“TAM”って何の略!? ITスキルで切り拓く新たなキャリア

Interviewee

浅田 健吾

髙橋 栄二

椎名 燎平

2022.3.31

みなさんは「テクニカルアカウントマネージャー(以下、TAM)」という職種をご存知でしょうか。これは、自社プロダクトを導入いただくお客様に伴走し、技術的な導入支援や運用全般の問題解決を担う存在です。外資系のIT企業ではしばしばみられるポジションですが、国内ではまだまだ認知度の低い、縁の下の力持ちといった位置付け。そんなTAMが、このカオナビでも1年前に発足しました。現在、その役割を担ってくれている浅田 健吾さん、髙橋 栄二さん、椎名 燎平さんの3人に、この仕事のやりがいや魅力について語ってもらいました。

カオナビにおける“TAM”とは、技術に強いカスタマーサクセス

3人の役割であるTAMは、カオナビに限らず、国内ではまだあまり見られないポジションです。まずは、カオナビのTAMについてその役割を教えてください。

髙橋

カオナビのTAMには3つの役割があります。一つ目は、“お客様に寄り添い、技術課題の解決や、サービスの付加価値を向上すること”。二つ目は“お客様と接点を持ち、得た情報から改善要望などをプロダクト開発側にフィードバックし、サービス改善に寄与すること”。三つ目は、“勉強会などを開催し、営業部門のIT基礎力を向上させること”です。

椎名

僕らのミッションを端的に言うと、“サービスの解約をいかに最小限に抑えられるか”、“お客様の満足度をいかに最大限まで高められるか”にあります。カオナビのカスタマーサクセス部隊であるカスタマーエンゲージメント本部が目指すものとほぼ一緒だと思っています。

アカウント本部
エンタープライズセールス2グループ
椎名 燎平
カスタマーサポートツールを展開するSaaSベンダーのTAMとして、プリセールス・既存顧客へのオンボーディングや活用促進を経験。その後、PdMとして新規プロダクトの立ち上げを経験。2021年2月にTAMとしてカオナビに入社し、APIやSSOなど技術面での提案支援や大規模案件のPLを担当。

お話を聞いていると、CSの技術特化版のようなイメージを持ちます。

椎名

そうですね。今のカオナビのTAMは、そのイメージで合っているかと思います。プロダクトの導入から運用までの「技術的な側面での支援」というのが特徴だと思います。

浅田

私もまだ入社前の話ではあるんですが、当時は「エンタープライズ系の新規顧客獲得数を最大化させること」をミッションとしていたので、アカウント本部(当社の営業部隊)でTAMが発足したようです。

髙橋

椎名さんや私が入社したタイミングは、さらにTAMの役割を拡大していこうというフェーズで…エンタープライズ系の既存顧客の対応も行えるようになったんですよね。今では、コマーシャル、SMBゾーンの新規・既存顧客支援、社内関係部門との連携なども積極的に行っています。

アカウント本部
エンタープライズセールス2グループ
髙橋 栄二
SIer、ソフトウェア開発ベンダーにて、パッケージ製品の導入SE、テクニカルサポート、自社システム開発など様々な業務を経験。2021年1月にカオナビに入社し、TAMとして「カオナビ」のAPIやシングルサインオンなど、技術要素が含まれた社内外の課題に対する解決支援を行う。

椎名

順当にその役割を拡大していくなかで、既存顧客の対応はより実運用に沿ったサポートが必要とされていて…その分工数もかかりますし、リードタイムも長くなります。他システムと連携させるといったことも発生してくるので、カスタマーサクセス色が色濃くなってきていますし、今後もその役割は拡大していきそうです。もちろん、新規局面での支援も引き続き対応中です。

