日本の労働課題解決のため、パラレルワークが最適だと感じた──カオナビ初の「週4日正社員」となった齊藤に訊く、副業を活用した自己実現とは

Interviewee

齊藤 直子

2021.5.19

最近は政府でも「週休3日制」についての議論が交わされていますが、カオナビには既に週4勤務で正社員として働いているメンバーがいます。2020年1月に入社し、現在は社長室にて社会や業界についてのさまざまな情報収集・分析業務に携わる、齊藤直子です。

齊藤は週4日間をカオナビで勤務し、残りの1日は福祉系のNPO法人にて研修企画・運営や組織開発業務に従事。両立の難しさは多少あるものの、自分にとって理想的な働き方ができていると言います。

なぜ彼女は、パラレルワークという働き方を選択するに至ったのか。パラレルワークならではのメリットや難しさはどこにあるのか。新しい働き方のリアルに迫りました。

私が週4勤務を選ぶ理由──民間にも行政にも解決できない社会課題に取り組みたい

まずは、所属されている社長室でのお仕事内容について、教えてください。

齊藤

企業によって社長室が担う役割はさまざまだと思うのですが、カオナビの社長室では、HR領域の業界動向や公共政策の動きといった社会全体のトレンドについて、情報を収集・分析しています。

集めた情報を社内に展開することはもちろん、社会に発信する価値があると思われるものについては調査レポートにまとめ、『カオナビHRテクノロジー総研』というオウンドメディアを通じて公開しています。

社内のシンクタンクのような部署なのですね。カオナビに入社するまでは、どのようなキャリアを歩んでこられたのでしょうか?

齊藤

大学院に進学して公共政策について学び、卒業後はコンサルティング企業に入社しました。人事組織コンサルティングの部署に配属され、そこで初めて「タレントマネジメント」という概念に出会いました。当時はカオナビについてそこまでよく知っていたわけではないのですが、「今後この新しい考え方が根付いていけば、日本の労働環境はもっとよくなりそうだな」という予感を抱いたのを覚えています。

その後は学生時代からボランティアスタッフとして関わっていた教育系NPO法人を経て、人事領域の中でも組織開発をメインで手がけている小さめのコンサルティング企業に再度転職しました。

その会社に入社して3年目になった頃、今の働き方の原型でもある「週4日の正社員勤務と、週1日のNPO法人での活動」というサイクルで働くようになりました。

社長室
齊藤 直子
慶應義塾大学大学院法学研究科修士課程を修了後、プライスウォーターハウスクーパース株式会社(現PwCコンサルティング合同会社)に入社。その後NPO法人の事業部マネージャーや組織開発コンサルタントを経て、現職。リモートワーク調査をはじめとする、調査・研究に主に従事している。現在カオナビでは週4正社員としてフルリモートワーク中で、並行してNPO法人でも働くパラレルワーカー。

「週5日正社員勤務」という一般的な働き方ではなく、「週4日正社員勤務+副業」という働き方を選択しようと思ったのはなぜですか?

齊藤

まず、日本社会に対してさまざまな課題感を持っています。関心が高いのは労働の課題で、たとえば長時間労働の問題。もっと家族との時間やプライベートな時間を持ちたい、あるいは自身の健康上の問題や親の介護がある等の事情があっても、長時間働かざるを得ない状況にある人は非常に多いと思います。もちろん「たくさん働きたい」人もいるとは思うのですが、多くの人の「働かざるを得ない」時間の絶対量を減らし、「働く」以外にもさまざまな選択肢を持って自由に時間の使い方や生き方を模索できるような社会にしていきたいなと考えています。そしてカオナビは、こういった課題の解決に寄与できるはずで、実際に働いていてやりがいを感じます。

ただ、こうした社会課題は労働の課題以外にもたくさんあり、民間にも行政にも解決しづらい領域があると思うんです。だからこそ、企業も政府も尽力しているのに、日本は今「課題先進国」とも言われるような大変な状況になっています。社会課題を解決するためには、NPOなどの企業でも政府でもない組織や領域が活性化することが非常に重要です。だからカオナビでも働きたいけど、NPOでも働きたい、そんな私にとっては「週4日カオナビ勤務+副業でNPO」が理想のバランスでした。

また、もちろんNPOに専業で携わられている方もたくさんいらっしゃいますが、この領域が活性化するには、企業や政府セクターで働いている方が本業以外の時間で関わってくれることもカギになると思っています。「ロールモデルになる」とまではおこがましくて言えませんが、そんな働き方をする人が増えたらよいなとも思っています。

とはいえ2つの仕事のバランスを取るのは難しいとも、前職では実感しました。オーバーワークに疲労を感じ、働き方を改めて見直す中で辿り着いたのが、仕事の生産性を上げることで短時間の労働でも成果を出すことに成功しているカオナビでした。


理想のパラレルワークを実現させた、カオナビの働き方とカルチャー

齊藤さんが入社した際に、カオナビに「週4日正社員勤務」という働き方の制度はあったのでしょうか?

