オンラインコミュニケーションをアップデート!みんなの声が届くツール「Message screen」とは

Interviewee

松下 雅和

小松 史明

2023.10.27

カオナビでは、3年前と比べ社員数は倍に増え、リモートワークと出社を組み合わせたハイブリッド勤務が大半を占めています。コミュニケーションもオンラインが軸となっていますが、人事企画を担う小松さんは「従来のコミュニケーションを見直す時期がきている」と言います。よりスムーズなコミュニケーション方法を模索していた際に、一役買ったのがCTOの松下さん自らが開発したコミュニケーションツール「Message Screen」です。

「Message Screen」とはどのようなツールなのか。新しいツールがもたらしたコミュニケーションの変化、社内交流を促進させる取り組みについてCTOの松下さん、企画推進本部の小松さんに伺いました。

今、コミュニケーションをアップデートするとき

リモート主体の働き方のなかで、どのようにコミュニケーションをとりながら業務を行っているのでしょうか。

松下

基本的に、Slackでのテキストコミュニケーションがメインとなっています。「オープンな場所で発言をする」という会社の方針があるため、Slackの各チャンネルは盛んです。社内勉強会や部活などの雑談チャンネルや分報チャンネル(Times)などもあります。Timesでは、悩みや考えを発信したり、他メンバーと業務内外についてやりとりをしたりしていますね。

オンラインミーティングはZoomやGoogle Meetを活用してコミュニケーションをとっています。働く場所を選べる「ハイブリット勤務」のため、出社した場合はオフィスでミーティングをすることもあります。

プロダクト本部
CTO
松下 雅和
SIer2社を経てゲーム/メディア/広告事業の会社に入社。その後、モバイルゲーム・スタートアップにてCTOとして従事。累計数千万ダウンロードにもなるゲームの基盤を支えてきた。2020年2月にカオナビに入社し、様々なプロジェクトの開発を支援。同年9月にCTOに就任。

Slackでのコミュニケーションが盛んなんですね。その他にコミュニケーションをサポートする場はあるのでしょうか。

小松

はい、「全社総会」や「全社ミーティング」、「1on1」などが、制度としてあります。

小松

これらは全社的に定着していますが、アップデートする時期がきていると感じています。というのも、会社の規模が大きくなるなかで、これまでの運営方法だと双方向のコミュニケーションを担保しづらくなってきました。参加人数が多くなったことで、意見が言いづらい雰囲気になってしまったり、限られたメンバーのみが発言するようになってしまったりしていて。言葉を選ばずにいうと、会議の録画を見ているのとさほど変わらないような状況に陥ってしまっている。

そこで今、コミュニケーションのあり方を見直そうとしています。その取り組みのひとつに、松下さんが開発した「 Message Screen」があります。

企画推進本部
小松 史明
人材系企業で医療系人材の紹介営業を経験した後、IT企業でSEを経て2019年カオナビに入社。フロントエンジニアを経て組織開発に興味を持ち、人事企画を担当。キャリア形成支援や人事教育の課題解消に従事。

自己研鑽タイムを活用し、コミュニケーションツール「Message Screen」をCTO自らが開発

「Message Screen」について詳しく教えてください。

松下

ウェブ会議やウェビナー中に、参加者のコメントやリアクションが画面上に表示されるツールです。スピーカーは参加者の反応をリアルタイムで見ながら話せます。Slackと接続することで、社員の誰もが使えます。

松下

登壇者はMessage Screenのアプリをあらかじめ起動しておきます。参加者はMessage ScreenがSlackに自動投稿したメッセージに対しスレッドでコメントをすると、その内容がリアルタイムに登壇者の画面上に流れます。コメントだけでなく、スタンプも表示できるようになっています。

「Message Screen」の開発に至った経緯を教えていただけますか。

松下

安全性が高く、使う人にとって負荷の少ないコミュニケーションツールを開発したいと思っていました。

「Message Screen」と似た外部ツールを、エンジニアの勉強会内でよく使っていたんですが、セキュリティ上、業務や機密事項に触れるようなコメントはできなかったんです。コメントの内容を考慮しなければならず、使える場面が限定されてしまい、少し煩わしさを感じていました。それに、既存のサービスは使い方も複雑で……。

そういった課題を解決するのであれば、自分たちで作るしかないと考え、週に2時間まで認められている自己研鑽の時間を取れる制度である「スナバ」を活用して、開発しました。

自分たちで開発してまでも使い続けたいツールだったんですね。

松下

そうですね。このツールをなくすのは惜しいと思っていたんです。エンジニア勉強会で、場が盛り上がる場面を幾度となく見てきたので。聞き手は賞賛や合いの手をコメントしたり、スタンプで感情を手軽に表現できたりするし、反応が可視化されることで話し手も気持ちよく話せる。これまで一方通行に感じていたオンラインのコミュニケーションが、対話的になったんです。この醍醐味を知ってしまっていたので、「作るしかない」となりました。

小松

サービスやツールがほしいと思った際に、カオナビのエンジニアが行き着く先は、“自前でつくる”なんですね、なんてメンバー間で話しましたよね(笑)