前例がないなか、手探りで部門立ち上げ・推進へ

そんな3人は、カオナビに入社してからどんな仕事を行ってきたのでしょうか。

浅田

私が入社したときはまだ椎名さん、髙橋さんがいないころだったので、基本的に一人で技術的な支援を行っていました。今は新規営業時における技術面のQAサポートや、「カオナビ」を導入済みのお客様からの相談対応を主に担当。こうした顧客接点の場面において、その導入や活用がスムーズに行えるような、そんな環境づくりを担っています。

椎名

テクニカルな話になってしまいますが、「カオナビ」にはAPIが2つあり、旧APIはゆくゆく閉じることが決まっています。そのため、新APIを使っていただくことが私のミッションの一つです。定量的な成果でいうと、入社時には20社だった新APIの導入社数が、今では60社ほどに増えています。

カオナビでの成果を出す上で意識されていることや苦労されたご経験についてお聞かせください。

浅田

意識しているのは、相手に合ったやり方で分かりやすく伝えることですね。「カオナビ」を利用するお客様からは、IT業界にありがちな、カタカナ語や横文字についての質問が多いんです。正直、意味をそのままお伝えしてもご理解いただくことが難しい概念などもあるので、どうすればスムーズに伝わるかを考えながら解説することを意識しています。また社外だけでなく、最近は、社員のITリテラシーの向上といったテーマにも注力しています。カオナビに新しく入ってきた方には1ヵ月の研修を行っていて、そのなかで私は「カオナビ」の“シングルサインオン(SSO)”や“API”の研修講師を担当しています。研修を受講した新人の営業同行をした際に、その営業担当がこれらの用語解説をお客様にしている様子を見て、「あ、理解してもらえたんだな」と嬉しく思ったことは印象に残っていますね。

アカウント本部
アカウント2部
エンタープライズセールス2グループ
浅田 健吾
新卒で携帯販売の大手代理店企業に入社。新規事業部門(IoT事業)でのシステムエンジニアを経験した後、2020年11月にTAMとしてカオナビに入社。2021年1月より既存セールスを兼務。

椎名

最近では官公庁系のPoC(Proof of Concept、概念実証)として、約3,000名ほどの規模のオンボーディングにも携わらせてもらっています。このPoCというのは“概念実証”といいまして、新たな企画や構想に対して、実現可否や目的とする効果を得ることができるのか、本格的にプロジェクトを開始する前に検証を行うことです。

私がプロジェクトに加わるのはPoCの実行が決まったタイミングなのですが、いざ参画してみると、「PoCで何をしたいのか」、「目的やゴールは何か」といったことが十分に定まっていない状態でスタートしてしまっていることが多いんです。そのため、PoC自体の取り組みもそうですが、プロジェクトを前に進めるためのPM的な動きも主体的に取るよう意識していますね。

髙橋

そうした社外の顧客向けの対応に加えて、TAMでは社内からの技術相談も受け付けているのですが、その数は現在年間100〜150件ほどにのぼります。この数の多さを見ると、この1年で社内におけるTAMの認知度を上げることができたのかなと感じますね。TAMは発足して間もないポジションですので、前例もなくすべてが手探り。そこが大変な点でもあり、やりがいでもあります。

浅田

そうですね。前例がないなかで「誰にも相談できない…」といったことへの難しさはありました。加えて、コロナ禍が始まったタイミングだったこともあり、質問の場が対面からSlackに変わり、文字だけのコミュニケーションになったことも当初は苦労した点でしたね。

髙橋さん、浅田さんは「前例がない」ことに苦労したとのことですが、椎名さんにはどんな苦労がありましたか。

椎名

私は前職でもTAMだったので、最初はそことのギャップに苦労しました。前職ではTAMの役割がCSの領域にまで及んでいて、業務対応の幅が広かったんです。一方、カオナビのTAMはシングルサインオンやAPIなど技術的な側面にフォーカスして業務遂行できる。“前職は広く、カオナビでは深く”といった違いですね。ただ、今後は深く掘るだけでなく、前職のように業務の対応レンジを拡張していくことも見据えています。