齊藤

いいえ。当初はそのような制度も前例もなかったので、最初はアルバイトとして入社しました。面接で「週4で正社員も可能ではあるものの、事例としては初になるので、実際にやってみてお互いのニーズが合わない可能性もある。いきなり正社員ではなく、齊藤さんがソフトランディングできるように、まずはアルバイト雇用でどうですか?」とカオナビサイドから提案して頂いたんです。

私としても、“正社員であること”にこだわるあまり、他の方と同じ量の時間的コミットを求められ、結果的に週5日勤務のような状態になってしまうことも恐れていたので、アルバイトでも構わないと思いました。「正社員でいたい」より「自分の理想とするキャリアを歩みたい」という気持ちの方が、ずっと強かったんですね。

その後制度を整えていただき、2020年の12月に、カオナビ初の週4日勤務正社員になりました。

カオナビでの仕事とNPOの活動を両立できている要因には、何があると思いますか?

齊藤

「ぎゅっと働いて、ぱっと帰る」という言葉にも現れている通り、「仕事に時間をかける必要はない」ということが明確に打ち出されているのは大きいと思います。また、そこに共感して入ってきている人が多いので、周囲の理解も非常に得やすいですね。

「週4日勤務」は私が初めてですが、会社として副業を積極的に推奨しており、実際に副業を行っている社員の割合は約17%。自由な働き方をしているメンバーも多く、「前例がある」という安心感がありました。

また「スイッチワーク」といって、「私用で勤務を一時的に抜けてもOK」という制度があり、もし平日にNPOのミーティングが入ってしまっても出席することが可能です。こうした制度面の充実も、パラレルワークするうえでの働きやすさにつながっているのではないかと思います。

「週4日勤務+副業」という今の働き方に、どんなメリットを感じますか?

齊藤

まず、カオナビでもNPOでも、「社会のトレンドにキャッチアップする」のは共通してやっていることなので、片方の業務で調べたことがもう片方での業務につながる、ということはあります。

また、私の場合は「月〜木曜日はカオナビ、金はNPO」という風に意識を切り替えながら働いているのですが、同じ出来事を別の視点から捉えてみると、全く違った見え方になってくるという感覚があります。

たとえばコロナ禍は、カオナビのようなDXを推進するIT企業にとってある種の追い風になった部分もありましたが、NPOの方で携わっている福祉業界に対しては、かなり深刻な影響をもたらしました。

このように、1つの事象を複数の角度から立体的に捉えられるのは、私自身の新しい視点の獲得にもつながっていますし、両方に同時に携わることならではのメリットだと思います。

逆に、パラレルワークのデメリットや難しさを感じることはありますか?

齊藤

私が戸惑ったのは、「自分はいったい何者なんだろう?」というアイデンティティの部分です。会社の人間として言っていることと、NPOの人間として言っていること。それが「二重人格なんじゃないか」と思うくらい大きく異なることもあり、かつてはそのことでかなり悩んだりもしました。自分がそれまでいかに組織の皮を被り、肩書きや所属企業に頼って生きていたかを気付かされましたね。

ただ、そうして悩んでいるうちに、最終的に「2つとも自分のやりたいことで、根底の部分ではつながっている」と統合されていき、改めて「自分とは何者か」についての理解が深まったようには思います。

あとは、単純に切り替えるのが苦手な人には難しいかもしれません。週4日勤務だからといって目標や期待成果に対してのコミットが薄くてもよいというわけではありませんし、外部からは「カオナビの社員」として見られます。カオナビは時間の融通はしやすい会社ですが、うまく優先順位をつけながら、どちらの仕事もおざなりにならないようバランスを取る必要はあると思います。


“私の見解”を問われ続ける中で、磨かれていった仮説思考

普段はどのようなことを意識しながら、お仕事を進めていますか?