CTOの職務をこなしながら、開発するのは大変ではなかったですか。

松下

むしろ、楽しかったです。「スナバ」を活用できるいい機会でもあったし、スピーディに作れたらメンバーはどんな反応をするんだろう、といたずら心を持って開発しました(笑)面白いツールやサービスを勝手に作ってしまうような雰囲気を作れたらとも思っていたので、私が率先して行動することで、会社やメンバーになにかしら影響を与えられたらと考えていました。

ご自身自らが制度を活用し、挑戦する姿を見せることで変化をもたらそうと思ったんですね。松下さんのモチベーションの源泉はどこにあったのでしょうか。

松下

やはり作ることが好きなんです。プロダクトのコード以外でちょうど興味があって調べていた技術があって、どこかで試したいと機をうかがっていたんです。なので、勉強がてら「Message Screen」を作ってしまおうという感じでした。

今、直接コードを書く業務からは離れていますが、技術に対しては引き続き興味を持っていますし、新しい取り組みもしていきたいと常に思っています。

双方向のコミュニケーションで雰囲気を醸成。居心地のよい場づくりが実現可能に

「Message Screen」は、どのように社内へと広まっていったのでしょうか。また初めて使ってもらった際、みなさんの反応はいかがでしたか。

小松

だんだんと社内に浸透していきましたね。まずは、エンジニア勉強会で使い始めました。メンバーからは「本当に実現できたんだ」と感嘆の声が上がって。松下さんの話にもあったように、もともと外部ツールを使っていて、その良さを体感していたと同時に、セキュリティに課題を感じていたので、やっと心置きなく使えるツールができたと喜んでいました。

エンジニア以外のメンバー向けには、開発した成果物に全社員からフィードバックをもらう場「全社スプリントレビュー」ではじめて使ってもらいました。お披露目した時は、多くの社員が驚いていましたね。一方通行になっていた会議やウェビナーに、こんな打開策があったのかと面白がってもらえました。

ただ、導入初期はメッセージ投稿へのハードルはなかなか下がらず、まばらな投稿でした。そこでスタンプでもリアクションできるように改善。ちょうど半期総会のタイミングでもあったので、スタンプ機能が盛り上がる仕掛けとして一役買ってくれました。

使われないからと諦めるのではなく、改善しながら最適化していったんですね。「Message Screen」の導入後、どんな変化が生まれたのでしょうか。

小松

話し手と聞き手で双方向のコミュニケーションが可能になり、一体感を醸成できるようになりました。特に、オンボーディングとの相性の良さを感じています。全社ミーティングで入社メンバーの紹介をする際に、歓迎ムードを演出できるようになったんです。オフラインであれば周りの反応や熱量が手に取るようにわかりますが、雰囲気が伝わりにくいのがオンライン。流れてくるスタンプやコメントによって雰囲気が可視化されるため、入社挨拶をした新メンバーは緊張がほぐれたようです。

松下

「部署内のミーティングでも使ってみたい」という声も上がり、今では大小さまざまな会議やイベントで使ってもらえるようになりました。「Message Screen」がコミュニケーション促進の一つとして定着したのは、開発者冥利につきますね。

交流機会を増やして、コラボレーションの種を巻いていきたい

「Message Screen」以外にもコミュニケーションの潤滑油になっている取り組みはありますか。

小松

先日、他部署交流を目的に「kaonavi FRIDAY NIGHT」というオフラインの社内イベントを東京のオフィスで開催しました。

任意参加で、催し物は特になく、飲み物とちょっとした軽食を片手に話をする。言ってしまえば、単なる飲み会なんですが、60名以上の社員が参加。業務では直接関わらないようなメンバー同士が楽しそうに会話をしていました。

松下

東京オフィス以外のメンバーは、取り組みとまではいかないですが、エリアの近い人たち同士でランチ会などを開催して定期的に集まっているようです。

最後に、今後どのように社内のコミュニケーションをアップデートしていきたいか展望を教えてください。

小松

部署や職種を横断してコラボレーションや対話が起きるような機会を意識的に作りたいです。そして、「メンバー全員で『カオナビ』を作っているんだ」という一体感を醸成していきたいです。

会社の規模が大きくなってきたことと、リモート主体の働き方が相まって、業務の中で接するメンバーが固定化され交流の輪が閉じてしまう現状があります。なかには、他部署と積極的に交流してくれる人もいるんですが、そのメンバーばかりに期待するのではなく、会社が意図的にきっかけづくりをしていかないと変化は難しいと感じています。ただいきなり大きなテコ入れをするのではなく、「Message Screen」や「kaonavi FRIDAY NIGHT」のように、コミュニケーションのタッチポイントを増やしていきたいです。

スモールステップでコミュニケーションを活性化していくんですね。松下さんはいかがですか。

松下

オンラインを活用した雑談の場を増やしていきたいです。プロダクト開発チームには遠方に住むメンバーが多くいるので、オフラインで集まるとなるとなかなか難しい。その分、Slackでのテキストコミュニケーションが盛んですが、その文化に慣れていない方や入社したばかりの方はうまく溶け込めないこともある。心理的安全性をより高め、気軽に相談ができる関係性づくりのためにも、積極的に雑談を取り入れていきたいと思います。

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