言われた通りに作るなら、僕らはいらない──顧客より顧客を考える、導入PMのリアル

Interviewee

菅原 裕貴

藤原 達生

福田 友里恵

2026.10.15

企業ごとに異なる課題を捉え、導入後の自走までを見据えてお客様と向き合う、カオナビの導入プロジェクトマネージャー(以下、PM)という仕事。

ここにコンサルティングファームやSaaS業界、ITソリューションの現場で顧客と深く向き合ってきたメンバーが加わり、「顧客より顧客を考える」というバリューがさらに問われるフェーズを迎えています。

彼らの多様な経験値と、既存チームが蓄積してきた4,500社超の導入ナレッジが混ざり合うことで、どのような化学反応が生まれているのでしょうか。

今回は、次なるキャリアとしてカオナビのカスタマーコンサルティンググループを選んだ新メンバーとカスタマーサポート部長に話を伺いました。

要望は症状であり原因ではない。いかに課題の本質を見抜くか

まずはカスタマーコンサルティンググループが担っている役割と、組織として現在どのようなフェーズにあるのかを教えてください。

菅原

カスタマーコンサルティンググループは、お客様に対して、有償の導入支援や伴走支援を提供している部門です。

2025年からは、従来の設定代行メインの業務から、要件定義やプロジェクト支援などの長期的なサービスも提供し始め、新たなフェーズを迎えています。

背景にあるのは、タレントマネジメントへのニーズの複雑化・高度化です。導入時点での要件の整理やその先の活用拡大を見据えた上での初期設定をしないと、手戻りや二重コストが発生してしまう点がありました。

カスタマーサポート部
部長
菅原 裕貴
大手物流会社のサービスセンターでお客様対応、情報システム部門にて業務システムの設計・構築・運用を担当。その後、企業信用調査会社での中小企業支援の経験を経て、2018年1月にカオナビに入社。100社以上の導入支援サポートを経験した後、2019年よりサポートデスク運営および専任サポートサービスのマネジメントを担当。2021年10月よりカスタマーサポート部長に就任。

まさに「顧客より顧客を考える」を最前線で実装するチームとも言えるのでしょうか。

菅原

はい。お客様の抱えている人事課題をきちんと具体の設定に落とし込もうとすると、実は詰めきれていないところがたくさん出てくる場合も多いんです。

となると、「カオナビ」導入時の対話を通して、お客様ご自身が見えていなかった課題や意思決定の必要なポイントが当然のようにポロポロと出てくる。そこをリードして整理し、導入目的の達成まで伴走することが、今のカスタマーコンサルティンググループに求められているミッションですね。

そういった背景から、人事領域やコンサルティングファームでキャリアを積まれてきた福田さん、藤原さんが入社されたと思うのですが、そもそもお2人がカオナビでの導入PMを活躍の場に選んだのはなぜですか?

福田

「自走を促す」という価値観と、現在のチャレンジングな状況が掛け合わされた会社はカオナビ以外にないと感じたからです。

「自走を促す」価値観については、まずSaaSのビジネスモデルに関心がありました。今までいたコンサルティングファームと違い、SaaS企業のカオナビでは、システムが継続する限りはお客様に価値を提供し続けられる。

中でも、カオナビのサポートサイトには「こんなに公開して大丈夫?」と心配になるほどの具体的なシステム情報が掲載されていて。「お客様が自走できるように本気で取り組んでいるんだな」と感じました。

「チャレンジングな状況」に関しては、数十人から500人規模へと成長していくフェーズというのも魅力でした。上場企業でありながら非公開化に踏み切り、第二創業期としてサービスのアップデートや組織作りに本気で投資に振り切るという判断ができる会社は他にないなと。

型が決まりきった組織ではなく、自分たちの知見でこれからのあり方自体を作っていける。この両方の価値観に共感したのが大きな理由です。

藤原

SaaSのビジネスモデルに惹かれた点は私も同じです。その中でカオナビを選んだ理由は2つです。

一つは、「カオナビ」を使っている会社が周りに多く、影響力のあるサービスだと感じていたこと。 もう一つが、他社との違いとして、現場の方にどんどん使っていただくことを大事にしていること。

こうしたサービスの考え方に共感したことが入社の理由です。

カスタマーサポート部
カスタマーコンサルティング3グループ
藤原 達生
新卒で大手ITサービス企業に入社し、採用・採用オペレーション施策や研修担当などの人事業務を担当。その後、大手コンサルティングファームへ転職し、人事・IT領域のコンサルティング業務に従事。2026年1月にカオナビ入社。

導入支援という場において「顧客より顧客を考える」というカオナビのバリューと、いわゆる「言われた通りに設定する御用聞き」との違いを感じることはありますか?