齊藤

カオナビのバリューの1つでもある、「仮説思考」を常に心がけています。これは調査・研究という業務の性質も大きいのですが、何か調査をするときにはただ漠然と調べるのではなく、まず「検証したい問いとは何か」考えるんです。

たとえば昨年は「リモートワーク実態調査」という調査・研究を行ったのですが、その際も「コロナ禍によって働き方はこういう風に変わっているのではないか」「それらの変化が、働く人のこのような心情変化を引き起こしているのではないか」といったことを想像し、アンケート項目に落とし込んでいきました。

また、社長室はさまざまな部署と組織横断的に関わる中で、カオナビが会社全体としてどうあるべきなのか、中長期的にどうあるべきなのかといったことを俯瞰的に考える機会も多いのですが、これも1つの仮説思考であると捉えながら働いています。

その「仮説思考」のスキルは、どのようにして身につけられたのでしょうか?

齊藤

1つは大学院での経験が非常に大きいと思います。修士論文を書かなければいけないので、その際にリサーチ・クエスチョン、すなわち「検証したいテーマ」は何なのか、繰り返し問われました。また、1社目のコンサルティングファームでも鍛えられたのかなと思います。

カオナビに入社してからは、主に上司との関わりの中で「仮説思考」が磨かれていったように思います。1on1のミーティングや業務報告の機会に、“私の見解”を必ず聞かれるんです。入社した直後からずっと。最初の頃は組織のことも仕事のことも全くわからなかったのですが、わからないながらも「あなたはどう思うの?」と問われ続けることで、考える癖がつきました。

あとは「何でも一度は疑ってかかる」という性格も、「仮説思考」につながっていると思います。たとえば「制服はこう着なければならない」といった学校の校則に対しても、「何でそんな決まりがあるのだろう?」といちいち思ってしまったり。学生の頃には、そう思ってもなかなか外には出せずに我慢していましたが、カオナビには思っていることを言いやすいカルチャーがあって、それが業務にもプラスに働いているように思います。

カオナビには「個性を受け入れてくれるカルチャーがある」ということでしょうか?

齊藤

というより「興味がないわけではないけれど、いい意味で放っておいてくれる」という表現の方がしっくりくるかもしれません。程よい距離感があるというか、メンバーの「自由」や「自立」を重視した組織だと思います。

もちろん、仕事で出したアウトプットに対して評価やフィードバックはもらえますし、求めればレスポンスは返ってくるのですが、細かいプロセスや個人のあり方についてとやかく言われることはありません。基本的に自由が好きな私にとっては、そうしたカルチャーがマッチしているんだと思います。


“素直じゃない”人こそ、カオナビでは活躍できる!?

今後の仕事の中で、頑張っていきたいことは何ですか?

齊藤

これまでは、HR Techの動向など業界内の情報を調査することが多かったのですが、最近は個人情報保護や行政のDX化など、隣接した領域について調べる機会も増えてきました。まずはそうした情報についてしっかりキャッチアップしつつ、適切に社内へ展開していくことに注力したいと思います。

また、イベントに登壇するような機会も増えてきたので、逆にカオナビについて社外に対して効果的に発信することにも、引き続き力を入れていきたいです。そのために、普段は業務上関わる機会の少ないメンバーとも、ランチ会などを開催して積極的に接点を作っていくことで、現場のリアルな情報をさらに収集していきたいですね。

最後に「こんな人にカオナビに入ってきて欲しい」というメンバー像について、教えてください。

齊藤

私がカオナビにマッチすると思うのは「ちょっと立ち止まって考えられる人」です。

たとえば「1年間、レンガ積み上げててくれる?」と言われた時に素直に積み続けてしまうようなタイプ人だと、すごく素敵な人柄であるとは思いますけど、少し苦労するかもしれません。

逆にそこで「何のためにやるんですか?」って訊けたり、「あの会社に頼んだ方が楽ですよ」と、最小の労力で最大の効果が発揮できるポイントを考えるのが苦にならない人はフィットすると思いますし、ぜひ一緒に働いてみたいと思います。

カオナビの採用情報を知りたい方は

編集後記

「副業」と聞くと「収入の柱を増やす」というイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、カオナビでは「異なるフィールドでの経験が社内での活躍にもつながる」「職場以外での活動を通して自己実現につなげてほしい」という想いのもと、副業を推奨しています。

この観点において齊藤は、NPOでの活動で培った知見をカオナビでの業務に活かしつつ、自身の人生におけるテーマも追求しており、パラレルワーカーのあり方としても、これからの社会にとってロールモデルとなりうると言えるのではないでしょうか。

また、「週4正社員」という働き方の実践例は、カオナビの組織全体に対しても新しい可能性をもたらしました。

齊藤がNPOでの活動との相乗効果を活かして今後さらに活躍し、彼女に続いてパラレルワークでユニークな価値を発揮してくれるメンバーがこれから出てきてくれると思うと、期待に胸が膨らみます。

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