技術を武器に、代替不可能な価値を提供。それがTAMのやりがい

日々の業務を通じ、皆さんが感じているこの仕事のやりがいについて教えてください。

髙橋

まだまだ取り組むべき課題がたくさんあるところですね。お客様ごとの個別具体の相談はそれぞれオリジナリティがあります。例えば、APIに関するものだと、「カオナビ」を導入されるお客様がすでに別の人材管理システムを使用されていて、「この既存システムにあるデータを、「カオナビ」と接続するにはどういった手法があるのか」「またはそれをどう開発すべきなのか」など…こうした相談が多数寄せられる状況のなか、自分でも対処したことのない相談をいただくと、「何とかして解決したい」と使命感に駆られます。

椎名

CSには出せない、“TAMだからこそ創出できる価値がある”という点ですね。プロダクトの導入や運用において、APIなどのシステム連携の話が絡んでくると、そこはやはり我々だからこそ対応できる領域となります。特に、大型案件ほど導入する際のAPI連携も複雑になってきますので、そうした規模の大きいプロジェクトをリードできるという点はTAMならではのやりがいです。

浅田

私は、与える影響範囲が広いという点ですね。「カオナビ」の導入企業は現在約2,000社以上。その2,000社すべてに対して、我々TAMは技術的なサポートを提供することができます。これがセールスであれば、一人当たりで直接対応できる社数は多くてその1/10くらいではないでしょうか。しかし、TAMというポジションなら技術を介してその導入先すべてに価値を届けることができます。こうした影響範囲の広さにやりがいを感じていますね。

TAMが設置されたことで生まれた価値について、何か具体的なエピソードはありますか?

浅田

カオナビにTAMが設置される前は、当社の情報システム部(以下、情シス)がフロントに立ってお客様の技術相談に対応していたそうです。しかし、もともと情シスは社内のIT環境最適化を担う部署です。TAMというポジションが生まれたことによって、本来の情シスがやるべきことに専念できるようになったと言ってもらえています。

また、セールスからは、「TAMが商談時に同席フォローしてくれるので、提案の場でお客様の技術相談も一緒に解決できる。結果として、お客様の導入に際する意思決定のスピードが上がりました」という声ももらいますね。「カオナビ」の普及にもTAMが直接的に貢献できていると感じています。

「技術を用いて、顧客折衝したい」。カオナビ・TAMへと飛び込んだ理由

そんな皆さんがカオナビのTAMで働くに至ったきっかけは何だったのでしょうか?これまでのご経歴の変遷から伺えればと思います。

浅田

私の前職はSEです。転職を検討し始めたのは、開発実務だけでなく、もっと顧客折衝の現場に携わっていきたいと思ったからですね。技術を軸にお客様と関われる会社を見ていくなかで、まさにそうした業務を部門の立ち上げフェーズから携われるカオナビに惹かれました。

椎名

私はCS向けツールを展開するSaaSベンダーでTAMを5年ほど経験した後、PdMとして新規プロダクトの立ち上げを2年ほど担当していました。前職の在籍年数も約8年にさしかかり、今後の自身のキャリアについて今一度考えていくなかで「お客様と直接向き合えるポジションの方が自分には向いているな」と思い、転職を検討し始めたんです。そのなかでタレントマネジメントシステムの存在を知り、CS領域のプロダクトに関わっていた経験も活かせそうだなと思い、カオナビを選びました。

髙橋

私は社内SE、テクニカルサポート、導入SE(クライアントがシステム導入をする際に、スムーズに利用開始できるようにセットアップのサポートをする役割)など、多岐に渡る経験を積んできました。総じてフロントに立つ機会があまりなかったため、心機一転してお客様への直接的な支援が可能なプリセールスなどを軸に転職活動を始めました。

加えて、昨今の人事領域におけるさまざまなプロダクトの登場にも関心を抱いていました。その観点から、“技術の知見を活かしてフロントで活躍できる”、かつ“人事課題を解決できる”という2つがマッチするカオナビを選んだというわけです。

実際にカオナビに入社されたあと、何かギャップを感じた方はいらっしゃいますか?