福田

お客様自身が気づいていない部分にまで責任を持つことが「顧客より顧客を考える」につながると感じています。

ゴールは「依頼への対応」ではなく「お客様の本当の課題を解決すること」なので、時には言われた通りにやらないことも、別の提案をすることも、そもそもの前提を問い直すことも起こり得る。そういったところが「御用聞き」との違いだと捉えています。

ご要望自体は、どうしてもお客様が知っている範囲内での選択肢になってしまうので、いつも「それってなぜやりたいんでしたっけ?」と目的の背景から伺い、視野を広げられるようにしています。

藤原

先ほど福田さんも話されていましたが、カオナビではお客様の「自走を促す」ことを大切にしています。そのため、実際に運用していただくフェーズまで見据え、設定の目的や背景、注意点などをお客様自身にも意識していただきながら進めるよう心がけています。

お客様を憑依させるつもりで深く理解しつつも、こちらが介入しすぎない距離感を保つことも同時に重要だと考えています。

一方で、導入を支援するという役割上「御用聞きになってしまいそうになる瞬間」もあるのではないでしょうか?

福田

いたるところにあります。

例えばお客様が忙しそうなタイミングでも「そもそもなぜやるのか」をヒアリングしなければならないプレッシャーはありますし、お客様のご要望が技術的には簡単に実装できてしまう場合、内心では「このまま受けてしまった方が楽だけど…」と思う瞬間も。

他にも、スピード感のあるプロジェクト進行を求められている場合は「サクッと終わりにしてしまった方がお客様のためなんじゃないか」という葛藤が芽生えることもあります。

ただ「お客様のご要望は症状であって原因ではないことが多い」というのをよく頭の中に浮かべていて。 お客様の課題に関してはご自身が誰よりも詳しいと思う一方で、カオナビでは何ができるのか、他社がどう解決しているのかは知らないはずです。

なので、よりよい選択肢を知らないまま終わってしまうことがないように「御用聞き」にはならず、こちらから必ずご提案もするようにしています。

カスタマーサポート部
カスタマーコンサルティング3グループ
福田 友里恵
ITベンダーにてSEとしてシステム開発やタレントマネジメントシステムの導入を担当後、大手外資系IT企業へ転職。HCM領域(人事・タレントマネジメント)のシニアコンサルタントおよびプリセールスとして多数の導入や提案を主導。その後、大手総合コンサルティングファームにてシニアコンサルタントとしてグローバル人事システムの導入や業務標準化に従事。2026年4月にカオナビ入社。

カスタマーコンサルティンググループの採用にも携わる菅原さんは、こうした環境で活躍できる人とそうでない人にはどんな違いがあると感じていますか?

菅原

率直に言うと「指示通りの正解を欲しがりすぎる人」は難しいのかなと思います。

タレントマネジメントという正解のない領域では、お客様との対話の中で相手の意図を正確に汲み取り、柔軟にチューニングしながら、自ら最適解を探し当てようとする姿勢が欠かせません。

そのため、採用面接の場においても、単なる一問一答ではなく、対話の中で適切なコミュニケーションの調整(チューニング)が自然とできるかを重点的に見させていただいています。

「そもそもなぜ?」を問い、働く人の「あり方」にまで踏み込む

カオナビのカスタマーコンサルティングにおいて、プロジェクトを推進していく上で重要な姿勢はどんなものだと思いますか?

藤原

計画を立てて前に進めることと、想定外の状況に対しても粘り強く伴走することの両立が大切だと思っています。PMとして重要な局面ではリードしつつも、お客様のご状況や変化に応じて伴走していく姿勢を意識しています。

カオナビの場合は導入が終わった後もSaaSのユーザーという形で関わり続けることになりますので、一貫して最後まで伴走していく姿勢が大事だと思います。

福田

そうですね。引っ張りすぎてしまうと「伴走」じゃなくて「代行」になってしまいます。

藤原さんがおっしゃるように「 何をいつまでにどの順番で」という進め方を組み立てるのは私たちPMの責任ですが、一方で「何を目指すのか、どんな組織にしたいのか」の答えはお客様側にある。

なので私たちが主導権を握る対象はあくまでスケジュールや次回アクションの前提、ボトルネックの特定などで、意思決定の場面ではお客様の中に答えがあることを忘れずに、役割を時間軸と領域で分けている感覚です。

大規模なお客様のプロジェクトは、関係者も多く既存の人事制度も複雑だと思いますが、難易度の高さを感じる場面はありますか?

藤原

いわゆるチェンジマネジメントに近い領域だと思います。従来のシステムから「カオナビ」へ移行する際、現場の方々には多くの変更が一気に押し寄せます。

私たちが扱うのはシステムですが、実際には人の働き方や組織のあり方にまで影響します。ただ導入するだけでなく、様々な役割の立場に立ち、「どうすれば受け入れられ、好きになってもらえるか」を考える必要があります。

エンタープライズにおいては関係者が増えるため、このようなアプローチを行う難易度が上がる点が特徴だと思います。

福田

逆に、多数のステークホルダーの中で丁寧な説明とコミュニケーションをしながら、合意形成を図っていくというところは、コンサルの現場に近いですよね。

また、大企業になるほど社内に複数の人事制度が併存するので、統一の難しさと、変更することによる影響範囲の読み取りを精緻に行わないといけない点も難易度の高さにつながっていると思います。

さらに、意思決定に複数の階層を経由する必要があり、現場が動き出すまでに時間がかかるところもハードルかなと。

そうした場面で、前職の経験はどう活きていますか?

