする。当たり前のことを積み重ねているだけですが、それこそが信頼関係につながるのだと思っています。

そうした仕事の進め方は、どのように身につけられたのでしょうか?

田中

カオナビに入社した当初、CS未経験ながら目標を割り当てられ、成果を出すには何が必要なのかを徹底的に考えたときに身についたように思います。そのときたどり着いたのが、野球でいう「打席に立ち、有効な打席数を増やして確実に塁に出る」という考え方です。

初回の打ち合わせで終わらせず、必ず次回の約束を取り付け、自分で決めたネクストアクションを確実に実行する。それぞれのお客様を1つのプロジェクトとして捉え、「今日は何を行い、次は何をするか」を設計しながら進めています。今考えてみれば、ここにも新卒時代に施工管理で培ったプロジェクトマネジメントの経験が活きていると感じます。

実際にお客様を巻き込みながら、プロジェクトを好転させていった事例があれば教えてください。

田中

印象に残っているのは、解約を検討されていたお客様の事例です。解約検討の理由は「費用対効果が合わない」というものでした。ただ、お話を伺うと「カオナビ」のサービスに価値を感じていないわけではなく、十分に活用できていないことが課題だったんです。

そこで「カオナビ」の機能に限定せず、日々の人事業務におけるお困りごとを徹底的にヒアリングしました。すると、当時は月報運用にWebフォームを使用しており、未提出者の特定や催促対応が難しく、管理作業が大きな負担になっていることが判明。そこで、 情報がすべて「人」に紐づく「カオナビ」の強みを活かし、未提出者の確認から催促連絡までワンクリックで完結できる「シートガレージ」への移行をご提案しました。

ただ、従業員のログイン率が低い状態では、新しい機能を導入しても定着しません。まずは若手社員が興味を持ちやすい性格診断テスト「エニアグラム」を活用して、「カオナビ」に触れる機会を増やすことから始めました。

結果として月報の運用定着に成功し、最終的には当初のプランでは対応していなかった人事評価の運用も「カオナビ」で行いたいというご要望をいただき、プランアップでの契約継続という着地を迎えることができました。ロードマップを引いて丁寧なコミュニケーションを重ね、お客様の課題解決のために伴走した結果が、契約継続・アップセルにまでつながった好事例だと感じています。

売ることだけが正解ではない──枠にとらわれないカルチャーの背景

ここまでお話を伺っていると、田中さんは常に「お客様にとっての最善は何か」を軸に判断されている印象を受けました。その考え方は、カオナビのカルチャーとも重なるのでしょうか?

田中

そうですね。特にCSには「枠にとらわれず、最善を形にする」というカルチャーがあります。

日々の仕事の中で、そのカルチャーを体感した場面があれば教えてください。

田中

実は以前、お客様に「一度『カオナビ』を解約するという選択肢もあるかもしれません」とお話ししたことがあるんです。チャーン(解約)防止は重要なKPIであり、一見“枠を外れた”あるまじき発言とも言えますよね。

人手不足などの背景から、契約継続がお客様にとっての最善とは限らないと判断したからこそ、私個人としての本音をお伝えしたんです。結果的にお客様も本音を話してくださり、「人員を増やしてもう一度取り組む」という結論に至りました。

契約を見直す提案をされたんですね。KPIとは相反する部分もあり、葛藤もあったのではないかと思います。判断に迷う場面でのルールや、社内で共通する価値観はありますか?

田中

明確に言語化されたルールは把握していませんが、組織に深く根付いている共通の価値観はあると感じます。ユニットリーダーとしてメンバーに伝えているのは、「お客様にとって最適な選択をすべきであり、売ることだけが正解ではない」ということです。

会社にとって一時的に不利益になる提案でも、そこに正当な理由と誠実さがあれば受け入れられる文化があるのは、カオナビらしさだと思います。段階を踏んで目標を再設定し、改めて最適なプランをご提案する。目先の数字を追うだけでなく、誠実に向き合って築いた深い信頼関係こそが、結果としてお客様との長期的で良好な関係に繋がると信じているからです。このプロセスによる信頼関係の構築こそが、CSとして理想的な価値提供の形だと考えています。

カオナビのCSは、すべての経験が武器になる「総合格闘技」

田中さんは、今後のキャリアについてはどのように考えていますか?

田中

正直、まだ模索している最中ですが…まずはCSのプレイヤーとして専門性を高め、頭2つくらい突き抜けた存在になりたいですね。

これまでの経験や自分の思考特性は、この仕事にフィットしていると感じます。特に、ユニットリーダーとして組織を見る経験を重ねたことで、自分は組織をマネジメントする以上に、顧客支援の現場で専門性を深めていくことに強い面白みを感じるのだと再認識しました。

そのため、組織図の上の方のマネジメント層を目指すというよりは、今後シニアのCSとしてしっかり活躍できるように、専門性を磨いてさらに深く突き詰めていきたいと考えています。将来的にはその知見を活かしながら、以前から興味関心があった一次産業の課題解決にも携われたらと思っています。

最後に、CSに興味を持つ方へメッセージをお願いします。

田中

私が思うに、カオナビのCSとは、いわば「総合格闘技」のような職種です。営業やカスタマーサポートよりも自由度が高く、お客様へのアプローチや戦略の組み立て方は個人の裁量に委ねられています。

「未経験だから不利」ということはなく、それぞれの経験や個性をチューニングしながら自分ならではの立ち回りをつくれるのが、この仕事のいいところだと思うんです。

さらにカオナビには、前例にとらわれず、お客様にとって最善の提案であれば後押ししてくれる文化があります。経験の有無に関係なく挑戦できる、とても面白い環境だと思います。ぜひ、さまざまなバックグラウンドを持つ人に飛び込んできてもらえたら嬉しいですね。

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