髙橋

入社後の研修において良いギャップが一つありました。これまでの自身の経験上、中途入社者はOJT形式で仕事を覚えていくのが当たり前なのかなと思っていたんです。でも、カオナビに入ってみると新卒・中途問わず一通りカリキュラムが用意されていて、1〜2ヵ月かけてじっくり研修をしてもらえたんです。こうした教育制度は、特にIT業界の外から入ってくるメンバーにとっては大きな安心材料になると思います。

TAMはお客様と開発側の“媒介役”。両者の意図を汲み取り、繋げる

そんな他社や他職種も経験されてきたみなさんだからこそ感じる、“カオナビのTAM”にマッチする人材とはどのような方でしょうか。

髙橋

個人的には前職での導入SEでのエンジニア経験、テクニカルサポートでの顧客折衝経験が今に活きているので、同様の経験を持つ方にはマッチすると言えるでしょう。あとは、やはり最低限のIT知識は必要ですね。ここでいうIT知識とは、主にサーバーサイドやインフラといった領域を指します。加えて、お客様と頻繁に連絡を取り合う部署ですから、コミュニケーション能力も大切な素養となってきますよね。

浅田

私も髙橋さんの意見に同意で、加えて、これまでに多くのステークホルダーを巻き込む仕事をしてきた方にも向いていると思います。社外だと人事の方に分かりやすく技術仕様を伝える表現力が必要ですし、社内も同様にプロダクト側と認識のズレなく機能開発に繋げていくコミュニケーション力が求められます。ある種、両者の媒介としての役割を担うのがTAMというポジションなんです。

なお、IT知識に関していうと私は前職でのSEとしての経験が役立っていますが、人事領域は完全に未経験でした。そのため、独学で勉強したり社内で質問しながら知識を身に付けていきました。カオナビのメンバーは相談すれば快くアドバイスをくれる方々ですので、その点は未経験でも安心してもらえたらと思います。

椎名

私は、ジャンルは違えど“顧客のオンボーディング”を担ってきた人こそマッチすると感じています。これまでのOJTで現場経験を積みながらTAMとして必要なスキルを培ってきました。そのなかで、最も重要なコアスキルだと感じていたのがオンボーディングのスキルです。

このオンボーディングというのは、単に自分自身が技術を分かっていれば良いという話でもなく、お客様が持つ、技術に対する知識レベルやその理解度の違いや変化に合わせて伴走していくという点に難しさがあります。

髙橋

スキルという観点だと、TAMの仕事は“技術”と“CS”の要素が半分ずつ備わっており、それぞれの専門性を身につけることができます。「カスタマーエンゲージメントに注力したい」とか、「技術部門に特化してプロダクト側にチャレンジしたい」といった具合に、将来的に取れる選択肢に幅があるというのもTAMの魅力のひとつですね。

最後に、みなさんから未来にカオナビのTAMとして働くかもしれない仲間へのメッセージをいただけますか。

椎名

TAMに限らず、カオナビ自体がまだまだ若い会社ですので、挑戦できる可能性はたくさんあります。「自分の手で今ここにないものを生み出していきたい」という方はぜひ一緒に挑戦していきましょう。

髙橋

カオナビのTAMチームは発足1年ぐらいなので、チームビルディングや組織運営など、マネジメント領域にも挑戦できるのも魅力だと思います。“技術”と“CS”といったキーワードに加え、“組織をつくる”といった経験もできるフェーズなので、興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。

浅田

「お客様との関わりが好きだ」という人にこそジョインしてもらいたいです。「カオナビ」はタレントマネジメント領域でシェアNo.1となっていますが、よりよいサービス提供のためにプロダクトや組織などをアップデートし続ける会社です。バリューにもある“仮説思考”や“仕組み化”を軸としているので、こうした価値観に共感する人をお待ちしております。

カオナビの採用情報を知りたい方は