福田

まさに今担当しているプロジェクトなのですが、お客様の部署同士の間に入って、意見の調整をする場面が出てきています。

大企業は特に、部署のパワーバランスに差がある場合も多く、 例えばバックオフィス部門に比べて、営業や製造など売上に直結する部門の発言力が強いケースも多くあります。そこで調整がつかず、人事部の方から「なんとか調整してほしい」と助けを求められていまして。

それはなかなか大変そうですね。

福田

担当の方は「私もカオナビさんが言っていることは正しいと思うけれど、説得ができないのでなんとかお願いします」と。

でも、前職の経験から、そんな時ほど人間って意外と泥臭い対面でのコミュニケーションが有効だったりすると学んできているので、実は今度そのお客様のところにご訪問して、「一緒に『カオナビ』の画面を見てみましょう!」という会をしながら、関係構築をしていこうと思っています。

藤原

福田さんや私が担当しているエンタープライズ領域への展開は、チームとしてもどんな価値提供ができるか手探りの部分が多いですよね。今まさに自分たちで一つ一つ型を作っている段階だと思いますので、そこが難しさであり、やりがいだと感じています。

お客様と向き合う中で、プロジェクトが良い流れに変わった瞬間があれば教えてください。

福田

私はサポートの際にお客様の業務フローを全て書き出してからお話しするのですが、それによって課題が可視化され「なるほど!実はここよりもさらに上のフローに課題があったんですね!」とお客様が気づいて納得できた笑顔を見せてくださることも多くて。

そこで「ボトルネックに達したな」と感じられると、その業務フローをベースに検討ができ、進行も円滑になりますし、お客様の真の課題も解決できるように思っています。

藤原

私の場合は、あえて早い段階で実際の「カオナビ」画面をお見せすることもあります。

従来はお客様の活用目的に合わせて机上での要件整理や業務フローの作成から入るケースが多いと思いますが、「カオナビ」のように設定変更が柔軟に行えるプロダクトであれば、その特性を生かした進め方も選択肢の一つだと考えているからです。

実際に画面をお見せすることで、お客様社内での議論が活性化したり、「思っていたよりも早く設定・修正ができる」と実感していただけたりと、「カオナビ」の良さをリアルに体感していただける機会にもなります。

こうしたアプローチも効果的に取り入れながら伴走していきたいですね。

コンサルのプロによる知見と蓄積された導入ナレッジで、より強いカスタマーコンサルティングへ

新しく入られた藤原さんや福田さんの知見と、これまでチームが積み上げてきたナレッジが混ざることでの変化は感じますか?

菅原

2人が加わってくれたことで、既存メンバーが手探りでやってきたカスタマーコンサルティングも間違ってはいなかったと自信になった側面はありますし、チーム全体の視座が上がっていると感じます。

最近はみんなで過去の案件を振り返る会を実施し、サポートサービスの中で「やってよかったこと、やるべきだったこと、やれなかったこと、あるいはやりすぎたこと、やらなくてよかったこと」を洗い出しながら、コンサル出身の福田さんと藤原さんによる前職での知見もシェアしていただき、チームとしてアップデートできるよう一つひとつ積み重ねている最中ですね。

福田

私も、元々あるカオナビのソリューションとナレッジ、私たちが知見として持っている業務改革の掛け合わせによって、カスタマーコンサルティンググループはより高みに登っていけるのではと思っています。

ちょうど先日、社内で「スキルベース組織」についての勉強会をさせていただいたのですが、その時にみなさんで「『カオナビ』だったらどんな機能が使えるか」「どんな提案が適切か」といった議論を活発に行うことができたのもよかったなと。

藤原

私から提供できるものは、できるだけ他の案件でも使えるように共有させていただくことを意識しています。

一方で、カオナビとして中長期で見たときのお客様との関係構築や「自走の促し方」については、先輩メンバーの背中を見ながら私たちも学んでいるところなので、相乗効果をこれから生み出していきたいですね。

カオナビのカスタマーコンサルティンググループとして、この先どんなことを目指していきたいですか?

菅原

一年半前まで設定代行だけで仕事が成立していたチームが、「これではお客様の本質的な課題解決にたどり着かない」と自覚し、正面から向き合ってレベルアップしている最中が今です。

お客様との関わり方は、昨年よりも何段階も深いところに行けていますし、成功事例やナレッジをチーム内でシェアできる引き出しも充実してきました。

型にはまった御用聞きではなく、自身の知見を武器に「新しいカスタマーコンサルティングの形」を自ら作り、チーム全員で勝ちに行きたいというマインドを持った方に、ぜひ次の打席に立ってほしいですね。

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